勇者、目覚める
とある王国のとある村。
窓の外から陽光が差し込む。
「起きてください。勇者様」
眼下にいる少年に声をかけるが一向に目を覚ます気配がない。
「起きて、起きてください勇者様!」
少年はごろりと寝返りをうつと窓の光りが眩しかったようでぎゅっと眉間に皺をよせのち青い目を開いた。
「変質者か?!」
目の前に鋼の刃を突き付けられ声をかけた少女のきれいに切りそろえられた黒い前髪が数本ハラハラと寝具に落ちた。
「ちがいます!ちがいます!」
刃を押さえるような仕種で首を振りながら少年を見た。
「ん、なんだ?」
少年は目を擦りながら目の前のに薄い蜻蛉の様な羽を持ちただようように飛んでいる手のひらほどの大きさの少女を凝縮した。
「なら、不法侵入か?!」
「ちがいます!ちがいます!」
が目の前の刃を下げないので少女は必死に首をふった。
「じゃあなんだ?」
チャキ
金属音をたてながら少年が剣を引いた。
「私は、リーラ。
導きの巫女と呼ばれております
ご神託を受けて勇者様をお迎えにあがりました」
リーラはひたむきなまなざしで眼前の少年を見た。
年のころは15・6歳のようだ。
寝起きのせいか金色の前髪は額にかかり伸びた後ろ髪はあらぬ方向に跳ねていた。
「勇者?誰がだ?」
少年はきょろきょろと辺りを見回した。
「貴方様です!!」
リーラは胸の前で両手を組み合わせて叫んだ。
「オレか?じゃあ人違いだな」
少年はそう言うと改めて寝具の中にもぐりこんだ。
「ご神託が間違えることはありません!
勇者様!
早くお支度をしてください」
「神託とやらがあってるか間違ってるかしらねぇが、少なくともオレは勇者とやらになりたいと思ってない」
少女が少年の耳元で話すので手で払いながら上体を起こしたまま言った。
「そんな!国を救うという広大な使命をそのようにおっしゃられるなんて!」
ショックを受けたらしいリーラは顔を手で覆った。
「そういうのは頭中が筋肉なヤツにいってやれよ」
軽く舌打ちをしながら少年はだらだらと寝具から体を出して立ち上がった。
「一緒に行って下さるんですね!」
リーラは喜色満面で天井に向かって舞い上がった。
「ちげぇよ、今日種まきをしようと思ってたのを思い出したから起きただけだ」
言いながら少年は寝室の扉を開け、階下に降りていった。
「お願いします、勇者様!国をお救いください!」
少年は言い募るリーラにイラついたように歯ブラシをくわえたまま手で払った。
「ご神託では貴方様こそが国をお救い下さると出ました。
民の為にもお願いいたします!」
「国を救う、国を救うって言ってるが、この国が何に困っているのかがちっとも伝わってこねぇぞ」
少年は顔を洗って長い髪をひとつにまとめてからからリーラに顔を向けた。
「それは王都に着きましたら説明させていただきます」
「ずいぶん悠長な話だな」
「ですから、早のご出立をお願いしております」
少年の眼前にリーラが立ちふさがるように浮かぶ。
「オレは勇者なんぞになりたくねぇってさっきからいってんだろ。
だいたい、この村で半農半猟で暮らしてて何の不自由もねぇ。
このまま成人して嫁をもらって幸せに暮らすという壮大な夢もある。
なにが楽しくて不測可能性の高い事を好んでしなきゃなんねぇんだ」
「勇者様の未来図もすてきですが勇者というのも壮大な夢だと思います!」
少年は手の甲で押すようにリーラを眼前からはずした。
「オレに何の利点もねぇじゃねぇか。
あのな、勇者なんぞじゃ飯は喰えねぇだろ?
なんだ、行く町村で勇者割りとか勇者様御優待とかあるのか?
