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砦の日々  作者: 花屋
≪界渡編≫
37/68

32.小さな暗殺者たちの刃

新しく章をつくり、≪界渡(かいわたり)編≫としました。

章名の意味は深く考えなくていいです。


アレクレイが出てきたので日常編から脱却しましたが、

まだまだ書き足りないこともあるので、

日常:変化=3:7ぐらいで書いていきたいと思います。


また、いずれ閑話や過去の話をまとめて≪回想編≫もつくりたいと考えています。

Side:シン


「シン。カエデとアケビが」


「双子がどうした?」


 アメのシャワーあがりの髪をタオルで拭いてやりながら、世間話程度に訪ねる。


 にしても、また追跡ストーカーしてたのか?この時間帯だと……花町とか寝室とかベッドの上とか、ろくな場所じゃないから止めておいたほうがいいのに。


「……人間界にいる」


「はあッ!?」







Side:アレクレイ


「それで、いくらだ?」



 3人という珍しい趣向と、1人分の声しか聞こえない違和感。

 興味本位で振り返れば、見目麗しい双子がいた。


 私は彼女たちを花街の一部屋に連れ込んだ。 


 1人の子は頭の右側、もう1人は左側につけられた、おそらいのリボン。花町にふさわしい、ただし町中で見かけると顔をしかめたくなる膝丈のパニエ。娼婦として若すぎるということはないが、まだ幼さを残す顔立ち。

 そして何より、女性にしては珍しく髪が短いが、そのようなことなど どうでもよくなる美貌をそなえている。


 これで安くないはずがない。


「えーと、お金ってこと?いらないよ」

「これは「金銭にとらわれず互いの欲求の解消のために尽くす慈善行為」だから」


「……そうか」


 確信が高まる。


 どんな時も体から離さず持っている剣を抜き、その銀色の刃を双子へと向けた。

 私は側室の子で五男坊であり騎士だが――王子に変わりはない。

 貴族とは常に恨まれていると思って、杞憂でないぐらいの生き物だ。


「どこで私が王子と知ったかわからぬが、不意打ちならば失敗したな」


 今の私は、平民の服を着ている。親友たちにも、いつもの口調で話させていた。だが、偽装しているという事実を知っているものに、偽装など意味がない。


 こんな幼子まで暗殺者として切らぬとは、この国も汚れたものだ。

 だが、生きるためだ。あの戦場よりは死ぬ確率は低いだろう。


「「……?」」


 こてん、と可愛らしく首をかしげる。


「「おーじさまって、どこの?」」


「……黙れ、騙されんぞッ!

 この私だけに声をかけてくるのは、私を狙った証拠だろう!」


「えー?だっておにーさんだけ、格好よかったんだもん」

「ていうか、それだけですぐに暗殺者と考えるとか、被害妄想激しくない?」


 グサッ。


「大丈夫だよ、今のおにーさんみても、誰も王子様だなんて考えないから。どこからどうみても平民だよ?」

「いや、もしかしたら、自分は王子だって思い込んでるのかも」


「はあ?何を根拠に――」


「え、それってヤバくない?」

「又はさ、昔女性に裏切られて、女性不信とか」


「ありえな――」


「うわ、ありそう」

「どうせならさ、ヤってから切りかかればいいのにね。余裕が足りないよ」


「……」



 数十分の間、双子の言葉のナイフは容赦なく突き立てられた。私が「わかった、暗殺者ではないと認める」と言うまで。


 そのくせ、王子だとわかっても前言を撤回しないのだから、いい性格をしていると思う。

 これが兄上などだったら、切り殺されているぞ?



「それでその――慈善行為?って何だ?」


「だからぁ」

「「無償の愛をもとに相手と自分の虚しさを埋める献身的な行為」だってば」


「……私はよく覚えていないが、間違いなく先ほどと違う言葉だと思うぞ?」


 たぶんそうだね~、と双子はけらけら笑う。黙っていれば美しいのに、性格が無駄にしている。口さえ開かなければ、傾国の美女たちとも呼ばれるだろう。


「つまりね、互いに外見もいいし、」

「お金なんかにとらわれず、一緒に気持ちよくなりましょ、ってこと」


 あと、その痴女なところも直せば。


「どうせ花を抱くつもりだったんでしょ」

「僕らを相手にしたほうが楽しめると思うけど?」


「……わかった。だが、剣はすぐそばに置かせてもらうぞ?」


「別にいいよ、それぐらい」

「使うことなんか、絶対ないけどね」


 私はこの言葉を、このときは正しく理解していなかった。



「……あ、あとね。僕は男だから」


「はあ!?」


「でも安心して。僕は女だからね」


「やっぱり止める!!」


「「却下しまーす」」


ところどころ出てますが、魔界より人間界のほうが風紀に厳しいです。

アメやナグサのマイクロミニ(って死語なんでしょうか…)をみたら

アレクレイなんて卒倒しそうですね。

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