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砦の日々  作者: 花屋
≪日常編≫
6/68

5.殺していいんだよな?


Side:セド


「へえ……世界って広かったんだな」


 砦は横に長い形をしていて、魔界側・人間界側の両方に窓がある。こんなに高いところにのぼったのが初めてで、目の前に広がる大地に驚いた。


 魔界は砦のすぐそばから広がっているけど、人間の住む町と砦は、かなり離れている。


 窓から眺めをじっと見つめていると、ふと点――丸?がこちらへ向かって移動しているのが見えた。


「ん?おい、シン。あれ何だよ」


「どうした、セド――ああ、勇者が攻めてきたな。さて、誰を出すか」


 勇者?


「勇者って――あの、人間がよこす?開戦宣言とかしねえのかよ」


「戦争は今も続いているぞ?戦闘がないってだけでな。確かに、いつ攻めてくるかわからないから、1人は砦に残らないといけないってのがつらいな。でも敵にそんなこと言っていられないだろう?」


 理解はできる。けどなんとなく納得できない。


 ……いや、待てよ。勇者ってことはつまり、



 殺していいんだよな?



「俺行ってくる!」


 背中に背負った剣を抜きながら、窓から飛び降りた。今いたのは3階だ。だけどこれぐらいなら、魔法も使わずに飛び降りたって余裕。獣人なめんな。


 くるくるっと体をまるめて回転させる。地面に近づいたときに体勢をもとに戻しておりたった。かなり決まったと思う。


 さあ。


「行くぜ!」


 獣人ってのは、魔人の中でも身体能力が秀でている。さらにその血が開花している俺。


 さっき点に見えたところまでを数秒で駆け抜ける。左右の景色が一瞬で後ろへ流れていって、世界中に俺だけみたいだ。息切れ?んなもんするかよ。


 人間の可視スピードより速く“勇者”とやらの目の前におどりでる。俺はスキルを持ってねえけど、《瞬間移動テレポート》みたいに見えただろうな。


 目の前には、10人の人間。……攻めてくるには少ないんじゃねえの?


「――なッ!子供!?」


 は?子供だと?


「抜かせっ!!」


 一言で沸点まで急上昇した。抜き放った剣を無造作に左から右へ振る。小さな手ごたえ――骨を断つ。


 「子供」とか言った男が、胸から鮮血を噴き出して倒れた。


 ハッ。弱ぇよ。


「ハディッシュ!くそっ、貴様、魔族か!」


「当たり前だろうが!ここまで来て何言ってんだよ」


 味方が死んだのに動揺した男が、剣を抜いて切りかかってきた。あ、コイツはまあまあいける。俺の筋力とスピード(手加減はしてるけど)についてきてるしな。


 右から切りかかってはじかれたら、次は左。その次は上から。――ッと、危ねえ!


「はあっ!」


 槍を持った男が俺の腹をめがけて突いてきた。慌てて避けたけど、掠った。


 小さな傷なのに、かなり痛ぇ。


【―世界に願う。我、いま炎を操らんと】


「――ッ!!」


 5人がかりで魔法の詠唱って、ズルイだろ!どんだけ魔法使いがいるんだよ。


 襲い掛かってくる炎を、風の盾で防ぐ。


【―世界に願う。我、いま風により我が身を守らんと】


 巨大な炎は、風の渦にぶつかって――やぶられた!?


 畜生、俺は魔法は苦手なんだよ!


 風で防御するか――いや、間に合わねえし、また破られるかもしれねえ。避ける――?


 考えているうちに、炎は俺の目の前まで迫っていた。



 ぶつかる――!?


油断大敵ってことですね

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