6話 ミヤビダンジョン完全攻略
数ある作品の中から、私の作品を見つけてくださり、ありがとうございます。
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―ミヤビダンジョン 最深部 第7階層―
このフロアは、全てが中ボス用の個室になっていて、倒すと扉が現れ、扉の選択を間違わなければ8部屋で次のフロアに行けるようになっている。
しかし、途中には最初の部屋に戻る仕掛けがあったり、無作為の部屋に飛ばされるトラップがあったりと、正しくマッピングしておかなければ、下手をすると無限ループなんてことにもなりかねないのだ。
しかし、僕の愛機“ナナハチ”は、そこらのプラモとは一味違って、マスタークラスのプラモなだけのことはあり、付いている機能も至れり尽くせりなのだ。
まずは、オートマッピング機能とでも名付けておきたいこの機能、行ったことのある部屋を記録してくれるばかりでなく、その部屋にいたボスの特徴や、有効な攻撃方法、ボスの注意点などが記録されていて、一度行ったら自分では気づかなかったポイントに至るまで、全てがライブラリ化されるというトンデモ機能を搭載しているのだ。
「その技は既に知っている!」とか言えたりする、チート機能と言っていいだろう。(アイラの前で恰好良く言ってみたい。)
他にも、搭載されたセンサーやレーダー類を駆使して、進むべき適切な扉を選択してくれるばかりでなく、隠し扉までも発見してくれて、最短8部屋をクリアしなければならないところ、なんと5部屋の攻略でこのフロアを抜けることが出来たのだ。
―ミヤビダンジョン 最終フロア 第8階層 ―
おどろおどろしい雰囲気はない。
むしろ、どこか荘厳な雰囲気すら感じる。
何処までも高く突き抜ける天井に、豪奢な雛壇の最上段に設置された玉座は、この場所にあることが相応しい威圧感を放っている。
その玉座に座る者、このミヤビダンジョンのボスにして、嘗て魔王と恐れられた存在。
フロアの雰囲気とは裏腹に、醜悪な存在であることを隠そうともせず、人類に対して差し向けるその害意は、むしろ純粋さを感じる程。
「¶Θφ§※ДωΨ Σ▽φЖ〇□※§¶。」
何か言葉を発しているのだろうが、その意図が僕達に伝わることはない。
どこまで行っても相容れない存在。
倒すか、倒されるか。
それ以外にはなりえない存在……。
「アイラ、行くよ!」
「私が引き付けるわ!」
「わかった。」
アイラが敵の正面やや左側から剣を構えて突っ込む。
それに合わせて、僕は右に回り込んでビームライフルを構える。
アイラが振りかぶった剣を魔王に叩きつける。
意外にも魔王はその斬撃を受け流した。
しかし、アイラの斬撃が本気の一撃だったら、必ずしも結果が同じではなかっただろう。
アイラが、魔王がギリギリ耐えることの出来る力加減で斬撃を放ったのには理由がある。
目的は、魔王の動きを止めること。
そう、つまり、僕のこのビームライフルによる射撃との連携を確認する為。
僕の放った射撃は、まず、魔王の左の肘を捕らえて貫通し、続けて魔王の左胸部から右背面に抜けたビームの軌道によって、上半身の大部分が抉り取られてしまっていた。
魔王は片膝を付き、呻き声を上げながら、崩れ落ちたかのように見えたが、突然高笑いをするかのような声が聞こえた後に、何かを叫び、魔王の全身がブクブクと泡立つような変化を見せると、以前よりも一回り大きくなり、腕は4本に増え、身体の各パーツも肥大して、なんと、尻尾まで生えた。
「なるほどね、ここからが本番ということか。」
「面白い演出ね。倒したと思ったら、さらに強くなって復活するとか、ギリギリで戦う相手にとっては、悪夢のようだと思うわ。」
「アイラ、あれ。」
「この間のヤツね。エクイノクスナイトだったかしら。でも、今日の私はこの間のようにはいかないわよ。」
「じゃあアイラ、エクイノクスナイトの相手は任せてもいいかい?4体いるけど。」
「問題ないわ。今なら4体が40体でも負ける気がしないわ。」
「うん、多分40体いても問題はないだろうね。じゃあ、任せるね。僕はあの変身した魔王の相手をするよ。」
「わかったわ。」
と、言いながら飛び掛かったアイラは、既に一体目の首を落としたようで、次のエクイノクスナイトに向かって飛び掛かっている。
僕も、一瞬エクイノクスナイトの方に意識を取られた魔王の隙をついて、インベントリからだしたビームソードで切りつける。
魔王も即座に反応し、増えた左腕で、僕の斬撃を受け止めようとするが、その左腕は、少し焼け焦げた匂いをさせて地面に落ちる。