ただの、旅人あつかいだろ?」
「勇者割り・御優待など、検討いたします!」
「おまえに決裁権あるのかよ」
リーラは握りこぶしを胸の辺りに持ち上げた。
「国を救っていただいたあかつきにはどのようなご要望でも叶えます!」
少年は腕を組み首をこきこきと鳴らした。
「オレが行かないといったらどうなるんだ?」
「朝な夕なと説得を続けます!」
「まんま、変質者じゃねぇか…」
少年は深々とため息をついた。
「しかたねぇな」
着替え終わった少年があきれたようにリーラを見ながら言った。
「王都にいってくださるのですね!」
リーラが空中でくるくる回った。
少年は髪をかきむしりながら文机に向かうと何かを書き出した。
「勇者様、何をされているのですか?」
「しばらく出かけるんならあいさつ回りにいかねぇとならねえからな。
そんときに渡す書類だ」
「???」
リーラが首をかしげているうちに書き終わったらしく少年は用紙を衣嚢につっこむと立ち上がった。
「しょうがねぇ、言ってくるか」
「もうご出立いただけるのですね!」
少年は苦笑いをした。
「さっき、あいさつ回りをするっていったろ。
人の話きいてねぇな」
「申し訳ございません。
勇者様が王都に行って下さると思い、心が浮き足立っていたようです」
リーラがしゅんと頭を下げた。
「なにはともあれ、村長に説明してこねぇといけねぇからな」
少年は背中に大降りの剣をかけてから荷物入れを持ち、
家の扉を開いた。
「はぁ~」
少年は扉の前で大きなため息とも深呼吸ともつかない息を吐いた。
此処に来るまで男は何件かの家を訪問した。
リーラは少年の肩口でそのやり取りを見ていたがあいさつ回りというよりはご近所の立ち話のようだった。
「王都に行くんなら名物の『ポロネック』を買ってきてくれよ!」
とか
「横着もののお前がそんなとこまででむくなんてなぁ(失笑)」
などと、はだはだ勇者様へのはなむけの言葉とは思えないものばかりであった。
コンコン
「だれだ?」
「村長オレです」
「あぁ、勝手に入って来い」
少年は相手の言葉通りに施錠してない扉を開き部屋と入っていった。
「おまえから来るなんてめずらしいな」
腰をかがめたまま顔だけを向けた。
「その横にいる方はどなたなんだ」
そういえばとリーラはいまさらながら気がついた。
勇者様の隣にずっといたのにリーラについて聞いてきたのはこの村長と呼ばれる男だけだった。
「わたくしは…」
「こいつはオレんちに不法侵入してご神託とかを並べ立てたリーラって馬鹿です」
喜び勇んで自己紹介をしようとしたリーラの言葉にかぶせるように少年が言った。
村長と呼ばれた壮年と思しき男は立ち上がると思いのほか長躯でがっしりとしていた。
「ご神託ね、で、なんて言われた」
村長は笑いをこらえるようなしぐさをしながら少年に聞いた。
「オレが勇者だから王都に来い…だそうです」
少年はさも嫌そうに言った。
「で、おまえは行くんだな」
村長はこらえきれずに笑いを漏らしながら言った。
「いかないと付きまとうっていうんです。この変質者は」
むすっとした顔のまま少年が言った。
「で、その挨拶か?」
「それとお願いしたいことがありまして」
少年は衣嚢から先ほど書いたものを取り出して村長の前で広げた。
そこからの会話はリーラにはさっぱりわからない言葉が飛び交っていた。
「この借地料、高くないか?」
「じゃあ3にしときます」
「雇用に際しての…」
「契約書の書式はこれでいいですかね」
「日給と月給どっちだ」
「オレの戻りによりますね」
「だが、それだと安定しないぞ」
書類を挟んで少年と村長が頭をつき合わせてうなっている。
「勇者様…ご出立は…」
リーラがおそるおそる声を掛けると村長と少年が険しい顔で振り向いた。
「そのためにやってるんだろ!」
「そのためにやっている!」
リーラは小さな体を更に小さくした。
「餞別がしけてんな」
ようやく村長との話がまとまったらしい少年は金が入っているであろう皮袋を石名取玉の様に手のひらで上下させながら言った。
「勇者様!」
少年は右肩口の辺りを飛んでいるリーラを見てため息をついた。
「その呼び方をやめてくんねぇか?
