10:アレについて
10の倍数なのでスペシャルバージョンでお届けする
アレについて語ろう、そうしよう
しかしアレを露骨に書くと規約に引っかかる
書きたい本質はそれじゃないのにも関わらず、だ
なのでアレが何かは察して欲しい
アレに皆は何を求めに行くんだろうか
夢? 魔法?
私はね、こう……地図と本日のイベントリストをもらって。
どこから回ろうかと作戦を立てる あの瞬間が好きだ
短い時間で混雑を避けつつ効率よく回れることに達成感を見いだすタイプだ
あらかじめ断っておくが、楽しみ方は人それぞれだ
ゆるりと楽しむ、それも一興だろう
私の楽しみ方は一つの方法論であり、そこに正解はない
さて三十を過ぎた頃だろうか、急にアレに飽きる時が来た
「そろそろ行かなくていーかな」的なことを家人にも言った気がする
仕事で一人で行く羽目になったのも理由の一つだ
ショーに抽選で外れて仕方なく付近にわくモンスターをアプリで集めながら並んだり、七つの海を一人で回ったのはすごくいい経験だった
お昼がわりにターキー食べてたら、アヒルがちょこんと隣に座ってきたのには笑った
鳥の横で鳥を食う……シュールな構図だった
独りだったしトイレ付近だったから色々気を遣ってくれたんだろう
バイトかもしれないが相変わらずやることが徹底している
さて、アレとはそんな付き合いだったのだが、そんな関係も子供ができて一変する
朝の入場直後に飾りを指さし「あれキレーイ」
風船を指さし「あれホシーイ」
当然ながら計画は全てだいなしである
これから歩きまわるのに風船なんて……ため息しかでない
しかし、しかしだ
娘よ、これを読むことが万に一つでもあるなら申しておきたい
装飾をみてきれいだな!という気持ち
風船を持って歩くと楽しそうだな!という気持ち
そういう気持ちを忘れないで欲しい
お母さんの計画とかそんなのは気にすんなと言いたい
私は効率厨だけど、計画が変更になってぎゃーっと騒いでいる自分も好きなのだ
風船持とうなんて自分一人じゃ絶対に出てこない発想だと思う
30ぐらいまでは脅威で仕方なかったことが5歳も年を取ると喜劇に変わる
今はどんなちゃぶ台返しが見られるか、楽しみで仕方がない
だからこういう時ぐらい、自由に好き勝手振る舞えばいい
「Level13?!なにそれこわい」とか言ってチュロス屋の前から動こうとしない旦那も、自分の本能に忠実で癒される
効率良く回るのは手段だ 効率良く回りたいのは、その一連の計画や実行が楽しいからだ
私はアレを楽しむために来ているのだ
私は人生を楽しむために生きているのだ
文法的にはアレじゃなくてアソコなんだけど、ひわいな響きだったので自重した(ざんねん)