光のいらない世界
―これは夢、きっとどこまでも終わりの無い夢。
どこまでも真っ黒に塗りつぶされた世界の中で歩いていた。
探しているのは世界を灯す明かり。
どこまでも続く真っ黒に塗りつぶされた世界を歩いていると光が見えた。
あれはきっと僕の探していた世界を灯す明かりだ!。
だが光の傍に立つ男に僕は制止される。
「止めておけ、光を灯してもこの世界は真っ黒なままさ」
男の制止を無視して僕は光を手に取る。
光は手から弾け飛び世界に光が射していく。
きっと世界はこれで明るくなると僕は信じていた。
だけどその考えは大間違いだった。
黒を失い明かりを灯した世界は全てが光で晒される世界。
隠されていたものは…だった。
こんな世界に明かりなんていらない。
男は僕をニヤニヤと笑いながら口を開く。
「だから言っただろ、真っ黒なままだと」
僕は、男を背にして今度は世界を覆い隠す闇を探しにまたゆっくりと歩き出した。
「明かりを消しても結局は何も変わらないがな」
ここまでご覧になってくれた読み手さんに最大の感謝を…
この短編は、少々暗いほうが人生ってちょうどいいよねという
友人との会話から作ったのですが…なんというか書いていたときは、
ノリノリだったんですが最後の〆が中々決まらなかった作品でもあります。