これから村やら町やらおまえさんにそう呼ばれたらいたたまれねぇ」
「では、どのようにお呼びしたらよろしいのでしょうか」
「フィンでいい」
「承知いたしました。フィン様。
わたくしのことはリーラとお呼びください」
「はいはい」
フィンは手を軽く左右に振った。
フィンの村から王都までは約5日の行程だが、フィンは近道をするといって道なき道をずかずかと歩いていく。
「フィン様、急いでいただけるのはうれしいのですが
街道をお使いになった方が安全かと思われるのですが…」
「時間がもったいないだろ」
フィンは下草がまとわりつくのもものともせずに早足で歩いていった。
「ん」
フィンが急に立ち止まったのでリーラの頭がフィンの肩に当たった。
「ど、どうなさいましたか?」
リーラは赤くなった額をさすりながらフィンを見た。
「泊まるとこを確保しねぇといけねぇな」
フィンは独り言の様にいうと更に歩く速度を上げた。
フィンが言ったとおりしばらく歩くと村が見えた。
「今晩は此処に泊まるぞ」
フィンはそういうと村人に話しかけ始めた。
村人はフィンと話しながらちらちらとリーラのほうにばかり視線を向ける。
リーラは心の中で当然の反応をする村人に安堵していた。
普通の人であればまず自分の姿かたちに驚くなり興味を持つなりするものなのだ。
気に留めないあの村の村人達の方が妙な反応なのだ。
「リーラ、宿決まったからいくぞ」
リーラはフィンの声に驚いて小さく飛び上がった。
フィンの決めた宿はおせじにも新しいとは言いがたかった。
清潔ではあるものの良く言えば趣のある宿とでもいうのだろうか。
フィンは宿の人間と話した後小さな紙を荷物入れに入れた。
「部屋はこっちだ」
フィンがリーラに手招きをした。
古ぼけた廊下の端にその部屋はあった。
ほぼ物置。
リーラは一瞬気が遠くなった。
「?どうかしたのか」
「フィン様、ここは部屋なのですか?」
「見るからに部屋だろう」
フィンが不思議そうに言う。
「ほかにもお部屋があったように思いますが」
「あぁ、一番安い部屋にしたからな。その上、自炊ってことで安くさせたしな」
フィンは楽しそうに言った。
「フィン様はこれから国をお救い下さる使命をお持ちなのにこのような…」
「寝るだけだろ」
「わたくしも同室ですか?!」
「なんか問題か?」
「だ、男女同室は問題かと…」
フィンは真っ赤になったリーラを上から下まで眺めたのでリーラは全身が赤くなる思いだった。
「そういうことのできる大きさじゃねぇ者に欲情するほどオレは変態じゃねぇよ」
フィンは呆れたという顔でリーラを見た。
「失礼なことを申し上げました」
顔を赤くしたまま恐縮するリーラを見てフィンがふっと笑った。
「そういえばお前…あぁ、リーラ。その体ってのは実体か?」
フィンに初めて自分の有り様を言及されてリーラは驚いた。
「ご存知でしたか」
道理でフィンが驚くこともなかったのだと納得した。
「正確には半分だけの実体です」
「あぁ、なるほどな」
フィンが納得しているのを見てリーラはフィンが見かけの年齢以上の知識を持っているのではないかと思った。
「細かいことを知らねぇんで聞くんだが、その体でも着替えたり、風呂入ったりするのか?」
フィンの質問にリーラの頬が赤くなる。
「はい…」
リーラは蚊の鳴くような声で答えた。
「ふぅん、なら風呂入ってこいよ。さっきの廊下の突き当たりに風呂があるって言ってたぞ」
「フィン様は?」
