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砦の日々  作者: 花屋
≪日常編≫
25/68

21.こっちと向こう


Side:ナグサ


「ん~……」


 シャワーをとめて、大きくのび。


 数は少なかったけど、なかなかの精鋭だった。

 セドなんてヘマをやらかして左腕をもっていかれちゃったから、わざわざカエデちゃんとアケビちゃんを呼んで《再生リターン》をかけてもらっていた。大丈夫って聞いたら、睨まれたんだよ。何をそんなに怒ってるんだろ?右腕だけになってからは、さらに楽しそうに戦ってたのに。


 前の襲撃から1週間。ちょっと間が短いかな。こっちとしては、楽しいからいいけど。


 着ていた服は真っ赤に染まっちゃったから、前に買い物に行ったときに買った、新しい服を出した。気分も上がっちゃう。



 昼食を食べにダイニングに下りたら、シンとアメがいた。


「アメ、今回は援護してくれてたでしょ?ありがと!」


「……(コクリ)」


 アメちゃんってば可愛い。たぶん、あのワンピースってシンと一緒に買った服だよね。あたしは着ないけど、アメちゃんが着るとお嬢様みたいで似合うなあ。……あ、お嬢様なんだっけ。


 近寄れば、2人が隣り合って何かをのぞいているのがわかった。


「2人とも、何みてるの?」


「……コア。ミミの」


「ミミちゃんの?」


 兎耳の彼女を思い出す。

 ちょっと頼りないけど、お姉さんって感じで、みんな懐いてた。結局、遠くの国の聖騎士に殺されちゃったけど。

 あたし自身、砦で最初に会ったのがミミちゃんだから、思い入れは特別だ。


「おい、お前ら、かたまって何してるんだ?」


「セド!早くご飯つくってよ!」


 階段のからセドが姿を現した。まったく、男子だっていうのに、何をそんなに準備することがあるの?あたしはお腹が空いてるんだから!


 あ、毎日2食はセドが作るようになったんだよね。予想通りっていえば、予想通り。


「わかったって。腕が慣れねえから、簡単なものしか作れねえけど」


「何でもいいよ、食べられれば!……それでね、これ。ミミちゃんのコアだよ~」


 アメちゃんの前に置かれていたのは、透明なピンク色の石。淡い輝きを放っている。ミミちゃんは力のほうは、あんまり強くなかったからね。性格は優しいんだけど。


「ミミ?俺の前に奴だっけ?……って、ソイツのコアってどういうことだよ」


「セドはコアと俺たちの話を知らないのか?」


「えっ、そうなの?」


 セドに尋ねると、しかめっ面で頷いた。

 そっかあ……でも、それもあり得るかも。だって、他の人からはコアなんて出ないんだから。ここにいないとわからないよね。


「人間からも魔族からもコアは出ない。コアを持つのは魔物だけ。


 じゃあ、魔族より魔物に近い俺たちは、どうだと思う?」


「魔物に近い、って……つまり、あるのか?俺たちにも?」


 シンは頷いた。


「正解だ。俺たちには心臓のかわりにコアがある。他の魔族が知ったら、何がなんでも俺たちを滅ぼそうとしそうだよな。


 ただ、俺たちのコアは、こんな風に光り輝いてるんだが。

 ミミは力が弱かったからな……お前ならもっと光が強いと思うぞ?」


「そんなこと言われたって嬉しくねえよ」


 ハハッ、とシンが笑う。確かに。


「やっぱり、あたしたちはこの世界のモノじゃないんだなあ、って感じるよね~」




 人間たちは、魔物がどこから来たかなんて考えていない。なんにも知らずに、魔物が現れたって言ったら討伐にしいって、それで終わり。まあ、それしかしようがないんだけど。

 あたしたちからしたら、馬鹿じゃないの、って話。


 魔物がこの世界に現れるとき、宙に縦に裂け目があらわれる。ナイフでカーテンを切り裂いたみたいに。向こう側は真っ黒。

 そうやって、真っ黒な異世界から、こちら側へ魔物が、その裂け目を通ってやってくる。


 これは魔族が何度もみかけた光景だから、間違いがない。


 向こうの世界で魔物がどうやって生きているのかわからないけど、生殖機能はないんじゃないかって話だ。だって、そうしないと、こっちの世界でも魔物がはびこることになるもんね。


 これくらい、魔界では常識だ。

 それを、たまたま魔物の量が多いから魔王の力が増してる、とか、馬鹿みたい。



 向こうの世界の魔物が持っているコア。


 それを、あたしたちも持っている。


 あたしたちはこっちより、むしろあっちに近いってことだ。

 そりゃあ、戦いたい、殺したい、って、こんなどうしようもない感情を抱えてるんから、当然かも。




「俺たちなら、向こうの世界に行けるかもしれないな」


「それいいね!向こうなら、もっと強い魔物とかいるかな?行ってみたいな~」


「それはどうだ?“行く”じゃなくて“帰る”かもしれないぞ」


「シン、その冗談笑えねえよ」


 アメちゃんは黙って、ミミちゃんのコアをみつめている。


 あたしたちのコアって綺麗だからね。ずっと見てたいって気持ちもわかるよ。


 今度地下のお墓に行こうかな。あそこ、宝石箱みたいにキラキラ光って、幻想的なんだよね。


 それよりも、まずは、


「セド、早くご飯!!」


「お前は結局、食かよ……」



ご指摘、批評、感想(特に1番最後……)ありましたらお願いします


佐山はすごく喜びます


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