1.砦と新人
くだけた口調にしてみましたが……
地方に住んでいるので方言が出ているかもしれません
気づいたら教えてください
Side:セド
自由と平等の町、フレアロンティ。だけどその実情は、人間と魔族の領域の境に近く、「自由で平等」にならざる得ないってだけだ。
それで、ゴミだめにならないんだから、すげえ話だよな。
まあ近くに敵がいるってのが、緊張感をつくってんのかもしれねえけど。この場合の敵ってのは、人間だけじゃなくて――砦の奴らも含まれそうだ。
「君がセドか?」
目の前の黒髪の男がそうのたまった。自分の名前を名乗らないくせに、相手がああだこうだって、そういう奴が一番むかつく。
にらむと男はふっと笑った。
「警戒心が強いな。砦の中じゃあ何したっていいけど、仲間は信用しろよ?命を預けるんだからな。
俺は新。一応、砦のリーダーってことになっている」
はあ!?マジかよ。この男、すっげえ若いじゃん。俺と数歳しか違わなそうだし。
「何だよそれ。お前、何歳?」
「言っておくけど、砦の連中はみんな俺より若いぞ? ――大人になるまで生きられる奴なんて、いないからな」
「へえ」
何つーか、いろいろ言われても、俺にはよくわかんなねえんだよな。大人になって何したいかなんてねえし。だから生きたいとも思わねえ。
俺が気になるのは1つだけだ。
「砦にいたら、戦えるんだよな?」
シンと名乗った男は、ニヤリと笑った。
「当たり前だ」
Side:シン
「俺は瀬怒」
戦えるということで気をよくしたのか、少年は俺に名乗った。
「砦の中を案内する。着いてこい」
セドの返事はなかったが、俺は背を向けて歩き出した。
砦。そんなのは魔界を見ても、どこでにもあるが、その一単語だけをみれば指すのは1つだけだ。
フレアロンティの対人間防衛線。他の砦が魔物の進入を警戒しているのに対し、フレアロンティの砦は、勇者――人間たちがしかけてくる戦争を撃退することに焦点をおいている。ゆえに人間たちは、この砦を「魔王城」と呼んで信じ込んでいるぐらいだ。
だがその防衛線は、たった5人――否、今は6人の少年少女によって守られている。
国に恨みはない。
強敵と戦える場――それを用意してくれたことに感謝しているぐらいだ。
セドもそうなのだろうな……俺はそう確信した。
読んでくださってありがとうございます
今回は1話の文章量を少なめにして
連日更新に挑戦したいと思います