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ダンジョン『説明会』 1

そして『説明会』当日が来る。



入口に出迎えに出ると、参加者は12人。

いつもの藍色のローブにホッケーマスクだが、マスクをして無かったら正直危ないところだった。

なんで領主自ら来てんだよ。


「知っての通り私がこの『ダンジョンマスター』スーノだ。

 ようこそ我が家へ。

 ここの入口でこの人数は狭い、私に付いて奥に進んでもらえるかな?」



「帯剣したままでも、構わないのですか?」

領主付きの冒険者が言う、確か偵察隊に居た若いのだったな。



「止めとけ、俺たちは招かれて来てるんだ。

 それにあれは実体がない、幻影かなんかだ」

バンダナが頭言う、確かあいつが偵察隊の偵察隊の隊長だったな。



「ほぅ、気が付いたか。

 ダンジョンが出現した日の幻影、領主殿の家にお邪魔した時の幻影と同じものと思っていい。

 さすがは偵察隊を率いていただけの事があるな」

 

まぁ、『魔力探知』持ちが見ればすぐわかるんだけどね。

「さて、ここでいいだろう」

地下一階に降りてすぐの転移陣の大広間だ。

「ここはロビー、エントランス‥‥呼び方は色々だが、農園に来るものと奥に進むのを分岐させる部屋だ。


 一番右が領主殿、毒見役のカイン殿は、先日会ったので解る。

 それ以外の者は右から順に自己紹介を頼めるかな?」



「僕はジーク、冒険者だ。

 領主様の付き添いで来た」

偵察できたときのように背嚢は背負っておらず。

ハーフプレートに背中に両手剣、腰にはショートソードと殺ル気満々だ。



「私はアイリス、冒険者組合の職員よ。

 普段は受付をやってるわ」

白シャツに加えて、スーツ用に似た茶色のベストに膝までのスカート。

そして歩きやすいローファーだ。



「あー、私はジェイクだ、冒険者組合で副マスターをやっている」

アイリス嬢と同じ、茶色のベスト。

当然下はスラックスぽいズボン。



「俺はシルバ、冒険者をやっている。

 珍しいものを食わせてくれると聞いて毒見役としてきた」

つや消し黒のレザーアーマーに左右に短剣が二本ずつ。

彼も偵察と違って背嚢は背負ってない。



「私は商業ギルドの‥‥」




そして自己紹介は進み、つつがなく終わったように見えた。



『マスター二人ほど、参加資格が無いものがいるようです』

ルプからテレパシーで報告が入る。



自分で『鑑定|(雑)』で調べても先ほど語った名前は偽名のようだ。


「すまないが、残念なお知らせがある。

 招待されてない者が二名混じっている。

 ルプ出てきていいぞ、牢屋送りにしてやれ」



「はいなっ」

変わった姿の50cmの人形が現れ、鬼ごっこでタッチするように自称『孤児院の人』に触れる。

すると転移が発動して掻き消える。

招待されてない二名を転送すると私の傍に浮いて笑顔をを浮かべる。



「なにをっ」



「先ほどの二人は、自己紹介が偽名、代理人とも名乗らなかったので退場いただいた。

 牢屋に閉じ込めたが、明日の二の鐘|(午前9時)には開放しよう。

 ただし牢屋で自殺したり、水を飲まなかったり、便所の穴に飛び込むとかやれば無事ではすまないだろうな。


 それで、こいつがルプ。

 私の一番の配下だ。

 主にダンジョンの外への使者やお使いを担当する」

今の所二番も三番もいないんだけどねー。



「初めましてルプと言います、どうぞよろしくお願いします」

スカートをつまみ恭しくカーテシーで礼をする。



「ルプよ、資料を配ってやれ」



「どうぞ」

収納魔法で手品のようにバインダーで束ねた資料を次々に渡す。



「こ、この紙はどうやって‥‥」

沈黙を破るように商人ギルドの一人が口を開いた。



「ああ、忘れていた。

 既に領主殿には話したが、私は商人で職人ではないのでこの紙の製法は知らん。

 それに『ダンジョンマスター』になる前から『収納魔法』に入れていた分しかないので、売るほど無いのだ。

 売ってくれという、ご希望には添えないな。


 さて今配ったものは、先日領主殿に見せた資料に色々と追加したものだ。

 順番に解説するので、まずは付いてきてくれないか?」




◇◆◇◆◇



大広間から行き止まりの金属の扉にたどり着いた。



「資料の二枚目を見てくれ、ここが『面会の間』だ。

 こちらから用事があるときはルプがうががうが、街側から用事がある時はここに来てもらえば、幻影の私と話すことになる。


 シルバ君、右のドアノブを下に押してドアを引いて貰えるかな?」



「構わないが、爆発するとかの仕掛けは無いんだな?」



「安心したまえ、あるのはドアを破壊不能にする防壁と、魔法の鍵だけだ」



「そんじゃ」

シルバがドアノブを握って言われたとおりにすると難なく開いた。



「さて先日偵察に来た二人は拍子抜けしているかもしれないが、こいつは私が認めたものにしか開けられないドアだ。

 そして今ここにいる10人だけがドアを開けることが出来る」



「他のものは入れないと言うことですか?」

南の孤児院のシスターが聞いてくる。



「連れて入ることは可能だ。

 本人が脅されてそうなる場合もあるだろう。


 ただドアを開けられるのは私が認めた者だけだから、この部屋の中でその者に何かあればドアが開かずに帰れなくなると言う仕掛けだ。

 もっとも私やルプは治療魔法も使える上に、そんな脅した相手も許す気はない。


 ここは『引退するから後任に引き継ぎたい』とか言って後任を連れて来るとか、『農園の便所をもっと増やしてくれ』とか、『誰々が戻ってきてないが、こっちに来てないか?』とか気楽に来て貰っていいところだ」



「本人が事故でこれない場合にはどうするんだ?」



「その場合は、他の人が後任を連れてきてくれ。

 来れない人の登録を消して後任の者にする」



「しかし、どこかで見たような家具だな」



さすがに領主は気づいたか、計画通りだ。

「ああ、それは先日の領主殿の部屋を見て参考にさせてもらった。

 何しろ私は、この国の様式には疎いのでな。


 さて、質問が無ければ次に進もう。

 お待ちかねの転移陣の使い方だ」

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