46.意味不明な人達
Side: ナグサ
意味わかんない。
ルウくんたちもさ、何でこんなとこにいるの?
「んー、どうすればいいんだろ。とりあえず、そこ の人間を殺せばいいよねぇ?」
どうなんだろ。殺しちゃ駄目なのかな。初めてのことだから、わかんないよ。
いっかい戻ってシンに聞くとしても、ここどこかわかんないし。戻ってる間に逃げれちゃうよ。
魔法で聞くためには、《血濡れの戦場》を解除してもらわなきゃ駄目だし。
もー、頭がパンクしちゃうよぅ。
アケビとカエデが来れば良かったのに。
ん、でも待って。
あたしをここに放り出したってことは、あたしに任せるってことだよね。つまり、刺し殺しても絞め殺しても焼き殺しても、あたしの自由ってことだよね!
うん、アケビもカエデも大好き!
「ナグサ、その腕……」
黙りこんだあたしに、ルウくんが話しかけてきた。あーもうルウくんでもいいから、どうすればいいか教えてよ。
ってか、腕?改めて見直すけど、変なところはない。至って普通に、血に濡れている。
「え、腕がなあに?」
血まみれだけど、全身そうでしょ?いったいどうしたんだろ。
「……いえ、何でもありません」
「そうなの?」
ルウくんって、ホントになに考えてるのかわかんない。スカート来てこいって言ったり、駄目って言ったり。
ちゃんと頭の中で整理してから、口に出せって、昔ルウくんが言ってたのになあ。
「すまない、聞いてくれるか」
突然、人間が話しかけてきた。すっごく丁寧で、ルウくんみたいに馬鹿にしてる感じもしない。
けっこーいい人たちじゃん、人間って!
うん、やっぱり殺さないでおこうかな!
「うんうん、なになに!?」
「あ…わ、私たちは、あなた方と争うつもりはない」
へ?
「そちら側も、防衛の為に戦っているようだ。私たちはそれを今まで知らなかった。これを期に、無礼を詫びて、互いの平和の為に手を取り合わないか」
……?
ちょっと待って。
人間の言葉を頭の中で何度も繰り返して、
やっぱり。
「ルウくん、通訳して!この人の言ってること、意味わかんない」
場が急に静かになった。
え、どしたの?何か起こった?
「やはり、ナグサですね」
「何それ。どーいう意味?」
「いえ、気にしないでください。ただ、ほっとしただけですから。
その人間たちの言っていることですが……今まで、魔族のことを何も知らなかったんでしょう。敵意があるのでないならば、戦争を止めて仲良くしましょう、ってことです」
その意味を理解するうちに、頭の中が真っ白になっていく。
「なかなか信じることはできませんね……。人間がそんなことを言い出すとは、 」
「なに言ってるの!?」
何か呟くルウくんの声を遮って、あたしは叫んでた。
「駄目駄目!ぜぇったいに駄目!そんなこと、許さないから!戦争が終わっちゃったら、戦えなくなるんでしょ!?殺せなくなるなんて、そんなことさせないから!」
ルウくんたちと人間が、同じように口をぽかんと開けてる。馬鹿みたい。
当たり前のことを言っただけなのに。




