10.襲撃のち虐殺
Side:アメ
目を開ける。起床。自分の存在を認識。
スキル《千里眼》発動。習慣となっている行動。索敵――5km先に軍隊を発見。
「……」
どうしよう。
一瞬の思考の停滞――判断を下す。
「とりあえずシンに会う」
Side:セド
「食べながらでいいから聞いてくれ。すぐ近くに軍隊がせまっているから、朝食を食べたら撃退するぞ」
寝て起きたら敵が攻めてきていた。
……は?
「ちょっと待てよ。昨日倒しただろ?」
「あれは勇者のパーティ。おそらく先行部隊だったんだろう。帰ってこなかったから、今度は軍隊で行く、って感じか」
「シン、数が多い」
「そうか。なら、全員で行くか?」
「えー」
「今日用事あるんだよ」
「あたしは行っきまぁす!」
どんどん話が進んでいく。落ち着け俺。ハイ深呼吸。
軍隊がせまっているらしい(どうやって知ったか知らねえけど)
→朝食後に撃退
→敵の数が多いらしい
→じゃあ全員で行くか……え、双子は駄目?
オーケイ。わかった。
つまり敵が来てるから戦えばいい……うん、わかりやすいな。いろいろと抜けすぎてるけど。
「俺も行く」
「わかった。ナグサ、セド、俺……アメは行くか?」
「残る」
「そうか。まあ、3人なら余裕だな」
「「頑張ってね~」」
我関せずで手をふる双子がなんかむかついたので、奴らのパンを奪ってやった。
「「あっ、僕らのパン!」」
「知るかボケ」
「多いな……」
目の前には視界を埋め尽くす人の群れ。行く手を阻むたったの3人に戸惑っているようで、全く動かない。
死ぬとは思わない――が、その迫力には負けそうだ。
「何?セドったら怖気ついちゃったの?」
ニヤニヤ笑うナグサがむかつく。
「ふざけんな!」
「もう、そんな心配しなくたって大丈夫だよ。全滅させればいいだけなんだから。ね、簡単でしょ?」
「簡単……か?」
「やってみればわかるって」
どうにも緊張感がない……攻めてきてるんだろ?こんなのでいいのかよ。
「だぁから、殺ってみればわかるって」
ね、とナグサはにっこり笑った。
「お、動き出したぞ」
シンの言ったとおり、軍隊は突進してきた。いや、違うか。左右のほうがスピードが早く、真ん中はいくぶんか遅い。どうやら俺たちを囲もうとしているようだ。
「俺は真ん中から行く。ナグサは右、セドは左だ。では、行くぞっ!!」
シンの合図とともに駆け出す。
「おらあっ!」
数mの距離を一瞬で駆け抜け、被害者1人目を切り捨てた。そのまま2人目へ移行。敵は俺の動きに反応しきれない。
何だよコレ。的を切ってるのとそんなに変わりなくね?
前の勇者とかいう連中はけっこう強かったんだなと実感した。そういえば、父さんも簡単に死んでくれた。その分つまらなかったが。
兵士は鎧をまとっている。けど、金属にみえる布なんじゃないかと思うぐらい、容易く切れちまう。
切る。胴をないでもいいし、胸を切り裂いてもいい。とにかく死ねばいい。反抗などさせないぐらい速く。逃げることすらできないぐらいに素早く近寄って。
咽返るような血の臭い。まだ戦場に出るのは2回目だけど、殺すことに抵抗はない。でも、この血の臭いはいただけない。吐きそうだ。これにも、いつかは慣れるのか?
「やべえよっ、逃げろ!やべえ奴がい――」
「うるせえっての」
切り捨てる。大声でわめいていた男は力なく地面に横たわった。
「弱すぎじゃん。指揮官とか、強ぇの、いねえの?」
俺の割り当てられた1/3――そのうちの半数はすでに死んでいる。分担してしまえば、そんなに数はない。
残った半分の奥のほうに目をむければ、焦ったような声が戦場に響いた。
「殺せぇっ!殺せ!アイツを今すぐ殺せっ!」
「おいおい」
その声が何を意図しているのかすぐにわかってしまうから、悲しいモノだ。
「自分だけは助かりたいっての?信じらんねえ」
跳躍。強く地面を蹴るだけで、空を舞っていた。その瞬間だけ、地面が遠くなる。おー、これかなり楽しいな。
ズドン!さっき怒鳴り声を発した男の目の前に着地。
「こんちは」
「ひっ……」
「怯えてんじゃねえよ。剣を握れっての」
「う、うわあああっ!」
剣を振り上げたところで逃走。……ってマジありえねえ。こんな指揮官の下で戦うとか最悪だな。可哀相。
ということで天命を下しマス。
ズシャアッ!
噴き出す鮮血が体にかかる。左手でそれをぬぐった。
「さーてと。次はお前かなッ」
とりあえずハディール様が何たらとか叫んでいるナルシストっぽい男を切っておく。よし、この後は誰にするか。
獲物はまだまだいる。
血の臭いに満ちた戦場で、俺は獰猛な笑みを浮かべた。
予想外に量が多くなりました。
今後は1500字前後を目安に書いていこうと思っています。




