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砦の日々  作者: 花屋
≪界渡編≫
47/68

41.俺の戦い

今回はSIDEセドですが、1年経って戦闘狂度が増してます


Side:セド


「はあああッッ!!」


 剣を振り回す。とりあえず切れればいい、って感じ。

 振り切ったときに当たった奴は、宙へと舞って消え去った。降りたときには体が滅茶苦茶になってるだろうな。


 俺の剣の腕は、この1年でかなり上がったと思う。今じゃ魔法を使われたって、ナグサに負けることは有り得ない。

 そりゃそうだ。俺は砦に来る前まで、ホントは剣なんて握ったことすらなかったんだからな。ほとんど勘で動いてたし。それで勝てたって俺すげえ。

 死んだって楽しめりゃいいから、相手が自分より強くてもいいけど、自分が弱いってはなんか嫌だ。それに余裕ができて戦闘をもっと楽しめるから、今のほうが好きだ。


「貴様ぁぁああ――」


 怒声は途中で不自然に途切れた。アメの仕業に違いない。


 まったく、獲物横取りすんなっつうの。俺けっこうアイツのこと嫌いかも。

 ん?けど、アメがサポートに回るってのは戦闘の前から聞いてたよな。取られたって文句は言えねえのか?


 じゃあ、先に殺せばいいんだよな!


「つーことで、スピードアップしてくぜー!」


 叫んだのに、誰も注目しない。


 はあ?何だよこれ。

 もしかして、今さらアメの魔法に混乱してんの?状況把握が遅すぎだろ。


 戦場じゃ思考停止の1秒が命取りだぜ?


 固まっている魔法使いらしき男を切り裂く。――って、魔法は今は使えねえから意味ないじゃん。

 あー、しまった。時間を無駄にした。


 とか考えているのに、反省の色もなく、俺の剣はその隣の魔法使いに吸い込まれていく。

 ま、あれだよな。とりあえず殺せばいいんだよ、殺せば。全員殺せば勝ちだろ。


「化物だッ!化物がいる、逃げろ―ッッ!」


「はあ?これ逃げていいゲームじゃねえし」


 真面目に逃げてる奴いるじゃねえか。どうすんだっけ、こういう時。


 えーと、追いかけて殺す?


「ぐわぁッ」


「のは、少人数のときだけだっけ。今回は多いから追いかけなくていいって言われてたんだった。

 すまねえ、ミスった。ドンマイ」


 返事はない。当然だ。俺が殺したんだからな。


 ドンマイって、2回目はないんだっけ。あれだ、来世で頑張れよ。


「逃げる奴は逃げろ。俺はけっこー機嫌がいいから見逃してやる。

 ただし――」


 想像するだけでゾクゾクする。


 相手の剣が俺の肉を切り裂き、俺の剣が相手の首をはねとばす。

 こういうの、何て言うんだっけ?淫靡?


 興奮して、頭の中が戦いたい(、、、、)という妄想で埋め尽くされて、真っ白になってく。

 もう何を言うかも考えられない。


「強い奴は逃がさねえからサァ。ギャハハハッ!」


 そんな咆哮をあげる俺はまさしく化物だ。


 そう思って気分がよかったのに――それが唐突に破壊された。


「うおッ!?」


 人間?奴らじゃねえよ。俺の剣がぶっ壊れたってだけだ。

 これは半年ぐらい使ってるし、そろそろ折れてもおかしくないとは思ってた。けど何で今のタイミングなんだよッ!

 テンションだだ下がり。やっぱり見逃さずに、全部殺すか。


 俺は攻撃を避けながら無造作に敵の剣を拾い上げて、これが終わったら新しい剣を買いに行くんだと心に決めた。



 結局それは叶わなかったんだが。


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