39.ドラゴン退治と嵐の前の静けさ
私情で急に忙しくなり、PCがさわれなくなりました
更新停止してしまって申し訳ありません
こんな駄文を待ってくださる方がいるのを祈って、投稿させていただきます
Side:シン
後悔は杞憂に終わり、ドラゴンとの戦いは接戦だった。
満身創痍といってもいいかもしれない。
窮鼠猫を噛むというのか(あんな大きな魔物が鼠というのも違和感があるが)追い詰められたドラゴンは今までの倍以上で抵抗してきた。
ドラゴンは巨体で、それに比べれば俺たちの体ははるかに小さい。その爪が少しかすっただけで重傷になる。
レッドドラゴンなんて興奮する敵が弱いってのもつまらないし、これぐらいで嬉しいけどな。
カエデとアケビの《治癒》に頼れないのがつらい。俺はドラゴンの血をひいているから、鱗ではじくことができるが、セドのナグサはそういうわけにもいかない。
俺は頬や肌に切り傷がいくつかあるし、セドはナグサは体からいくつも血が流れている。
その赤い色が俺たちの闘志を減退させるかっていうと、まったく逆だが。
「あはは、楽しいなぁ。ドラゴンさんもそうでしょ!?」
きゃはははなんて狂っている笑い声をあげながら、ナグサがドラゴンの足に切りかかる。
かなりラリッてるな……セドが反応してないところをみると、アイツもそこそこキてるみたいだが。
「ギャアァァォオ」
牙が掠るのも気にせず攻撃することで、ようやく4本の足のうち半分を潰すことができた。
レッドドラゴンは本能からか炎を吐こうとするが、それはかなわない。悔しそうな咆哮が、たまらなく気持ちイイ。
「残念だったな……これで終わりだ」
背中の羽を広げる。普段は邪魔にしかならない羽だが、魔法攻撃をはじくとき、鍔迫り合いになったときに物理攻撃を仕掛けるとき――何より、上からの攻撃が可能になる。
地面を蹴って、飛翔。
ドラゴンの上空まで来たら、そのまま羽を折りたたんで、ほぼ落下に近い飛行に変える。
走るのと違ってどんどんあがるスピードと、それに比例する風の痛さ。猛烈な速さで大地に近づいていく恐怖が、俺の頭の中で興奮に置換される。
「グァァア」
避けようとするドラゴン――だが残った2本の手足もナグサとセドに攻撃され、磔にされた蝶と変わりがない。
「ざまあみろってんだ」
その姿が自由でありつつ砦に縛られる自分と重なって――俺は迷うことなく首に剣を突き刺した。
Side:カエデ&アケビ
「聞いた?昨日、あの噂のドラゴンが冒険者じゃない奴らに倒されたらしいわよ。あたしも行きたかったわ」
フレアロンティに遊びに来たリアはそう言いつつ、僕らのほうを睨む。
「何?」
「怒ってるの、リア?」
「あなたたちじゃないの?」
「まさか!」
「僕らは昨日、ずっと家でのんびりしてたんだから」
嘘じゃない。
倒したのは僕らじゃなくてシンたちだからね。必然的に、僕らは一日お留守番、ってわけだ。
「そうなの……?まあ、いいわ。あなたたちなら、ギルドを通して仕事を受けるでしょうしね。
それがね、聞いた?そいつら、あのレッドドラゴンを、魔法を使わずに倒したのよ!どんな頭してるのかしら。いやそもそも、あの炎のブレスを止めるなんてできるのかしら」
おおかた《血塗れの戦場》を使ったんだろうけどね。
ユニークスキルなんてヒントを与えるつもりは、毛頭ないけど。
にしても、
「魔法を使わずに?」
「そんな噂がまわってるの?」
「違うわよ。あたしはある程度近くだったら、魔法の波動が感じ取れるの」
僕らは魔法を使えないけど……そんなものなのかな?
「ドラゴンとの戦闘なんて、強い魔法が使われるなら、絶対にわかるもの。いや、強くなくていいのかしら?威力より制御を中心に……でもそれなら、ブレスを防ぎきった理由にならないわ」
ぶつぶつ言ってる。
ふうん、魔力の波動ねえ……だったら、砦の向こうの戦闘もわかるのかな?
「ねえねえ、リア」
「人間との戦争のは、わかるの?」
「わかるわよ……ここの近くの町にいたらね。
でも、最近はないわね。休養にきた貴族の娘の護衛についてたんだけど、そういえば一ヶ月ぐらい、魔法の波動を感じないかしら。もう戦争は終わったのかしらね?」
そんなはずない。そしたら、シンたちが黙ってないから。こんな格好の餌場、あの戦闘狂たちがみすみす失うわけないよ。
でも、一ヶ月ぐらい攻めてきてないのは本当だ。
一体どうしたんだろう?
できれば戦争を止めないでほしい。
ミミも死んだし、これからも仲間が死んでいくだろう。獣人の血が開花したわけじゃない僕らは、殺すのが好きってわけでもないけど。
きっと戦争が終結すれば、僕らは魔王城に向かって喧嘩を売らなきゃいけなくなるから。
読んでくださってありがとうございます