「オレはちょとやることがあるからな後で入るさ。あぁ、風呂は混浴じゃねぇから安心しろ」
「承知いたしました」
リーラは真っ赤になったままふらふらと飛びながら返事をした。
「フィン様」
物置のような部屋の扉を小さな手でたたくと中からフィンの声がした。
「おう、今開けてやるよ。あぁ、風呂の扉は開けられたか?」
「問題はございませんでした」
それはよかったとフィンが独り言の様にいいながら後ろを向き
何かを取ってからリーラの前に手を広げた。
「?」
「下着と着替えだ。あとそこがリーラの寝床だ」
「し、下着ってフィン様!?」
リーラが全身を真っ赤にして体を振るわせた。
「いや、どうみてもお前…リーラが着替えを持ってないようだったから
作っといたがなんか問題あったか?」
「…し、下着など勇者様が…」
リーラはもじもじと恥ずかしそうに言う。
「ぁあ!心配するな!オレは未使用・使用を問わず下着なんぞに欲情するような変態じゃねぇから」
爽やかな笑顔を浮かべるフィンを見ながらリーラは何かが伝わらないもどかしさを感じていた。
「フィン様…」
「ん?なんだ?嫌いなもんでも入ってたか?」
フィンと向き合ったままリーラはなんといったらフィンに伝わるのか考えあぐねていた。
「あ…、いえ嫌いなものはございませんので…大変おいしいです」
「うん、それはよかった」
フィンによってリーラ仕様に作られた小さな茶碗を持ちながらフィンの作った煮込み料理を食べていた。
「フィン様は何でもお作りになれるのですね」
リーラの言葉にフィンが小首をかしげた。
「?そんなんダレでもできんだろ。フツー」
変な事を言っているといわんばかりのフィンの口調にリーラは戸惑った。
リーラの周りの人間でそのようなものを作っている者を見たことがなかったからだ。
その上、フィンの作った服(下着を含む)は図ったようにぴったりで、料理も驚くほど美味しかった。
そんな勇者がいるのだろうか。
リーラはフィンの作ってくれた瀟洒な寝台で横になったもののなかなか寝付けなかった。
2日目の行程も同じようにフィンがずかずかと道なき道…フィンに言わせると近道とやらを早足で移動していた。
斜め下にきちんとした街道が見える。
「フィン様、街道でもよろしいのではないでしょうか」
「移動は迅速にしねぇと無駄に時間と金をくうからな」
フィンはリーラの言葉を気に留めることなく早足で歩く。
「ん?あ、もしかしてリーラ疲れてんのか?それなら早く言えよ」
フィンが足を止めてリーラの方を向いた。
「此処に乗っていいぞ」
フィンが手招きをしてから自分の右肩を指差した。
リーラは疲れているのではなく勇者であるフィンのことを慮って言ったのだが今回も真意は伝わらなかった。
リーラはあきらめにも似た心境で返事をするとフィンの肩に乗ることにした。
肩に乗っていると体が大きく揺れるのでリーラは怒られるかもしれないと思いながらもフィンの髪の一房にしがみついた。
上から笑っているような気配を感じてリーラはフィンの顔を見上げた。
「きゃー!」
下の方の街道から女性の悲鳴が聞こえた。
フィンはぴくっと頬を引きつらすと手のひらで肩に乗っているリーラの包み込むようにしてから勢い良く街道に向かって走り出した。
街道に下りてみると商人らしき姿の女性と荷車を運んでいる馬が剣を向けている盗賊らしき男達数人に囲まれていた。
フィンはリーラから手をはなすと
「離れてろ」
と短く言いリーラが離れてすぐに背中の太刀を勢い良く抜き上から大きく振りかぶった。
どぉおぉぉぉぉん!!!
