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武器を得る。

チュンチュンという鳥の鳴き声で目が覚めた。


「う〜ん。もう朝か…」


チュンチュンチュンチュン


僕は他の2人を起こさない様にしつつ洗面台の前に立ち、顔を洗っていく。


チュンチュンチュンチュンチュンチュン


今日は朝から会議して道具を揃えてレベルも上げなきゃ。やる事が沢山あるし気合いを入れなくては。


それにしても鳥の鳴き声が凄い聞こえる。


チュンチュンチュンチュンチュンチュンチュンチュン


「うるっさ!!この世界の鳥うるっさ!!」


彼らを起こさない様に我慢していたが限界が来た。いったいどんだけ近くで鳴いてんだ鳥公ども。朝飯にしてやろうか。

僕はイライラしながらカーテンを開けて外を確認しようとして絶句した。


僕らの泊まった部屋は宿の二階部分でありそこそこ高い所にある。その筈なのに窓から見える景色は何かの毛だけだった。


「う〜ん…うるさいなぁリュウ。なんなんだよ一体。」


僕が騒いだせいで起きたのだろう。サノが目をこすりながら身体を起こして近寄ってくる。

そして僕の目線の先にあるものに気づいたのか同じような反応を示した。


「サノ、アレクを起こしてきて。逃げよう。」


それは1匹の鳥である。なんて事ない雀、ただし大きさが二階建ての建物クラスの。


【スズメガ レベル50】


『ステータス』の効果でレベルと名前が表示される。

どうやらこのスキル達は自動で発動するのでは無くオンオフ機能を切り替えないと使えないらしい。

そしてニュートラルの状態だと『言語理解』はオンだが『ステータス』はオフになってたらしい。

だから昨日の狼達のレベルは見えなかったのだという。


でもこれぶっちゃけ見えない方が気が楽だな。だって一目見て勝てないって分かるもん。


昨日軽くこの世界についての説明も受けたのだが、この世界の人類は歴代最高レベルが30らしい。


つまりこの鳥には歴代最高の人類でもソロでは勝てないという意味でだ。


僕らは宿の裏口からそそくさと逃げ出した。


◇◆◇◆◇


「おはようございます殴り隊の皆さん。」


僕らがギルドに入ると昨日と同じ受付嬢の人が挨拶をしてくれる。


殴り隊とは僕達3人のパーティーの事を言う。

昨日どんな名前にするかと聞かれた時についゲームの頃の名前を言ってしまったのがそのまま登録された。

もうちょっとかっこいい名前が良かったかなぁ…


「おはようございます受付嬢さん。早速で悪いんですがなんかヤバイ鳥が僕らの宿の前にいたのですが。」


僕がそう報告すると受付嬢さんが苦笑いをした。


「あぁ、アレですか、大丈夫ですよ。あのスズメガに殺された恨みのある人は多いですから明日の朝には追い払える筈です。」


数揃えても倒す事は出来ないのね。本当に残念だな人類。

意識を鳥公から切り替えて今日の仕事の話に切り替える。


「分かりました。それでなんですけど、レベリングをするというのはお聞きしましたが僕たちは武器も持ってなければ倒せそうな敵も見たこと無いのですが。」


僕たちには武器が無い。技術も無い。そしてあった所で今のところ見た敵は四つ目の狼とクソデカ雀の2匹だけである。倒せるビジョンが見えない。


「それに関しては問題ありません。武器に関しては皆様は1つ、既に所有していますし、それに倒すモンスターはスライムです。」


スライム!忘れていた、僕たちの世界においてレベル1でも勝てるゴミモンスターの代名詞だ。そりゃあこの世界にだっていてもおかしくは無いだろう。

それを聞いて安心した僕は疑問を1つ抱く。


「武器を既に所有しているとは?」


ステータスにはアイテムボックスなんて便利グッズは無かった。


あるのはレベル表記と身体能力を記した表。さらに敵のレベルと名前、そしてそいつらの討伐数だけだった。


