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Side たける2

前話「欲求か可能性か」後半の健視点です。

 

【健君まだ学内にいる?】


 それは莉乃先輩と家電量販店で会ってから1ヶ月は過ぎたある日だった。


 教室が昇降口に近いのでHRが終わるとまっすぐ校門へと向かう最中にスマホが震えた。

 少し前にゲームに詰まった莉乃先輩からのヘルプでりひ兄経由で連絡先を交換していた。


【まだいるけど】


 脇に立ち止まり返信する。


【どこ?】

【校門】

【すぐ行くから待ってて】


 一方的な要求に身動きが取れなくなる。流石に無視して帰宅はできない。


 僕はため息を吐きながら昇降口へ戻った。莉乃先輩はすぐに駆け足でやってきた。


「わー戻ってくれてごめんなさいー」

「いや、いいけど…何?」


 下校時間で人が増えている。さっさと帰りたい。


「あ、えっとね。現在進行形だけど健君には迷惑かけっぱなしだからね」


 何が?そう訊く前に莉乃先輩は自分の鞄から紙袋を引っ張り出す。


「お兄ちゃんに健君の好きな物訊いてね。……ってはっ!手作り大丈夫!?」


 莉乃先輩がいつぞやのように固まる。


「え?うん」


 別に変な物が入ってなければ既製品も手作りも気にしない。

 僕の返事に見るからにほっとする。


「よかった。お詫び…兼お礼になるか分からないけど甘いお菓子好きって訊いたから」


 差し出された紙袋を前に思考も体もフリーズする。


 何これ?僕に?女の子からお菓子?何かの罰ゲーム?


「健君?」

「あ…えっとありがとう」

「いえいえこちらこそ本当にありがとうございました」


 受け取って反射的に頭を下げる。莉乃先輩も頭を下げている。

 ……何だこの状況。周りの視線が痛い。さっさと帰ろう。


「それでね、健君。私好きだけどゲーム下手だからこれからもモンゲで相談したりしていい?」


 逃げようとした僕をまた莉乃先輩が止める。


「……あ」

「迷惑だったらごめんね!私他にゲームやっている知り合いいなくて、図々しくてごめんなさい」


 必死でいい募る姿に罰ゲームのような嫌々感はない。


「……いや、いいけど」

「本当!?ありがとう」


 ぱっと明るい笑顔になる。その顔を見つめていると、受け取ったまま突き出しっぱなしの手を両手で包まれる。


「これからもよろしくね健君」



 ◆◆◆◆



「ただいまーって健何してるんだ?」


 あの後遅れてやってきた羞恥心の中、当番がある莉乃先輩と別れて下校した。そしてリビングで僕は広げた紙袋の中身に固まっていた。


 個包装されたガトーショコラと大きめの袋にまとめられた2種類のクッキー。

 お詫び兼お礼って言ってたけど、釣り合ってない。こんな立派なの貰うような程のことしていない。


 丁寧にアレルギー対策かお菓子ごとに材料をメモされた手紙をとお兄がつまんだ。手紙には莉乃先輩の名前もサインされている。


「プレゼントって……莉乃?理人んとこの莉乃ちゃん?」

「うん」

「付きあ…」

「ゲームで助けたお礼だから!」


 とんでもない勘違いを否定する。


「そうかそうか」


 とお兄がガトーショコラの1つを手にとり口へと運んだ。流れるような動きに僕が反応したのはとお兄の喉がごくんと呑み込んでからだった。


「ちょっととお兄!」

「旨いなこれ」


 あっという間に食べ終えて2つ目に伸ばそうとする手を叩き落とす。ガトーショコラは3つしか入っていないのに。


「莉乃ちゃんはこれだけのもんくれるくらい感謝してるってことだろ?気にせず食べろ食べろ」


 何も言ってないのにとお兄は僕の考えをすぐに理解する。

 ゆっくりとクッキーの袋を開けて口へと運ぶ。さくりと軽い食感とナッツの味が口の広がる。


「おいしい」


 もう1種類はプレーンとココア生地の渦巻き模様。これもおいしい。


「莉乃ちゃん料理上手だな」

「うん……ってとお兄ガツガツ食べないでよ。僕が貰ったんだから」

「さっきまで貰っていいのか悩んでたのになー」


 油断すると流し込むように食べるとお兄から何とか死守して、後で食べようとした残りのガトーショコラとクッキー。

 ……帰宅した両親に全部食べられてしまった。


 ……僕ガトーショコラ食べれなかった。



健と徹、名前を間違えそうになります…漢字も…

ま、間違いがあったらすみません(;´Д`)

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