異世界転生
どうもはるさめです。前回は登場人物が多すぎ現象で脳内キャパがオーバーしたのでメインは3人で行きます。
前作が好きな方はすいません…
抜き打ちテストがあった時、雨の日に傘を忘れた時、失言をして先生や上司に怒鳴られた時、誰もが一度は思った事だろう。
『あぁ、未来が見えたらこんな事にはならなかっただろうに。』と、
僕、松本 流星は未来が見える。
まぁ地球にいた時は1秒先を見るのが精一杯だったが、それでもその1秒で助かった事は大いにあった。
例えば、1秒後に野球ボールが頭に当たると分かれば覚悟が出来るし、1秒後に鳥のフンが頭に落ちてくるならギリギリ肩にズラせる。
…僕の運が悪いのはその代償だと思っている。
さて、そんな僕ではあるけれど、1秒後に友達もろとも雷に当たると分かった時には流石に覚悟も何も出来ていないし、なんなら痛みすら感じずに黒焦げになった。南無三。
◇◆◇◆◇
「ようこそ、あの世へ。」
気がつくと僕らは真っ白な空間で最悪なお招きの言葉を頂いていた。
そんな僕らの心境をよそに純白の衣に身を包んだ人形は決断を迫る。
「ここでは2つの選択肢を選べます。死か、転生か。」
…えっ、それ聞く意味あります?
もちろん転生を選んだ。迷う必要を感じない。
「よろしい。ではあなた方に1つ、力を授けましょう。」
そう言いながら口調からして女性な感じのする人形はカタログを手渡してくる。
…なんか少し残念な気分になった。
その、ほら。もっとこう厳かな感じで言った力をそのままくれるとか無いんですかね?無いんですか、そうですか。
話が変わるが僕はゲームが得意である。なんなら大会で優勝するくらいには。
それはそうだ、なんたって相手が1秒後に何をするか分かるのだから。
確かにズルだけどでもそのくらいの役得があったって良いだろう。その分酷い目にあっている。
君らは未来が見えない、その代わりに1日に何度も鳥のフンが落ちてきたりはしないだろう。そういう事だ。僕レベルになると鳥のフンを拭く為だけのハンカチを常に持ち歩いているし、なんなら不幸体質な事が学校の全員に知れ渡っている。
登下校中に鳥のフンが当たった生徒は僕というのがその学校の共通意識である。
…話が脱線したが僕はゲームでは常に弓を使っていた。部活が弓道部だった事もあり、相手の動きを文字通り『見て』、移動ルートを潰したり行動を抑制するのが得意だった。
そしてカタログには僕ぴったりの力があった。
『視力強化』
動体視力、立体視、それから単純な視力を大幅にあげる能力だ。
僕はこれを迷わずに選択する。弓兵とは即ち場所取りと索敵能力の差で実力が出る。
他の2人も直ぐに決めたようだ。
小柄な方の友人が左之助、彼は『魔術』を、高身長イケメンな方がアレクサンダーことアレク。彼は『戦闘技術』を選んだようだ。
僕ら3人はゲーム友達で、物理遠距離のアーチャーと魔術遠距離のキャスター、そして物理近距離のセイバーの脳筋パーティーをよく自称していた。
そんな僕らなのだが、少し思い違いしていた事があった。
「俺らって英雄とか勇者とかそんな存在としてあっちに呼ばれるのですか?」
左之助がそう彼女に尋ねた時の顔は、キラキラに輝いていた。
高校生の男子なら誰もが夢見る甘い幻想だろう。事実、一番の問題である異世界転移は叶ったのである。 ならばその夢も叶うだろう。そんな願望が3人にはあった。
…それを
「えっ?違いますけど。」
彼女はバッサリ切り捨てた。
いつから人類がそこそこ強いと錯覚していた?