「まずは皆様には神殿に行ってもらいます。そこで詳しい武器に関する説明を聞いて下さい。」


受付嬢は少し楽しそうに笑うとそう言った。


一体なんなんだろう。


◇◆◇◆◇


「ようこそ神殿へ。ここではリスポーン地点の変更を行えます。」


神官らしい柔和な笑顔を浮かべた男の人が迎え入れてくれた。


「ここに来れば武器が手に入ると聞いたのですが…」


こんな所で武器なんて手に入ると思えないんだけど。だって神殿じゃん。武器なんてものとは程遠そうなんだけど。


「えぇ、ここの偶像に祈りを捧げる事で貴方専用の武器が手に入ります。その武器は使い手と共に成長し、壊れず、どこに置いていても手元に召喚する事が出来ます。」


つまり家に武器を置いていようがどこで死んで武器を転がそうが、いつでも手元に呼び戻せるらしい。

やったぁ。やっと便利そうな機能を聞いたぞぅ。


「ただし条件があります。」


だよね。僕は覚悟を決めて続きを促す。


「武器を呼び出す度に魔力が3割削れます。」


あっ、よかった。召喚毎にレベルが落ちるのかと思った。


「流石にそんなにハードでは無いですよ。リスポーンによるレベルダウンも死の毎に経験値が一定量減るだけで一度死亡する毎に1レベル落ちるわけでは無いです。」


ほー。じゃあレベル30の人は一回死んだくらいでは29に落ちるわけでは無いのだろう。

まぁレベル1の僕らには関係ないんだけどね。


「分かりました。じゃあ武器召喚をさせてもらっても良いですか?」


神官さんは頷いて偶像の前へと歩いていく。


「ではここで自分の武器の形を想像してください。その武器は貴方と共に在り続けます。出来ればキワモノでは無く使いやすく質の良いものをお勧めしますよ。」


僕達は偶像の前に膝をついて祈りを捧げる。


どうやらこの偶像は初代異世界転生者の『スキル』だったらしい。

効果は魔力を注ぐことでその人専用の武器を作る事。ぶっ壊れ性能である。


魔力と呼ばれる何かがゴッソリ持っていかれる感覚がしたのと同時に偶像から光が放たれ、僕達の眼前に集約する。


僕の武器は『無矢の弓』。効果は魔力を使って矢を生成する。消費魔力を多くする程鋭さや耐久性が上がる。弓は壊れないが矢は普通に壊れるらしい。


サノの武器は『叡智の本』。効果は無く、そのかわり一定レベル毎に魔術が解禁されていくらしい。この内容は他の人には解読が出来ない文字で記されている。


アレクの武器は『変幻の剣』。効果は魔力を消費して形状を変える。通常の形から大きく変わる程に魔力消費量が増える。


「ありがとうございました。」


僕らは入る前と違い武器を担いで神官さんにお礼を言う。そして料金はこれも初心者応援である。もう冒険者ギルドに足向けて眠れないな。


神官さんは優しい人特有のオーラを出しながら笑った。


「皆様の第2の生に幸運があらん事を。」


◇◆◇◆◇


僕達は期待を胸に冒険者ギルドに帰ってきた。それはそうだ。もしかしたらこれから1日では倒しきれないくらいの敵を狩ってきて受付嬢さんに褒められるかも知れないのだ。期待しない方がおかしい。


「おかえりなさい。無事に武器を呼べたようですね。よかったです。それでは本日あなた方のレベリングを手伝ってくれる方を紹介しますね。」


受付嬢さんは笑顔で1人の青年を連れてくる。

てか無事に呼べない可能性もあったのね、何それ怖い。

連れてこられた青年は白銀の髪に碧眼。そして直剣を持っていた。


「やぁ、こんにちわ。僕はイヴ。レベル14の剣士だ。昨日ぶりだね。」


その青年は昨日僕達を助けてくれた男だった。


つかレベルダウンしてんじゃん。ごめんなさい。




なお防具は不壊でもなんでも無いので変わっていた模様。

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