時の歯車 2
…また、あの日の夢を見た。
季節はもう、春だというのに。
どれだけダメージが多いのよ、わたし
苦笑いをしながら私はベッドから這い上がり、制服に腕を通す。
側に置いておいた鞄をひったくり、私は家を出る。
「真樹菜ー!朝ご飯はー!」
母さんの声がするけど、気にしない。
ショートの髪は伸びかけて、今はミディアムになっている____を風になびかせ、私は通学路を急ぐ。
季節はもう、すっかり春で地面には若い草が顔をのぞかせている。
時は確実にながれているのね…。
そう思うとやはり少し切なくて私はうつむいた。今ではおじいちゃんの声を思い出すのさえ、難しくなってきている。
人はやはり、そばにいる人のことだけを考えるようになるのか…。ううんそんな事はない…。
口元をぎゅっと結び、私はまっすぐ前を見る。
今日から新学期、高校生だ。私の学校は中高一貫だから、高校は持ち上がりだけど、外部から入ってくる子たちがたくさんいるから、すこしだけ緊張していたり。
「…相田、なに百面相してんの」
ふいに声をかけられて私は急に現実世界にひきもどされた。
「え、ああ、え?」
「ブッ 何だよ。お前熱でもあんの」
……前橋勇!?!?