人類クソ雑魚な事実。
「えっ?違いますけど。」
彼女は今までのポーカーフェイス人形形態から意味不明という意を前面に押し出した人形形態に移行した。
せめて動く顔でその表情をして欲しかった。
「…え?」
左之助が呟く。アレクも、そしてもちろん僕も同じ気持ちだが口には出さない。
彼女はそんな僕らに現実を叩きつける。
「え〜っと、皆さんは恐竜に素手で勝てますか?」
何を言ってやがると思いながら首を振ると彼女は安心したような口調で
「よかった〜。てっきり人類が恐竜に勝てるようになったのかと思いましたよ〜。」
なんて言ってくる。
そんなの無理に決まってんだろ、だって恐竜ってあれよ?僕らの何倍もデカイしパワーもあるし何より丈夫だ。
僕らの蹴りやパンチじゃ青あざも出来ないだろうしかすり傷すら夢のまた夢だろう。
つまりそういう事なのだ。僕らが転生する世界は恐竜クラスの化け物が跋扈するところなのだろう。
…帰っていいっすかね。あっ、ダメですかそうですか。
僕は生存を諦めた。これは無理だ、戦うとかの次元じゃない。
「いえいえ、皆さんもいずれは倒せるようになるかもですし、それに恐竜クラスは中々居ませんのでご安心を。」
…それなら、まぁ、ワンチャン?
どうやら異世界転生者には標準装備として『ステータス』と『言語理解』が備わっているらしい。
そしてモンスターを倒すとゲームのようにレベルが上がり身体能力が向上する、らしい。
「それでは皆さんにはこれから転生して貰いますが、1つご忠告が。」
なんだろう。僕らは怯えた目で彼女を見る。もしや恐竜クラスはそんなに居ないけどクマクラスならそこらじゅうに居るとかそういう感じだろうか。
「確かにクマくらいなら大量にいますが、まぁ置いといて。
コホン。
皆さんはあちらの世界では死んでも何回でも蘇れます。」
えっ、何それ勝ちじゃん僕ら、君知ってる?ゲームのボスでどんだけ強いのがいようが無限リスポーンならいつか倒せるんだぜ。よっしゃ恐竜ボコしに行こうぜ。僕らは浮足だった、雑魚は雑魚でも無限に沸く雑魚だ。負ける気がしない。
「ただし、条件があります。あなた方は死ぬたびにレベルが下がります。そしてレベルが1の状態で死ぬとリスポーン出来ませんので、転生直後はお気をつけ下さいね。それでは、いってらっしゃい。」
そう彼女は締めくくり、僕らが何かを言う前に僕らを衝撃波が何かで奈落に突き落とした。
『言語理解を習得しました。』
『ステータスを習得しました。』
『視力強化を習得しました。』
『…視力強化が条件を満たした為千里眼に強化されました。』
◇◆◇◆◇
目を開くとそこは草原だった。どうやら異世界転生してレベル1の状態でモンスターのいる所に飛ばしたらしい。しかもクマくらいなら沢山いるらしい…
僕は息を吸い込むと空に向かって吠えた。
「クソゲーーーーッ!!!!!!」
その日、この世界で新たなクソ雑魚ヒューマンが3人増えた。
補足
死んだ場合、一部ゲームのようにデスペナルティによってレベルが下がります。その場合、レベルだけでなくもちろん身体能力も低下しますので死ねば死ぬほど死にやすく、そして死にすぎると本当の意味で死にます。クソゲー
リスキル、ダメ、ゼッタイ。