19話 矢文!?
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僕たちは今、アイラとシャナ、それにチッチとクックの5人で、ムーシルトでは一番の人気を誇るオープンカフェである、メリーズスイーツに来ていた。
ここは子供から大人まで、みんなが楽しめるスイーツを提供しているお店で、量や味も、色々と取り揃えられている。
僕はいつものメリーズパフェ、コレは、ベースがソフトクリームで、色々なカットフルーツや、ストロベリーソースなんかがかかっていて、とっても美味しいので、僕のお気に入りのパフェだ。
アイラもやはりいつものチョコレートパフェで、ソフトクリームの上に生クリームとチョコレートソースがたっぷりかけられていて、クッキーがトッピングされている。
シャナは僕たちよりも1歳年上のお姉さんなので、パフェではなくて、ソフトクリームとコーヒーのセット、アフォガードというものを頼んでいて、これは、ソフトクリームに、温かいコーヒーをかけて、溶かしながら食べると言おう独特な食べ方のスイーツで、コーヒーの苦みが、少しだけ大人な雰囲気を醸し出すけど、結局甘いので美味しいことにはかわりはないみたい。
そして、チッチとクックの二人はというと、最初は一人一つづつ食べると言ってきかなかったけど、メリーズスペシャルパフェにしてあげると言ったら、二人で一つのパフェを食べることに納得してくれた。
「トト、チェリー貰うわね。」
「あぁ~。僕のチェリーが……。」
「何よ、いつもトト残しているじゃない。だから私がもらってあげてるのよ!」
「違うよ、残しているんじゃなくて、最後に取っておいているんだよ!でも、いつもアイラがとっちゃうから……。」
「ほら、あなたたち、こんな所でケンカするんじゃないわよ。トトは男の子なんだから、スイーツを食べる時は女の子に優しくしないと。」
「流石シャナはわかってるわね!」
「そんなぁ……。」
シャナに注意されてしょぼくれている僕をみて、チッチとクックが、顔全体にクリームを付けたまま、僕を指さしながら笑っていた。
「「あはははは。怒られたぁ~‼」」
「ちょっと、チッチもクックも、そんなに笑うことないでしょ!」
僕の抗議なんてお構いなしに、チッチもクックもパフェを夢中で頬張りながらもゲラゲラと笑い続けるという、なかなかに難しい事をやっていた。
「チッチとクックも笑い過ぎよ。パフェに集中しないと、私が食べちゃうわよ!」
シャナの一言で、チッチとクックは頭の上にビックリマークが出たような顔をして、さらにパフェを食べる速度を加速させた。
「トトもほら、これあげるから。」
ポカンと開けていた僕の口の中に、シャナが自分のクッキーをつまんで、食べさせてくれ、そのまま人差し指で頬っぺたをツンとされた。
僕は思わぬ戦利品に、モグモグと口を動かしながら、アイラの方を見ると、アイラはプイっとそっぽを向いて、チョコレートパフェを勢いよく食べていた。
すると、そのアイラが向いた方向で、何か気になったのか、パフェを食べる手を止めた。
「あ、メイリーンおばさん。」
「え?」
僕もアイラの視線の先を見てみると、確かにお母さんが、周囲をキョロキョロと見回しながらあるいていた。
少しいつもと様子が違う気がしたので、僕はお母さんを呼び止めた。
「お母さ~ん!」
「あら、トト、皆も一緒だったのね。」
「うん、そんなことより、なんかキョロキョロしていたみたいに見えたけど、何かあったの?」
「えぇ、実は、トレイシーと、セレーナちゃんと三人で買い物に来ていたんだけど、はぐれちゃったみたいなのよ。」
「そうなんだ。それじゃあお母さんはここで休んでいなよ、僕、このパフェを食べ終わったら、探しに行くよ。」
「そうね、私たちも探すの手伝います。お姉ちゃんったらもう、メイリーンさんにご迷惑をかけて。」
「そんなことは良いんだけど、なんだか少し気になる事があって……。」
遡る事20分前
「セレーナちゃんのお家は、今日の夕食は何の予定なの?」
「うちは、シャナに何か食べたいものはないか聞いたら、一言『肉』と言っていましたので、串焼きでもと思っていました。」
「あら、シャナちゃんも?うちのアイラも口を開けば肉肉言ってるわ、あとスイーツね。メリーズのクッキーを切らしたらもう大変よ。」
「その点、うちのトトは食べ物には無頓着というか、かえってお父さんの方が子供みたいなこと言ってるわ。」
「それはうちも一緒よw」
ムーシルトの商店街は、毎日人で溢れかえっている。
特にこの生鮮食品や総菜の店が立ち並ぶエリアは、午前中から夕方まで、切れ間なく人で溢れかえっている。
「あら、ちょっとトレイシー、向こうのお店の野菜、安いわよ。あらあら、ホワイトコーンがあるじゃない。お兄さん、これ一山で1ミルなの?このキュロット。」
「あぁ、そうさ、綺麗なお嬢さん。お目が高いね。こいつは新鮮だから、生で食べてもスイーツの様に甘いんだ。幾つ持ってく?」
「やぁねぇ、こんなおばさんつかまえて。そうね、それじゃあ、このホワイトコーンとキュロット二つづついただこうかしら。あ、あとそっちのトマトもいただくわ。」
「まいどありぃ!全部で7ミルね、お嬢さん綺麗だからオマケして、オニオンも付けちゃう!」
「あら、ありがとう。また来るわね。」
「トレイシー、セレーナちゃん、お野菜とっても美味しそうよ……。ってあら?あらあら?二人とも何処に行ったのかしら。」
メイリーンが買い物を終え、振り返ると、そこにいるはずの二人の姿が消えていた。
その際、頭まで深くフードをかぶった大柄な男たちが、人込みを押しのけて、足早に去っていくのが、メイリーンの視界の隅に、わずかな違和感として映っていた。
「トレイシーおばさんも、セレーナさんも見つからないね。」
「ひょっとして、もう家に帰ってるんじゃないかしら?」
「そうね、そうかもしれないわね。一度家に帰ってみましょうか。」
「メイリーンさん、家の姉がご迷惑をおかけして、本当にすみません。」
「いえいえ、私も野菜の安さに気を取られちゃって。そうね、きっとあのままトレイシー達も先に進んで、お互い見失ったんだわ。」
家に帰ってみて、いないようであれば、あらためて探そうということにして、僕たちは、一度それぞれの家に戻ってみることにした。
家に着くと、僕は例の黒い箱をお宝部屋にしまう為に、シャナたちと一緒に真っすぐ拠点の方に向かった。
「あれなんだろう。」
玄関の扉が見えてくると、その玄関から、何か細い棒のようなものが飛び出しているように見えた。
「もしかしえて、弓矢じゃないかしら。」
「え?家の扉に弓矢って、どういう状況?あ、弓矢だ。」
僕たちは歩いて近づくにつれて、玄関の扉がはっきりと見えてきたので、それが弓矢であることがわかった。
「弓矢に何か結びつけてあるよ。」
「矢文のようね。」
「人間ってたまに、おもしろいこと考えるわね。クック」
「頻度で言うならしょっちゅうだと思うわよ。チッチ」
「で、なんて書いてあるの?」
「ちょっと待って、えぇ~と……。えぇっ!!!?」
「何?どうしたの??」
「お、お姉ちゃんとトレイシーさんを、誘拐したって書いてあるわ……。」
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次回は2月6日(金曜日)に更新予定です。
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