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砦の日々  作者: 花屋
≪界渡編≫
54/68

48.熟考


お待たせしました。


もっと早くだせるかと思いましたが、テストがあり執筆が遅れました。


Side:セド


 有り得ねえ。意味わかんねえし。


 何で戦争が終わるんだよ。


 魔王の命令?んなの無視すればいいだろ。もう失うものなんてねえんだからさ。シンは姉だか母親だか知らねえけど、いまだに思いこがれてるらしいけどさ、そんなの俺には関係ねえし。


 あー殺したい。誰だっけ。あの人間共は魔王城に行ってるらしいけど、帰ってきたらぶっ殺す。つうか、そうだあれだ。シンが駄目とか命令するから、それに素直に従ったのが、そもそもおかしくね?マジ有り得ねえし。



 とりあえずシャワーだけ浴びて部屋を出た。まだ髪が濡れてる。


 シンは魔王城に報告に行った。そのためにスキル《瞬間移動テレポート》が使える奴が必要だから、カエデとアケビも一緒だ。

 ナグサは俺と同じようにシャワーを浴びてるだろう。


 食堂に降りると、アメと、何故か男がいた。

 あー……誰だっけ。名前が出てこねえ。特徴がないからド忘れした。孤児院を経営してる奴。


「セド!?はあ、君もですか……」


 あ、そうだ。“ルウくん”だっけ。


「意外と平気そうじゃん。てことは、ナグサはあんたの前で殺さなかったのか?」


「そんなわけないじゃないですか!ナグサは……」


 いきなり叫んだルウが「うっ」と口をおさえた。吐き気すんなら休めばいいのに。

 あ、いやあれか?こんな戦闘バカたちがいるとこでは、寝れないのか?


「大丈夫だぞ?俺たちはあんたみたいな弱っちいの、わざわざ殺さねえし。ゆっくり寝ろよ」


「そういう問題じゃないです!」


 何だよ。ヒス?女じゃねえんだからさ。


「どうしてあなたもナグサも、こう少しずれているんですかね。――ッ!そういえば、ナグサは!?」


「は?今さらかよ。アイツなら、部屋に閉じこもってんじゃね?」


「それは、その……?」


 そのって何だよ。最後まで言えっての。

 こういうのっていらつく。ただでさえ戦争が終わりそうでむかついてんだからさ。


 あー、イライラする!!



 ダンッ!!



「そう“その”だよ。何かアイツすげえテンション上がっててさ、部屋でナイフでも磨いてんじゃね?」


「そそ、そうですか……」


 ん?ナグサのテンションが高い?

 つーことはあれじゃね?実は戦争が終わらない秘訣があるとか?で、ナグサとシンはそれを知ってる?


 うわ、俺気づいちまった。天才だろ。

 確かに、これならシンが魔王の命令に素直に従ったのも頷けるな。


 どこだ?強い魔物は大半が双子に狩られているだろ?

 ずっと殺せるようなとこじゃねえと、容赦しねえぞ?


 あ?さっきの音?

 むかついた俺がテーブルにナイフを突き立てた音だが、何か問題でもあるか?


「つうかアメも話せっての。俺に任せてないでよ」


 テーブルに座ったアメはちら、とこっちを見た。だがすぐに正面に視線を戻す。

 じっと固まって何してんだ?

 1年一緒にいるけど、あいつのことって

、未だによくわかんねえ。



「ナグサは……僕たちが日常を過ごしている間も、戦っていたんですよね」


「あいつが、嫌々戦ってたと思うか?」


 シンいわく、ルウはナグサの兄のような立場だったらしい。もちろん、常識的に考えれば、ってことだが。

 実際のとこ、ナグサはそれほどルウのことを大事に思ってねえと思う。好きじゃないってことじゃねえけど、あいつの中じゃ戦闘以外のすべてのことの価値は低い。

 はたから見ただけじゃそれがわかんねえから、気持ち悪いんだよな、あいつって。


「子供たちも、ショックを受けているみたいです。トラウマになるかもしれません」


「へえ」


 んな深刻そうな顔されたって、あの身の程知らずたちがどうなろうと俺の興味の範疇じゃねえし。そもそもガキって嫌いだしな。


「何で…!?どうしてあなたもシンもナグサも、そんな他人事みたいな……」


 いや、だって他人事だし。


「魔物の血が開花した奴ら、って聞いたことねえ?俺たちそれなんだけど」


「その話は聞きました」


 じゃあ何でそんな、ウジウジ悩んでんだよ。

 真面目、とかナグサは言ってたっけ。まったくその通りだ。俺とは頭が違う先祖から出来てるに違いない。

 ま、冗談抜きにしても、俺たちの本能は魔物なんだから、違う先祖ってのはあながち外れちゃいねえよな。


「“殺す”ためだけに生きる……君たちは、悪です。魔族を悪だという人間たちは意味がわかりませんでしたが、今なら納得できます。君たちは悪魔ですね」


「あ、そう」


 人間たちもそういうけどさ、悪とか正義とかって、そんなに、大事なのかよ?それなら、お前らは問答無用で正義なのか?そういうのって、メンドくねえの?


「僕は、ナグサの本質を見れなかった。何年も一緒にいて、それこそ兄弟みたいだったのに」


 だから、ナグサは兄弟だなんて思ってなかったって。 いや、あいつのことだから、兄弟でさえも笑顔で殺すか?


 つうか、ナグサの本質って何だよ?

 あいつは結構ワガママだ。笑いたいときには笑うし、殺したいときには殺す。だから、あいつがルウの前で笑ってるのって、それこそが本質なんじゃねえの?

 他の奴の性格とかを、自分の見えてる範囲で考えて、それで全部だって思うのが、傲慢だろ。


 そんなことを思いつつも、俺はそれを口に出さなかった。

 そんなことした日には、アメからシンに伝わって笑い者にされるのがオチだからな。


 もしかすると、あくまで体は普通の魔族のカエデとアケビは、ルウの気持ちがわかるかもしれない。

 そう考えると、あいつらって意外とまともなのか?

 だが俺は、目の前の男を見てその考えを打ち消した。


 あいつらは可愛い顔の下で、こいつを狙ってるんだった……まともなはずがない。俺も何度犯されそうになったことか。


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