切り落とされた左腕を右手でかばいながら、上を向いて何かを叫んでいる間、がら空きになった胴体を水平に切りつけると、魔王の上半身は、そのまま地面へと転がり落ちた。
これで終わりかとアイラの方を見ると、アイラの方も、4体のエクイノクスナイトを片付け終わったところのようで、こちらを見て、多分ニッコリと笑ったんじゃないかと思う。(プラモを纏っているので表情は全くわからないのだが……。)
僕たちは、ドロップ品を回収しようと、辺りを見回してみると、黒い霧となって霧散しているはずの、エクイノクスナイトの死体も、魔王の死体も、そのままの形のまま残っていることに気が付いた。
「あれ、魔物が霧になってないね。どうしたんだろう。」
「そういえばそうね、とどめはさしてあるはずなのに……。」
すると、再び魔王の声が聞こえてきた。
「Πζ¶Θφ§※ЗДωΨ Σ▽φЖ〇Ю□※§ЗΔ¶。」
相変わらず、何を言っているのかはわからないが、この流れだと、おそらく三度の変身となる流れなのではないだろうか……。
これって、無限に続くのだろうか……。
魔王が三回目の変身をした。
しかも、今回は、死んだ4体のエクイノクスナイトを吸収して、さらに大きくなったみたいだけど、移動する速度はむしろ早くなったのではないだろうか。
最初から、まぁまぁ異形な容姿の魔王ではあったが、三度目の変身ともなると、最早なんと形容して良いのかもわからない程に、思いつくものを、なんでもつけてみました、というような容姿をしていた。
頭は1つだけど、三つの顔があって、正面と右と左に、それぞれ顔がある感じといえば伝わるだろうか。
そして、頭頂部からは角が生えているが、ユニコーンのような生え方だとカッコ良いのかもしれないけど、色々な方向に湾曲していて、先端を見つけられないと、角だとわかる人も少ないかもしれない。
腕はもう一組増えて、左右で計6本生えていて、とても窮屈そうに見える。
唯一まともなのが足で、普通に2本の足で立っているが、尻尾が幾つあるんだろう、細い尻尾が10本近くあるんじゃないだろうか。
あ、9本だ。
この異様な魔物と戦うというのも、なんだか気乗りはしないけど、でもまぁ、ここまで来たので、僕たちの練習相手になってもらうとしよう。
「アイラ、あいつ身体は大きくなっているけど、動きは前よりも早そうだから、気を付けてね。」
「わかってるわ。でも、このサーティキャットを着てると、速そうにも見えなければ、脅威にも感じない。根拠はないけど、なんとなく私一人でも行けそうな気がするわ。」
「OK!それじゃあ、危なそうになったら、サポートするよ。」
「わかったわ!」
アイラは、猛烈な勢いで踏み出し、魔王の間合いに入る直前に、魔王を中心とすると、魔王の左側から反時計回りに魔王の背後へと回り込む。
そして、そのまま勢いを生かして魔王の両足を一閃した。
ここまでのアイラの行動にまったく気が付くことが出来なかった魔王は、自分の脚の膝から下がなくなり、バランスを崩したことで、初めてアイラが背後に回り込んでいることに気が付いた様子を見せた。
アイラはそのまま、前傾に倒れた魔王の首を落とし、とどめを刺した。
断末魔の叫びも、人類を呪う言葉もなく、ただ魔王は黒い霧となって霧散し、後に残ったのは、流石は魔王が残しただけのことはあると納得できそうな、立派な装飾の施された宝箱だけだった。
「やったねアイラ、お見事だったよ。危なげなんて欠片もなかったね。」
「トト、ありがとう。なんかちょっと拍子抜けしちゃったわ。あれでもまだ全力は出してないのに、魔王は全然反応してなかったわね。」
「そのようだね、でも、塔の魔物はかなりの低階層から、魔王以上の強さの魔物が出るって話だし、丁度良いかもね。そのサーティキャット自体、まだ完全体ではないしね。」
「え?そうなの?」
「うん、とりあえず、今アイラが装着しているのは、素体となる部分だけの状態なんだよ。その上から更に重装甲の状態にも出来るらしいけど、まずアイラには、素体の状態で肩慣らししてもらって、塔に挑戦するようになって、苦戦するようなら更に装甲を厚くしていけば良いかなと思っていたんだよね。」
「そうだったのね、まだまだこれ以上に強くなれるなんて、ワクワクするわね!」
「そうだね、よし、それじゃあ今日のところは、その宝箱をもって帰ろうか。」
「そうね、そうしましょう。中身が何か、楽しみだわ!」
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