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砦の日々  作者: 花屋
≪日常編≫
34/68

29.夫婦と兄(下)

昨日投稿できなかったので、2話連続投稿です。



Side:カエデ&アケビ


にいさん(、、、、)?」


 ギロリ、と彼女がキルトをにらむ。その般若のような顔に、実際のところは弱っちい子供ガキでしかないミライとユーゴが、あまり怯えた様子がないのは……ルウの“教育”の賜物かな?


「ひっ、ま、間違えました!リア、こんなところで何してるの!?」


「だって、アネアとキルトが引越しするっていうから、寂しいなあ、せっかくだしお祝いを持っていってあげようかしら、新居だからいろいろと大変よね、って訪ねてあげようと思ったのよ(つまり遊びに行こうとしたらってことだよね)。

 そしたら、フレアロンティで仕事をみつけたって言うじゃないの!新居ならともかく、職までみつけたってことは、カエデとアケビが絶対関わってるでしょ。

 なんであたしだけ仲間はずれにするの!?ひどいじゃないの!わざわざ羽まで出して飛んできたわよ!」


 早口でまくしたてたリアは、よほど怒っているのか、いまだその背中には羽が残っている。額には一本角もあるから、美人と相まって、迫力満点だ。


 蝙蝠のような羽。だけど蝙蝠なんて言ったら、直後ぶち殺される。


「ドラゴン……?」


 ルウの呟き。


 そう、まごうことなく、うちのリーダーと同じ、ドラゴンの羽だ。


「あらなに、可愛いじゃない。でもあたしの好みとはちょっと違うわね。カエデ、アケビ、獲物を前にして捕まえないなんて、あなたたちらしくないわよ?」


 どうしてアネアもリアも、僕らを前にして同じこと言うの?

 僕らってそんなに飢えてるようにみえる?


「さすがに同じ町に住んでると、遊べないって」

「それにルウも嫌がってるしね。無理強いはしないよ」


 ね、と横をみたら、ルウがなぜか頭を抱えていた。


「さっきの兄さんというの……聞き間違いじゃないんですね……」


「あら、そこはスルーするのが良識というものよ?お兄さん」


 うふっとリアが笑う。相変わらず美人だね~。


 中身は 男 だけど。


「ドラゴンって最強種の獣人でしょう……?それがこんなのでいいんですか……はあ。


 先ほどは失礼しました、アネアさん、キルトさん。ようやくあなたがたがカエデとアケビと知り合いだということに納得しました」


 失礼な言い方!それじゃまるで、僕らとリアが万年発情猫みたいじゃん!(そこまで言ってない)


「その……リアは、見た目だけみれば、綺麗な女性だから。中身を意識せずに接してやってほしいんだ」


「私からしたら、リアはただの美人だけどね。君みたいな真面目な人からしたら難しいかもしれないな。

 だが安心してほしい。本人が言ったとおり、君はリアのタイプではないから」


「頑張ります」


 そんな会話がなされている一方、リアは格好のお人形をみつけていた。


「リアっていうの?初めまして!あたしは菜草ナグサだよ、よろしくね!」


「うふふ、リアよ。よろしくね」


「リアってすっごく美人なのに、しゃべり方もお上品だね。素敵!」


「やだっ、可愛い!カエデ、アケビ、こんな子がいるなら、はやく紹介してくれればいいのに!」


 僕らに言われてもね。「ナグサは何をしでかすかわからないから、できるだけフレアロンティの外へは出すな」ってシンから言われてるし。それに、一緒に冒険者の仕事をするにしても、ナグサみたいな女の子が魔物相手に無双してるなんて、あんまり見せれた姿じゃないしね。


「リア、あんまりこの町に来ないでね?」


「何でよ」


 何でって、砦の近くにリアみたいな強い冒険者がいると、ろくなことにならないからね。

 アリアとキルトは、まだ堅実な戦い方をしてるからいいけど。


 それに、どこに住んでるとか詮索されると困るし。


「はあ……まあ、いいわよ。

 あたし、あの町は好きじゃないの。アリアもキルトもいなくなるし、もうろくなのが残っちゃいないわ。はっきり言って、嫌いなのよ。もうこっちに移住しちゃおうかしらって思ってたんだけど、カエデとアケビがそう言うなら、やめとくわ。

 でも、時々遊びに来るからね?」


「うん、楽しみにしてるね!」


 僕らのかわりにそう答えたのは、ナグサだった。こういうときは有難い。





「さっきの2人、変でしたよ?リア……さんと喧嘩でもしたんですか?」


 後で2人……じゃなくて3人きりになったときに、ルウに聞かれた。


「喧嘩?」

「そういうのじゃないけど」


「でも、友達に、あまり遊びに来るなというのは変ですよ。

 常識としてもそうですし、いつもの2人らしくありません。カエデとアケビなら、喜んで迎えそうですが」


 友達?


「別にリアは友達じゃないよ」

「セックスするだけだし」


「「あんまり深入りされると困るんだよね」」


 あ、言っておいてなんだけど、この言葉ってまるでルウに言っているみたいじゃない?

 別に、そのままの意味で、深く関わると面倒ってだけなんだけど。


 あー、ルウが傷ついた顔してる。


「「別にルウに言ってるわけじゃないよ」」


「わかってますよ……時々、あなたたちが遠くに感じます」


 遠い目をするルウ。その美貌と相まって、はかなげな印象を与える。

 こういうときに抱きたいって思う僕らは、やっぱりがっついてるのかな?


「あなたたち?」


「あなたたちと、ナグサですよ。少し寂しいです」


 少し寂しいです。


 寂しい(、、、)です。


 ルウがデレた―――!!!


「「大丈夫だよ!ルウはちゃんと友達だから。いや、友達以上でもいいけど!うん、さっそく愛を深めよう!」」


「ちょ……ちょっと待ってください!あの、いま誤解しましたよね!?だから、待ってくださいって!止めなさい!!!」



 理由はわかってるけど、ルウに怒られました。


 反省?何それ、おいしいの?



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