32.小さな暗殺者たちの刃
新しく章をつくり、≪界渡編≫としました。
章名の意味は深く考えなくていいです。
アレクレイが出てきたので日常編から脱却しましたが、
まだまだ書き足りないこともあるので、
日常:変化=3:7ぐらいで書いていきたいと思います。
また、いずれ閑話や過去の話をまとめて≪回想編≫もつくりたいと考えています。
Side:シン
「シン。カエデとアケビが」
「双子がどうした?」
アメのシャワーあがりの髪をタオルで拭いてやりながら、世間話程度に訪ねる。
にしても、また追跡してたのか?この時間帯だと……花町とか寝室とかベッドの上とか、ろくな場所じゃないから止めておいたほうがいいのに。
「……人間界にいる」
「はあッ!?」
Side:アレクレイ
「それで、いくらだ?」
3人という珍しい趣向と、1人分の声しか聞こえない違和感。
興味本位で振り返れば、見目麗しい双子がいた。
私は彼女たちを花街の一部屋に連れ込んだ。
1人の子は頭の右側、もう1人は左側につけられた、おそらいのリボン。花町にふさわしい、ただし町中で見かけると顔をしかめたくなる膝丈のパニエ。娼婦として若すぎるということはないが、まだ幼さを残す顔立ち。
そして何より、女性にしては珍しく髪が短いが、そのようなことなど どうでもよくなる美貌をそなえている。
これで安くないはずがない。
「えーと、お金ってこと?いらないよ」
「これは「金銭にとらわれず互いの欲求の解消のために尽くす慈善行為」だから」
「……そうか」
確信が高まる。
どんな時も体から離さず持っている剣を抜き、その銀色の刃を双子へと向けた。
私は側室の子で五男坊であり騎士だが――王子に変わりはない。
貴族とは常に恨まれていると思って、杞憂でないぐらいの生き物だ。
「どこで私が王子と知ったかわからぬが、不意打ちならば失敗したな」
今の私は、平民の服を着ている。親友たちにも、いつもの口調で話させていた。だが、偽装しているという事実を知っているものに、偽装など意味がない。
こんな幼子まで暗殺者として切らぬとは、この国も汚れたものだ。
だが、生きるためだ。あの戦場よりは死ぬ確率は低いだろう。
「「……?」」
こてん、と可愛らしく首をかしげる。
「「おーじさまって、どこの?」」
「……黙れ、騙されんぞッ!
この私だけに声をかけてくるのは、私を狙った証拠だろう!」
「えー?だっておにーさんだけ、格好よかったんだもん」
「ていうか、それだけですぐに暗殺者と考えるとか、被害妄想激しくない?」
グサッ。
「大丈夫だよ、今のおにーさんみても、誰も王子様だなんて考えないから。どこからどうみても平民だよ?」
「いや、もしかしたら、自分は王子だって思い込んでるのかも」
「はあ?何を根拠に――」
「え、それってヤバくない?」
「又はさ、昔女性に裏切られて、女性不信とか」
「ありえな――」
「うわ、ありそう」
「どうせならさ、ヤってから切りかかればいいのにね。余裕が足りないよ」
「……」
数十分の間、双子の言葉のナイフは容赦なく突き立てられた。私が「わかった、暗殺者ではないと認める」と言うまで。
そのくせ、王子だとわかっても前言を撤回しないのだから、いい性格をしていると思う。
これが兄上などだったら、切り殺されているぞ?
「それでその――慈善行為?って何だ?」
「だからぁ」
「「無償の愛をもとに相手と自分の虚しさを埋める献身的な行為」だってば」
「……私はよく覚えていないが、間違いなく先ほどと違う言葉だと思うぞ?」
たぶんそうだね~、と双子はけらけら笑う。黙っていれば美しいのに、性格が無駄にしている。口さえ開かなければ、傾国の美女たちとも呼ばれるだろう。
「つまりね、互いに外見もいいし、」
「お金なんかにとらわれず、一緒に気持ちよくなりましょ、ってこと」
あと、その痴女なところも直せば。
「どうせ花を抱くつもりだったんでしょ」
「僕らを相手にしたほうが楽しめると思うけど?」
「……わかった。だが、剣はすぐそばに置かせてもらうぞ?」
「別にいいよ、それぐらい」
「使うことなんか、絶対ないけどね」
私はこの言葉を、このときは正しく理解していなかった。
「……あ、あとね。僕は男だから」
「はあ!?」
「でも安心して。僕は女だからね」
「やっぱり止める!!」
「「却下しまーす」」
ところどころ出てますが、魔界より人間界のほうが風紀に厳しいです。
アメやナグサのマイクロミニ(って死語なんでしょうか…)をみたら
アレクレイなんて卒倒しそうですね。




