表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
砦の日々  作者: 花屋
≪界渡編≫
51/68

45.魔族とは


更新遅れて申し訳ありません。


高校生活に慣れず、執筆がなかなか進みませんでした。


こんな駄文を待ってくださる方がいるのを祈って、次話投稿させていただきます。


これからも更新が遅れることがあるかもしれません。どうか暖かい目で見守ってやってください。

Side:アレクレイ


 魔王とは何なのか。


 魔族の王である。

 諸悪の根元である。

 滅ぼすべき敵である。


 勇者とは何なのか。


 魔王との戦いにおいて英雄的な役割を果たしたものたちである。

 諸事情による戦争の犠牲者たちである。


 聖剣とは何なのか。


 神から与えられた、魔王を倒すための聖なる武器である。

 魔法が付与された単なる武器である。



 魔王とは何なのか。


 絶対悪である。



 では、魔族とは?







「や、やだぁ……」

「ルウ、助けて…」

「この子たちには、手を出させませんよ!」


 手を出す?まさか。

 目の前で震えている子供に、この私が危害を与えるはずがあるか。


 そう言いたいのに、一方で殺してしまえという声がする。

 私の声ではない。


 昔――まだ私がもっと若かったころ、辺境の村で、魔族に会った。その魔族は村人に捕らわれていた。彼は命乞いをしてきた。

 私は――理由を聞かなかった。理由も聞かず、その魔族が処刑されるのを見届けた。根拠はない。強いて言うなれば、彼が魔族だったからだ。


 魔族がいるのと、怯えて抱きついてきた子供がいた。

 あいつを殺してくれと、必死で頼み込まれた。いや、頼むのとは違う。そうするべきだと、訴えられた。


 殺せ。悪のしもべは殺せ。殺してしまえ。


 ああ魔族がいるのかと、私は迷うことなく剣をふりおろした。



 怯える魔族の少年と少女に、あの日みた子供が重なった。


「お前たちは……」


 その続きが出てこない。


 見逃すのか?それとも、切り殺す?

 あの化け物たちと違って、目の前の青年は強くはないらしい。捕らえるのは容易だろう。


 襲いかかってくるのならば、殺せばいい。では、怯えるならば?


 動けない。どうすればいいのか、わからない。



 膠着状態の中に、馬鹿みたいな存在がふってわいた。



 茶のショートヘア、頭には混ざり物の印――猫の耳。

 街を歩いていても不思議でない快活な笑顔を、一方で全身を真っ赤に染めて、みせている。

 手には、おそらく人間の血を浴びた短剣。


 私たちを殺しにくるのかと身構えたが、少女が話しかけたのは、怯える魔族たちのほうだった。


「あれ、ルウくん、こんなところで何してるの?」


 街で偶然会ったかのような台詞。それを平然と言える少女に、鳥肌がたった。


 年季が違う。


 これは、長年戦場で生き、殺してきた者の言葉だ。戦場で緊張することなどない、戦場が日常となった者の言葉。


 だが、言われたほうは常人だった。


「ナグサ……?嘘でしょう、そんなまさか」


 どうやら彼らは知り合いだったらしい。しかし彼女が戦場で戦っていると、彼は知らなかった。そんなところだろう。


 知り合いと会ったことで、精神が鎮静化して、話し合いに応じてくれれば、


「んー、どうすればいいんだろ。とりあえず、そこの人間を殺せばいいよねぇ?」


 という風に簡単にはいかないか。


 いや、まだだ。まだ諦めるわけにはいかない。

 私はこの新事実を持ち帰らなければならない。



 人間に怯える、弱者の魔族もいる、という事実を。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