41.俺の戦い
今回はSIDEセドですが、1年経って戦闘狂度が増してます
Side:セド
「はあああッッ!!」
剣を振り回す。とりあえず切れればいい、って感じ。
振り切ったときに当たった奴は、宙へと舞って消え去った。降りたときには体が滅茶苦茶になってるだろうな。
俺の剣の腕は、この1年でかなり上がったと思う。今じゃ魔法を使われたって、ナグサに負けることは有り得ない。
そりゃそうだ。俺は砦に来る前まで、ホントは剣なんて握ったことすらなかったんだからな。ほとんど勘で動いてたし。それで勝てたって俺すげえ。
死んだって楽しめりゃいいから、相手が自分より強くてもいいけど、自分が弱いってはなんか嫌だ。それに余裕ができて戦闘をもっと楽しめるから、今のほうが好きだ。
「貴様ぁぁああ――」
怒声は途中で不自然に途切れた。アメの仕業に違いない。
まったく、獲物横取りすんなっつうの。俺けっこうアイツのこと嫌いかも。
ん?けど、アメがサポートに回るってのは戦闘の前から聞いてたよな。取られたって文句は言えねえのか?
じゃあ、先に殺せばいいんだよな!
「つーことで、スピードアップしてくぜー!」
叫んだのに、誰も注目しない。
はあ?何だよこれ。
もしかして、今さらアメの魔法に混乱してんの?状況把握が遅すぎだろ。
戦場じゃ思考停止の1秒が命取りだぜ?
固まっている魔法使いらしき男を切り裂く。――って、魔法は今は使えねえから意味ないじゃん。
あー、しまった。時間を無駄にした。
とか考えているのに、反省の色もなく、俺の剣はその隣の魔法使いに吸い込まれていく。
ま、あれだよな。とりあえず殺せばいいんだよ、殺せば。全員殺せば勝ちだろ。
「化物だッ!化物がいる、逃げろ―ッッ!」
「はあ?これ逃げていいゲームじゃねえし」
真面目に逃げてる奴いるじゃねえか。どうすんだっけ、こういう時。
えーと、追いかけて殺す?
「ぐわぁッ」
「のは、少人数のときだけだっけ。今回は多いから追いかけなくていいって言われてたんだった。
すまねえ、ミスった。ドンマイ」
返事はない。当然だ。俺が殺したんだからな。
ドンマイって、2回目はないんだっけ。あれだ、来世で頑張れよ。
「逃げる奴は逃げろ。俺はけっこー機嫌がいいから見逃してやる。
ただし――」
想像するだけでゾクゾクする。
相手の剣が俺の肉を切り裂き、俺の剣が相手の首をはねとばす。
こういうの、何て言うんだっけ?淫靡?
興奮して、頭の中が戦いたいという妄想で埋め尽くされて、真っ白になってく。
もう何を言うかも考えられない。
「強い奴は逃がさねえからサァ。ギャハハハッ!」
そんな咆哮をあげる俺はまさしく化物だ。
そう思って気分がよかったのに――それが唐突に破壊された。
「うおッ!?」
人間?奴らじゃねえよ。俺の剣がぶっ壊れたってだけだ。
これは半年ぐらい使ってるし、そろそろ折れてもおかしくないとは思ってた。けど何で今のタイミングなんだよッ!
テンションだだ下がり。やっぱり見逃さずに、全部殺すか。
俺は攻撃を避けながら無造作に敵の剣を拾い上げて、これが終わったら新しい剣を買いに行くんだと心に決めた。
結局それは叶わなかったんだが。




