24.砦の喧騒(上)
3/28シンのユニークスキルを拒絶空間→血塗られた戦場に変更
理由?……佐山の趣味です。
あと双子の例をみて、ユニークスキルはすべて漢字じゃなくていいかと気づいたので…
Side:セド
左腕も慣れてきた。
ということで、ナグサを誘って本気で戦ってみる。
カエデとアケビも呼んどいて、決着は致命傷が出されるまで、ってな。楽しすぎるだろ、このルール。
Side:シン
――ギィン!
「っと……」
廊下の角を曲がると、突然ふってわいたように殺気が生まれた。条件反射で頭をそらすと、顔のギリギリのところを一筋の光が通り抜ける。剣はそのまま、廊下の壁に突き刺さった。
「おいセド、お前何をしている?」
「ん?あれ、シンだ。ミスった」
殺しかけたことなど気にしない様子で、深く突き刺さった剣を抜く。
間違えたっていうのは、他の奴と間違えたってことだろう?確かに、こいつは魔力で相手を認識するのが苦手そうだからな。
敵……じゃないよな?それならアメが魔法で知らせているはずだ。
「ナグサと本気で殺ろうって話になってさ。とりあえず致命傷を与えるまで、この砦の中だけって縛りでやってるんだ」
砦内か――いつもは庭とか砦の外でやっていて(これが派手で、人間側へ機制になっているらしい)今まで建物内というのはなかった。狭くて外とは違う動きになりそうだ。
「面白そうだな。俺も混ぜてもらっていいか?」
「駄目だ。シンが入ったらつまんねえだろ。一瞬で決着がつく」
「そうか……?まあ、いいか」
疑問を投げかければ、不審の目を向けられた。手加減をすればそこそこ楽しめると思うんだがな。
セドと手合わせしたときは、散々に痛めつけたから、それが根をひいているのか。
いっておくが、この砦では俺が1番強い。
実際の戦闘能力もあるし、相性云々もある。俺の次の強いアメに対抗するユニークスキル《血塗られた戦場》がある。これがあれば、魔法に頼っているアメの戦闘能力は激減する。
「それよりも、いいのか?逃げなくて」
「これは鬼ごっこじゃねえっつーの!迎え撃たなくてどうするんだよ!!」
ああ、確かに。セドは逃げて策を練るというのは嫌いそうだ。
セドのいらだちを含んだ声を聞きながら、しゃがむ。
俺の上を、炎の球が通り過ぎていった。
セドにぶつかる瞬間、アイツも避けたらしい。結局、壁を破壊しただけに終わる。
そうか、砦内で戦闘を行うとこういう欠点があるわけか。
修理が面倒だな――よし、負けたほうにやらせよう。
「ああもう、魔法なんか卑怯だっ!」
「アイツは魔法も剣も使えるからな。距離をとると面倒だぞ?」
俺と同じようにな。
「他人事みたいに言うな!」
「他人事だからな」
いってこい、と声をかけると、獣人ゆえの脚力にものをいわせ、まばたきの間に見えなくなった。
「……何事?」
気配――魔力さえ感じさせないのに、耳元で声がした。感情を含まない機械的な少女の声。
存在はないのに声は聞こえるという矛盾。だが何もおかしいことはない。ただの魔法――《さえずる小鳥》だ。風の属性で、離れた場所に声を届けることができるが、コツがいる。これは言うまでもなく、影響を及ぼすのが本人が見ることができない場所だというのが原因だ。そして《千里眼》をもつアメには、その難しさなどなんの関係もない。
要するに、アメには息をするように簡単な魔法だということだ。
「いま起きたのか?」
「起こされた。うるさい」
戦闘音がうるさくて起こされたらしい。気の毒に。
こんな昼遅くまで寝ているアメに非がないとも言い切れないが。
「ナグサとセドが砦内で戦ってるんだ。敵じゃないから安心していい」
(おそらく)アメの魔法が俺の声をひろって、彼女に届ける。
「了解」
素っ気ない返答。
まだ寝たりないんだろうと思っていれば、十数秒してまたささやきがあった。
「シン」
「どうした?」
「キスで起こして」
「……」
どうやら、うちのお姫様はまだ寝ぼけているらしい。
「間違えた。起こして」
「……わかったよ。いま行く」
それでもそう返してしまうだけ、俺はアメに甘いんだろう。
アメはむっつり(って女には使わないんでしょうか……?)だという話。
きっと本人は「間違えた。起こして」のところで
物凄く照れてると思います




