6.スキル遣いの双子
戦闘描写ってやっぱり難しいです…
Side:セド
「「こんにちは」」
ぶつかる、かと思ったが、炎は俺の目の前で消滅した。
正しくは、俺の目の前にある見えない壁にぶつかって消えた。
「僕は楓」
「僕は木通」
「よろしくね、新人さん」
「それから、今から死ぬ皆さんも」
代わる代わる、同じ声で告げられる2種類の台詞。
俺の目の前には、2人の少年――否、スカートをはいているから少女か。双子の少女がいた。
おそらく、俺を守ったそれは、スキル《絶対防御》ってヤツだ。魔力を消費するという点では魔法と同じだが、自然を操る火・風・水・土の4系統に属さず、少数が固有で持つ能力。無詠唱でできるってのがポイントだ。
「「あーでも、死ぬんだから名前なんて聞いても意味ないか」」
圧倒的だった。
少女たちが手をつなぐと、それぞれの手に剣が現れた。スキル《召喚》。
手を離した2人は、まるで舞のように、的確に急所を狙って男たちを倒していった。
1人の少女が背後から狙われれば、もう1人が後ろから心臓を突き刺し。
1人の少女が距離をとったと思えば、その間にもう1人が割り込んで胴体を薙ぎ。
見事なコンビネーション。
「すっげぇ……」
言ってから気づいた。
すげえ、って何だよそれ。俺はいま剣を握ってるじゃん。いまどうして俺はここにいる?
俺も戦わないでどうするっての。
“勇者”とか呼ばれる、リーダーと思われる男に走りよる。さすが、と言ったらいいか、俺のスピードも目で追って、剣をふりあげてきた。
それをはじきとばす。
全力だしたつもりだ。腕が折れたかもしれねえ。ま、今から死ぬんだから関係ないよな。
俺ははじきとばした流れで、男の首をはねた。
Side:シン
「どうだ?」
俺はつぶっていた目をあけたアメに声をかけた。
「終わった。危なかったけど、カエデとアケビが助けた」
「そうか、よかった」
アメのスキル《千里眼》。彼女はこのスキルと多大な魔力、精密な魔法によって、超長距離魔法射撃を行っている。
もしセドが危なそうなら、援護にまわってもらおうと思っていたが、不要だったようだ。
それにしても、あの双子か……。
「アイツ、大丈夫か?」
俺の独り言に、アメは返答しなかった。