四話 食べなくてよかった·····
とても短いです。すみません。
王女に連れられやってきたのは食堂。
そこには人数分の食事が用意されており、食事を取りながら王女の話を聞くらしい。
と言っても、俺はどうやら先の天界で食事を取らなくとも問題なく生きられる体になったようだ。
まあ食べられないこともないが、完全に嗜好の類になる。
それに、神にあんなにボロクソに言われた国だ。飯に何が入っているか分かったものじゃない。
「では、この世界の現在の状況について、お話しようと思います。皆様、どうぞお好きに食事をしてくださって構いません」
王女が前に立ちそう促す。
皆が食事を始めたところで王女は話し始めた。
「只今の我が国の状況は、芳しくありません。理由は、魔族の侵攻です」
王女が曇った顔になる。
勿論それが演技だと知らないクラスメイト達は「可哀想……」だの「アリシアちゃんは俺が守る!」だの言っている。
王女……アリシアはそれを受け、泣き笑いのような庇護欲を掻き立てるような表情をした。
だが俺は見た。その瞳の奥に、俺達を見下す色があったのを。
どうせチョロいなとか思ってんだろ。俺には筒抜けだというのに。
俺は試しに料理に異能を掛けてみることにした。
「異能力解放
異能発動
コマンド:真鑑定」
すると、おぞましい鑑定結果が出てきた。
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ニバルの強火炙り
状態:ほんのり温かい
作成者:ビルン・ケービス(料理長)
空腹回復度:12%
備考:セントリア王国名物のニバルを強火で炙り焼きにしたもの。日本の炙りカルビに近い。
セントリア王国ではメジャーな料理だが、ニバルの独特な風味から、他国からは敬遠されがち。
《警告》
この料理には、食べた者を隷属させる毒が入っています。
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隷属薬
状態:非常に良好
作成者:ザンバリ=ムール・ステュール=セントリア(国王)
備考:摂取すると、作成者に隷属させられる。
少量をこまめに分けて摂取することで、本人も気づかない内に違和感なく徐々に言いなりになる。
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ふむふむ。
俺は瞬時に異能でその食べ物を消し、食べたように偽装した。
クラスメイトは知らん。俺には関係ない。
だがしかし、この国はやはり敵で間違いないようだ。