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寂然

木枯らしがビュービュー吹くさなか

私は何もない所をひたすらかけていた

その闇はねちっこく

どこまでも私にへばりつく

それは躰にしみこみ

誰も解明できていない星野さえ

分からないそれは

心をむしばむ

グジグジ



前書きを数行削りながらもう一つの手はメガネを直す

その焦点のぼやける視界を絶えずパソコンに向ける

グワ――ン



どこかで怪獣アレキテレスが鳴く


どうしましたか

一人で書き上げていた小説を止めて電話に出る

白を基調としたホテルの一室

まるで小説家じゃないかと笑いたいが辛い現状で笑うことは不可能であった

あのロビーにいます

その女の声

担当の子夏という明るいだけの女だ

しぶしぶ手を止めたまま立ち上がりコートを羽織りながら廊下に出た

もちろん部屋のカギは持っている

締め出されるから

締め切りを締め出そうとしている作家は敏腕でもない担当のいるロビーに行く

あの人は作家に何かおごらすからいやだ

遠慮なく食う

まったく何しに来て言うのか分かったもんじゃ無い

それどころか邪魔しに来ているんじゃないかとさえ思う

ゴビィ――――

どこか海岸線だと思うが

Bl36圏が叫ぶ声が聞こえた

きっと爺老老婆防衛隊に退治されたんだろう

エレベータで390階から地下二階のロビーに降りた

そこにはひまわりのごとき笑顔の女がロビー―

の艶やかさに打ち勝つほどの幼さとは裏腹な元気をまき散らす

その太陽に僕という宇宙のゴミが向かう

燃えることがわかっていながら進まなければならない

作家の死の進行

独立国家にもほどがある

これじゃあひどい独裁者の仕切る国ではないか

僕は彼女の前に坐る

フカフカのソフャーだ

彼女は目の前にルームでもないところで食い物をルームサービスして我が物顔で食い尽くしていた

えグゥ~~と

そのもごもごする口を見ないようにしながら小柄で細身の女子大生とも取れるその女を確認する

それを見たらやる気をなくす

苦労とははなはだ無縁そうな女だ今も幸せそうに

高級なスペースモンブランを食っている

それを観ただけでだらけたくなる逃げ出したくなる

でっ要件は

、、、、、、、、もぐもぐ、、、、、、、、、。エンドレスに返事をしない無礼な担当

僕はふつふつとわくその想いを

ガギン星人のごとく吠える3800星雲を吹き飛ばした勢いを真似て

彼女を吹き飛ばさん勢いで叫ぶ

この時点で失敗だ

  奴は笑う       笑いながら叫ぶ



っへ と怖い笑顔で




どこまでも白い豪華なロビーの一つ

僕はおとなしく小説を書きに

 原稿を落とさないように

                 エレベーターで部屋に戻った。    

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