第3話 入学式(3)
2年前―――――
「母さん、早く病院行こう。仕事遅れるよ」
「はいはい。大丈夫だって」
母さんの仕事は昼の12時から夕方の6時半までだったはず。しかも土曜日だし、行きつけの病院は絶対今日混んでるよなぁ。うん。移動時間とか待ち時間とか長くなりそうだし早く行かないと。
「急いでね、じゃあ俺は先に車に乗ってるから」
そう言って家を出た。
車の中で勉強をしながらしばらく待っていたら、母さんが出てきて「ちょっと遅くなっちゃた」とか言いながら車を出した。
「着いたよー」
そう声が聞こえて目を開けると病院についていた。眠っていたようだ。病院の裏口の方に人がいたので、ふと見てみると中学生くらいの男子が二人病院の中に入っていった。裏口からだったので少し気になったが、気にしないことにした。
結局、診察までは1時間程待ち、母さんは『仕事に遅れるから』と、お金を渡して仕事に行った。
そして俺の番の頃には12時頃になっていた。先生がなかなか来ないので、どうしたのだろう。と思ったがその後すぐに来たので安心した。
「待たせてしまってすまないね。弟たちが忘れ物を届けに来てて。それにしても2週間ぶりだね」
それで気づいた。
「あぁ、もしかして弟さんって中学生ですか?」
と聞くとビックリした顔をしていた。
「よくわかりましたね。どこでそれを?」
「いやぁ、さっき、と言っても1時間程前ですが裏口から中学生くらいの男子が裏口から入っていくのを見たもので。裏口からっておかしいなぁと思ってたんですが、弟なら納得だな、と思って」
「あぁ、そういうことですか。相変わらず頭が回るのが早いですね。流石受験生です。それはそうと、まったくあの二人は...で、最近の肌の調子はどうですか」
先生はそう言うと腕や背中などを見て確認しだした。
「そうでしたね。薬が効いてきて乾燥もなくて嬉しいです。最初の頃が嘘みたいです」
「そのようですね、良かった。それじゃあ薬を少し弱くしたのを1週間分。それで?ほかに体調が悪いとかないですか?」
「大丈夫ですよ」
「そうですか。いつもみたいに変に体調が悪くなる前にちゃんと体調管理をしてくださいね。これからが大切な時期なんですから」
「はい」
「よし!頑張れ受験生!」
そうして診察は終わった。
見つけた誤字・脱字は見つけ次第直していますが、気づかないときもあると思うので報告下さるとありがたいです。意見、感想などもよろしくお願いします。