45.魔族とは
更新遅れて申し訳ありません。
高校生活に慣れず、執筆がなかなか進みませんでした。
こんな駄文を待ってくださる方がいるのを祈って、次話投稿させていただきます。
これからも更新が遅れることがあるかもしれません。どうか暖かい目で見守ってやってください。
Side:アレクレイ
魔王とは何なのか。
魔族の王である。
諸悪の根元である。
滅ぼすべき敵である。
勇者とは何なのか。
魔王との戦いにおいて英雄的な役割を果たしたものたちである。
諸事情による戦争の犠牲者たちである。
聖剣とは何なのか。
神から与えられた、魔王を倒すための聖なる武器である。
魔法が付与された単なる武器である。
魔王とは何なのか。
絶対悪である。
では、魔族とは?
「や、やだぁ……」
「ルウ、助けて…」
「この子たちには、手を出させませんよ!」
手を出す?まさか。
目の前で震えている子供に、この私が危害を与えるはずがあるか。
そう言いたいのに、一方で殺してしまえという声がする。
私の声ではない。
昔――まだ私がもっと若かったころ、辺境の村で、魔族に会った。その魔族は村人に捕らわれていた。彼は命乞いをしてきた。
私は――理由を聞かなかった。理由も聞かず、その魔族が処刑されるのを見届けた。根拠はない。強いて言うなれば、彼が魔族だったからだ。
魔族がいるのと、怯えて抱きついてきた子供がいた。
あいつを殺してくれと、必死で頼み込まれた。いや、頼むのとは違う。そうするべきだと、訴えられた。
殺せ。悪のしもべは殺せ。殺してしまえ。
ああ魔族がいるのかと、私は迷うことなく剣をふりおろした。
怯える魔族の少年と少女に、あの日みた子供が重なった。
「お前たちは……」
その続きが出てこない。
見逃すのか?それとも、切り殺す?
あの化け物たちと違って、目の前の青年は強くはないらしい。捕らえるのは容易だろう。
襲いかかってくるのならば、殺せばいい。では、怯えるならば?
動けない。どうすればいいのか、わからない。
膠着状態の中に、馬鹿みたいな存在がふってわいた。
茶のショートヘア、頭には混ざり物の印――猫の耳。
街を歩いていても不思議でない快活な笑顔を、一方で全身を真っ赤に染めて、みせている。
手には、おそらく人間の血を浴びた短剣。
私たちを殺しにくるのかと身構えたが、少女が話しかけたのは、怯える魔族たちのほうだった。
「あれ、ルウくん、こんなところで何してるの?」
街で偶然会ったかのような台詞。それを平然と言える少女に、鳥肌がたった。
年季が違う。
これは、長年戦場で生き、殺してきた者の言葉だ。戦場で緊張することなどない、戦場が日常となった者の言葉。
だが、言われたほうは常人だった。
「ナグサ……?嘘でしょう、そんなまさか」
どうやら彼らは知り合いだったらしい。しかし彼女が戦場で戦っていると、彼は知らなかった。そんなところだろう。
知り合いと会ったことで、精神が鎮静化して、話し合いに応じてくれれば、
「んー、どうすればいいんだろ。とりあえず、そこの人間を殺せばいいよねぇ?」
という風に簡単にはいかないか。
いや、まだだ。まだ諦めるわけにはいかない。
私はこの新事実を持ち帰らなければならない。
人間に怯える、弱者の魔族もいる、という事実を。