地響きのような音にリーラは驚きくらくらする目をようやく開くと、盗賊達がきれいに弧を書くように女性の方を向いて倒れていた。
「フィン様!」
リーラがフィンに飛び寄るとフィンが倒れている盗賊の一人を足先で転がして仰向けにすると足で頬をたたいて起こした。
「んぁ!なんだてめぇ!」
目が覚めるなり飛び上がるとフィンにつかみかかろうとする盗賊にフィンが剣先を向けた。
「ん、なんだ?死にてぇのか?」
のんびりとしたフィンの口調と剣先に盗賊らしき男がひるんだ。
「何しようとしてたんだ?」
「確認しねぇで俺らをこんな目に合わせてのかよ!」
リーラもその意見だけは賛成だったので端で首を上下に振った。
「いや、この方が手っ取り早い(はぇえし)、落ち着いて聞けるだろ」
「こ、この人たちがと、突然、襲ってきて…」
声と体を震わせながら商人らしい中年の女性が盗賊らしき男を指差す。
フィンは盗賊らしき男に剣先を向けながら女性の言葉を聞いていた。
「あー、なるほどな」
「なんだ!俺達を役人に売るか?!殺すのか?!」
盗賊らしきいや襲撃したということは盗賊で確定だろう男は震えながらフィンに怒鳴った。
「お前ら、強盗好きなのか?」
「そりゃ、ちゃんとできるにこしたこたねぇができねぇだろ!」
男は怒ったようにフィンに怒鳴った。
男の声に倒れていた男達もうめき声を上げて目を開け始めた。
「んじゃ、仕事やる。
この街道を3日位歩くとベルムの村って村があるから、
着いたら村長に会えばお前達真っ当な仕事にありつけるぜ」
「ほんとうか?」
「オレは嘘はつかん。
あぁ、今行かない、もしくは村についていないって事になったら、
今か、次ぎ見たときに容赦なく叩き潰すけど、どうする?」
「選択肢がないのでは…」
リーラの言葉に小さく男がうなずいた。
男は他の男達を起こすと今聞いたことを話すと全員一致で村に行くことが早々に決まった。
「良い選択だな。あ、ちょっとまった。
お前さんだけは今から王都にいってくれねぇか。
んで、王都で見かけなければさっき言った事を実行するまでだがどうする?」
逃げるように背を向けていた男達の中から最初に声を掛けた男の服の襟をつかんだ。
首が絞まるかのようにフィンにつかまれた男が顔を青黒くさせながらうなずいた。
「わりぃが、今から村にいってもらうあんた達に頼みたいことがあるんだが、
これ、村長に渡してくれ。」
フィンが手紙らしき物を残りの男達の一人に渡すと男達は後ろを見ることなくもの村と王都へとすごい勢いで走り去った。
「フィン様、あのような輩がフィン様にお住まいになっていたところに行かれては村の方たちが危険なのではないでしょうか?」
リーラがおずおずとフィンに言う。
「?なんでだ?あんな弱い連中がいったところで誰も困んないだろ?」
フィンが不思議そうに首をかしげる。
「あの…助けていただいて…ありがとうございます。
これは些少ですが…」
商人らしき女性がおずおずとフィンに品物を差し出した。
「おばちゃん!それ商売物だろ、もらえねぇよ。
また今度あったときにでも飯でもおごってくれや」
フィンは片手を軽く挙げると元来た道にずかずかと歩いていった。
「フィン様、あの方の心遣いお受け取りにならないのですか?」
「リーラは『情けは人のためならず』って言葉をしらねぇのか?
あぁいうのはそのうちなんかでかえってくんだぜ
あ、疲れてんならまた肩に乗っていいぜ」
笑いながら目の前の枝を掻き分けながら進んでいくフィンを見ながらリーラはこめかみに手を当てた。
リーラとか云う変質者に勇者といわれたオレは、
このまま付きまとわれるのも嫌なので、壮大な夢をあきらめて
リーラ(ストーカー)のいうまましかたなく王都に向かった。
次回、『勇者王都に立つ』