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砦の日々  作者: 花屋
≪界渡編≫
44/68

39.ドラゴン退治と嵐の前の静けさ

私情で急に忙しくなり、PCがさわれなくなりました

更新停止してしまって申し訳ありません


こんな駄文を待ってくださる方がいるのを祈って、投稿させていただきます


Side:シン


 後悔は杞憂に終わり、ドラゴンとの戦いは接戦だった。


 満身創痍といってもいいかもしれない。


 窮鼠猫を噛むというのか(あんな大きな魔物が鼠というのも違和感があるが)追い詰められたドラゴンは今までの倍以上で抵抗してきた。

 ドラゴンは巨体で、それに比べれば俺たちの体ははるかに小さい。その爪が少しかすっただけで重傷になる。


 レッドドラゴンなんて興奮する敵が弱いってのもつまらないし、これぐらいで嬉しいけどな。


 カエデとアケビの《治癒ヒール》に頼れないのがつらい。俺はドラゴンの血をひいているから、鱗ではじくことができるが、セドのナグサはそういうわけにもいかない。


 俺は頬や肌に切り傷がいくつかあるし、セドはナグサは体からいくつも血が流れている。

 その赤い色が俺たちの闘志を減退させるかっていうと、まったく逆だが。


「あはは、楽しいなぁ。ドラゴンさんもそうでしょ!?」


 きゃはははなんて狂っている笑い声をあげながら、ナグサがドラゴンの足に切りかかる。


 かなりラリッてるな……セドが反応してないところをみると、アイツもそこそこキてるみたいだが。


「ギャアァァォオ」


 牙が掠るのも気にせず攻撃することで、ようやく4本の足のうち半分を潰すことができた。


 レッドドラゴンは本能からか炎を吐こうとするが、それはかなわない。悔しそうな咆哮が、たまらなく気持ちイイ。


「残念だったな……これで終わりだ」


 背中の羽を広げる。普段は邪魔にしかならない羽だが、魔法攻撃をはじくとき、鍔迫り合いになったときに物理攻撃を仕掛けるとき――何より、()からの攻撃が可能になる。


 地面を蹴って、飛翔。


 ドラゴンの上空まで来たら、そのまま羽を折りたたんで、ほぼ落下に近い飛行に変える。

 走るのと違ってどんどんあがるスピードと、それに比例する風の痛さ。猛烈な速さで大地に近づいていく恐怖が、俺の頭の中で興奮に置換される。


「グァァア」


 避けようとするドラゴン――だが残った2本の手足もナグサとセドに攻撃され、磔にされた蝶と変わりがない。


「ざまあみろってんだ」


 その姿が自由でありつつ砦に縛られる自分と重なって――俺は迷うことなく首に剣を突き刺した。




 


Side:カエデ&アケビ


「聞いた?昨日、あの噂のドラゴンが冒険者じゃない奴らに倒されたらしいわよ。あたしも行きたかったわ」


 フレアロンティに遊びに来たリアはそう言いつつ、僕らのほうを睨む。


「何?」

「怒ってるの、リア?」


「あなたたちじゃないの?」


「まさか!」

「僕らは昨日、ずっと家でのんびりしてたんだから」


 嘘じゃない。

 倒したのは僕らじゃなくてシンたちだからね。必然的に、僕らは一日お留守番、ってわけだ。


「そうなの……?まあ、いいわ。あなたたちなら、ギルドを通して仕事を受けるでしょうしね。

 それがね、聞いた?そいつら、あのレッドドラゴンを、魔法を使わずに倒したのよ!どんな頭してるのかしら。いやそもそも、あの炎のブレスを止めるなんてできるのかしら」


 おおかた《血塗れの戦場アンチマジックフィールド》を使ったんだろうけどね。

 ユニークスキルなんてヒントを与えるつもりは、毛頭ないけど。


 にしても、


「魔法を使わずに?」

「そんな噂がまわってるの?」


「違うわよ。あたしはある程度近くだったら、魔法の波動が感じ取れるの」


 僕らは魔法を使えないけど……そんなものなのかな?


「ドラゴンとの戦闘なんて、強い魔法が使われるなら、絶対にわかるもの。いや、強くなくていいのかしら?威力より制御を中心に……でもそれなら、ブレスを防ぎきった理由にならないわ」


 ぶつぶつ言ってる。

 ふうん、魔力の波動ねえ……だったら、砦の向こうの戦闘もわかるのかな?


「ねえねえ、リア」

「人間との戦争のは、わかるの?」


「わかるわよ……ここの近くの町にいたらね。

 でも、最近はないわね。休養にきた貴族の娘の護衛についてたんだけど、そういえば一ヶ月ぐらい、魔法の波動を感じないかしら。もう戦争は終わったのかしらね?」


 そんなはずない。そしたら、シンたちが黙ってないから。こんな格好の餌場、あの戦闘狂たちがみすみす失うわけないよ。


 でも、一ヶ月ぐらい攻めてきてないのは本当だ。

 一体どうしたんだろう?


 できれば戦争を止めないでほしい。

 ミミも死んだし、これからも仲間が死んでいくだろう。獣人の血が開花したわけじゃない僕らは、殺すのが好きってわけでもないけど。

 きっと戦争が終結すれば、僕らは魔王城に向かって喧嘩を売らなきゃいけなくなるから。


読んでくださってありがとうございます

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