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砦の日々  作者: 花屋
≪日常編≫
10/68

9.スキルと呪い


Side:シン


 セドも砦に気をゆるしてきたようだが、とりあえず説明だ。


「それから、双子のことだが……アイツらの戦闘をみて疑問を感じなかったか?」


 セドが首をかしげる。


「そういえば、スキルを複数使ってたな。普通、1人1つじゃないのか?」


「それだ。スキルは1人1つ。ただし、アイツらは2人で1つだがな。


 ユニークスキル《2人に分かれた異能ハンプティ・ダンプティ》だ」


 スキルにはノーマルスキルとユニークスキルがある。多くのスキル保有者が使えるノーマルスキルと、世界に1つしかないユニークスキル。


「スキル《2人に分かれた異能ハンプティ・ダンプティ》は、常駐展開の《感覚共有セイムセンス》、ある条件下において、あらゆるノーマルスキルが使える」


「……って、それ、無敵じゃねーの?」


 そう言いたい気持ちはわかる。


 ノーマルスキルはその人だけのスキルではないが、持っていればそれだけアドバンテージがある。たとえば《絶対防御シールド》は魔法にたよらず、あらゆる攻撃を防ぐことができる。難点はそれが面だということだが。それから、《透視サトリ》。このスキルがあれば、尋問など不要になる。


 それらのノーマルスキルすべてが使える。


 無敵、と言い切ってもいいぐらいだ。


 だがもちろん、そんな上手い話はない。


「ある条件下って言ったでしょ」

「僕らが《感覚共有セイムセンス》以外のノーマルスキルを使うには、体が触れ合ってなきゃ駄目なんだよ」


「その上、魔法も使えないしね」

「《感覚共有セイムセンス》だってさ、ある意味呪いみたいなモノだよ」


 呪い。


 それはあながち外れてはいない……魔物の血が開花していない彼らが、砦に来ることとなった、その原因が《2人に分かれた異能ハンプティ・ダンプティ》であり、《感覚共有セイムセンス》なのだ。






 砦は人間への防衛線。


 そして持て余した(俺ら)の捨て場所。


 罪を犯したいんじゃない。


 戦いたいんだ。


 長い時間をかけて、国はそれを理解してくれた――そしてここで疑問が生じる。じゃあ、どこで殺してもらおうか?そんな危険な奴らを街中に放っておくなんて、そんな馬鹿なことはできないだろう?


 俺は村に襲ってきた魔物の大群を虐殺したあとに、中央からやってきた役人に尋ねられた。


 思い切り戦えるところへ行きたくないかい?――駄目だよ、家族は連れてはいけないんだ――おや、わからないのかい?君に拒否権は(、、、、、、)ないんだよ(、、、、、)


 糞ッタレの役人ども。


 だから俺はアイツらが嫌いだ。


「……シン」


 小さな声に振り向くと、アメがその無表情を微かに歪めて見上げていた。


「怖い顔してる」


「あー……いや、大丈夫だ」


「シンは、優しいから。心配」


 ありがとう、と言うかわりに。


 白い髪を繰り返し撫でた。


なぜか後半シリアスに……

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