しあわせルートを選びます
初投稿です。楽しんでいただけると幸いです。
女性向け恋愛シュミュレーションRPG「星方学園~星といっしょにあなたを~」
人気シナリオライター・人気イラストレーターの起用。メインは当然、サブキャラも人気声優で固めた新ブランドの期待の乙女ゲー。
残念ながら大ヒットまではいかなず、続編・FDは作られなかったが一定数のファンは掴み取りまあまあ成功したといえる作品となった。
そんな「星学」に心掴まれた1人である私。
目覚めたら「星学」主人公・篠原莉乃となっておりました。
「まさかの転生系かぁーーーーーー!!!」
両手を握りしめベッドの上で四つん這いになった私を誰も責められないと思う。
部屋にある姿見に映る叫ぶ四つん這い美少女。
…シュール。
そっと正座へとシフトチェンジする。
落ち着こう。状況を整理しよう。
1時間たっぷり時間をかけて記憶を整理した結果、今の私には2の記憶がある。
1つ目は今の体、篠原莉乃として生きた17年間の記憶。
これは普通な平和な記憶だ。楽しく、温かい思い出。もちろん恥ずかしい、辛い思い出もあるがトラウマになるような根深いものはない優しい記憶。
2つ目は篠原莉乃ではない名前も思い出せないけれど確かにあった“自分”の記憶。
これまた普通な記憶だけれど、大きな違いは17年だけでなく30数年分の記憶がある。
学校を卒業し就職し生きていく。残念なことにご縁には恵まれずお一人様だったけれど楽しかった。
おそらく2つ目は前世というものだろう。
そして問題なのは記憶の数じゃない、2つ目前世の記憶の中のゲームのこと。
前世の“自分”の趣味はゲーム。RPG・SRPG・パズルゲー・ノベルゲー…手広く楽しんだ。
そんな中で遊んだ恋愛シュミュレーション、いわゆる乙女ゲー「星方学園~星といっしょにあなたを~」
無難な学園ものだけれどその主人公が今の私・篠原莉乃。
可愛らしい容姿。明るくしっかりとした性格。
何より声が!乙女ゲーには珍しく顔グラフィックにボイスがあるのだ。おまけに“自分”が大好きだった女性声優さんが担当!
乙女ゲーは好きだけれど自分=主人公ではなく自分=壁・空気ポジで楽しむタイプだったので主人公が話すたびに幸せだったなぁ…。
「あー、篠原莉乃です」
声が!ゲームのまま!!耳が幸せです!!!
……こほん。
転生先の主人公スペック大満足だけれど、大いなる不安点。
乙女ゲーの攻略対象達!
「星学」に心掴まれたけれど残念なことに最推しは非攻略対象のサブキャラなのだ。
おまけに攻略対象達は好きだけどルート展開で様々な修羅場があるのだ。うん、修羅場。修羅場だ。
いーーやーーー!!
たとえ好きなキャラだとしても修羅場は嫌ー!!
ゲームプレイ時は「修羅場でも莉乃ちゃんかわいいぜ!!」テンションで楽しんでいたけれど実際に自分が対峙するのは絶対に嫌ー!!
なぜに全ルートに修羅場があるんだー!そんな所も好きですー!!
気が付いたら四つん這いアゲイン。
再び起き上がりながら決意する。
「修羅場は嫌なので誰のルートも入らないノーマルED選びます!!!」
篠原莉乃。17歳。高校2年6月の土曜日早朝6時の決意です。