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砦の日々  作者: 花屋
≪日常編≫
13/68

10.襲撃のち虐殺


Side:アメ


 目を開ける。起床。自分の存在を認識。


 スキル《千里眼セカンドサイト》発動。習慣となっている行動。索敵――5km先に軍隊を発見。


「……」


 どうしよう。


 一瞬の思考の停滞――判断を下す。


「とりあえずシンに会う」






Side:セド


「食べながらでいいから聞いてくれ。すぐ近くに軍隊がせまっているから、朝食を食べたら撃退するぞ」


 寝て起きたら敵が攻めてきていた。


 ……は?


「ちょっと待てよ。昨日倒しただろ?」


「あれは勇者のパーティ。おそらく先行部隊だったんだろう。帰ってこなかったから、今度は軍隊で行く、って感じか」


「シン、数が多い」


「そうか。なら、全員で行くか?」


「えー」

「今日用事あるんだよ」


「あたしは行っきまぁす!」


 どんどん話が進んでいく。落ち着け俺。ハイ深呼吸。


 軍隊がせまっているらしい(どうやって知ったか知らねえけど)

 →朝食後に撃退

 →敵の数が多いらしい

 →じゃあ全員で行くか……え、双子は駄目?


 オーケイ。わかった。


 つまり敵が来てるから戦えばいい……うん、わかりやすいな。いろいろと抜けすぎてるけど。


「俺も行く」


「わかった。ナグサ、セド、俺……アメは行くか?」


「残る」


「そうか。まあ、3人なら余裕だな」


「「頑張ってね~」」


 我関せずで手をふる双子がなんかむかついたので、奴らのパンを奪ってやった。


「「あっ、僕らのパン!」」


「知るかボケ」





「多いな……」


 目の前には視界を埋め尽くす人の群れ。行く手を阻むたったの3人に戸惑っているようで、全く動かない。


 死ぬとは思わない――が、その迫力には負けそうだ。


「何?セドったら怖気ついちゃったの?」


 ニヤニヤ笑うナグサがむかつく。


「ふざけんな!」


「もう、そんな心配しなくたって大丈夫だよ。全滅させればいいだけなんだから。ね、簡単でしょ?」


「簡単……か?」


「やってみればわかるって」


 どうにも緊張感がない……攻めてきてるんだろ?こんなのでいいのかよ。


「だぁから、ってみればわかるって」


 ね、とナグサはにっこり笑った。



「お、動き出したぞ」


 シンの言ったとおり、軍隊は突進してきた。いや、違うか。左右のほうがスピードが早く、真ん中はいくぶんか遅い。どうやら俺たちを囲もうとしているようだ。


「俺は真ん中から行く。ナグサは右、セドは左だ。では、行くぞっ!!」


 シンの合図とともに駆け出す。


「おらあっ!」


 数mの距離を一瞬で駆け抜け、被害者1人目を切り捨てた。そのまま2人目へ移行。敵は俺の動きに反応しきれない。


 何だよコレ。的を切ってるのとそんなに変わりなくね?


 前の勇者とかいう連中はけっこう強かったんだなと実感した。そういえば、父さんも簡単に死んでくれた。その分つまらなかったが。


 兵士は鎧をまとっている。けど、金属にみえる布なんじゃないかと思うぐらい、容易く切れちまう。

 切る。胴をないでもいいし、胸を切り裂いてもいい。とにかく死ねばいい。反抗などさせないぐらい速く。逃げることすらできないぐらいに素早く近寄って。


 咽返るような血の臭い。まだ戦場に出るのは2回目だけど、殺すことに抵抗はない。でも、この血の臭いはいただけない。吐きそうだ。これにも、いつかは慣れるのか?



「やべえよっ、逃げろ!やべえ奴がい――」


「うるせえっての」


 切り捨てる。大声でわめいていた男は力なく地面に横たわった。


「弱すぎじゃん。指揮官とか、強ぇの、いねえの?」


 俺の割り当てられた1/3――そのうちの半数はすでに死んでいる。分担してしまえば、そんなに数はない。


 残った半分の奥のほうに目をむければ、焦ったような声が戦場に響いた。


「殺せぇっ!殺せ!アイツを今すぐ殺せっ!」


「おいおい」


 その声が何を意図しているのかすぐにわかってしまうから、悲しいモノだ。


「自分だけは助かりたいっての?信じらんねえ」


 跳躍。強く地面を蹴るだけで、空を舞っていた。その瞬間だけ、地面が遠くなる。おー、これかなり楽しいな。


 ズドン!さっき怒鳴り声を発した男の目の前に着地。


「こんちは」


「ひっ……」


「怯えてんじゃねえよ。剣を握れっての」


「う、うわあああっ!」


 剣を振り上げたところで逃走。……ってマジありえねえ。こんな指揮官の下で戦うとか最悪だな。可哀相。


 ということで天命を下しマス。


 ズシャアッ!


 噴き出す鮮血が体にかかる。左手でそれをぬぐった。


「さーてと。次はお前かなッ」


 とりあえずハディール様が何たらとか叫んでいるナルシストっぽい男を切っておく。よし、この後は誰にするか。


 獲物はまだまだいる。


 血の臭いに満ちた戦場で、俺は獰猛な笑みを浮かべた。


予想外に量が多くなりました。


今後は1500字前後を目安に書いていこうと思っています。

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