17話 融合召喚で現れた物
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「ねぇ、トト。」
「何?」
「この家は、トトが建てたお家なのよね?」
「うん、僕とアイラの家の間の敷地に、お互いの家からアクセスしやすい様に建てたんだよ。それがどうかした?」
「この家には、幽霊がいると思うの……。」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「ちょっと!大きな声ださないでよ、ビックリしたじゃない。」
「だって、シャナが変な事言うから、僕の方こそ驚いたんだよ。」
「変な事じゃなくて、実際に奇妙な体験をしたのよ。しかも、私だけじゃなくて、お姉ちゃんまで……。」
「奇妙な体験って?」
「実は、昨日もあったんだけど、二階のお宝倉庫あるじゃない?夜中に、誰もいないはずのあの部屋から、悲鳴のような声が聞こえたり、一昨日は、夜にトイレに行こうとしたら、羽の生えた大きな妖怪のような影が見えたり、その前には、朝起きると、朝食で食べようと思って買い置きしておいたパンが、少しだけ減っていたりと、怪奇現象が続いているのよ……。」
「あぁ……。それには訳があって……。」
「「ちょっと!何よこの人間は!私たちのことを、言うに事欠いて妖怪だなんて!!!」」
「おぉ、見事にハモってる!」
「え?何そのちっちゃいの???」
「「「え?見えてる?」」」
「え?見えてない方が良かった感じ?」
「「え?最近の人間は妖精が普通に見える感じ?」」
「おぉ、またハモったw」
「いや、普通に見えるでしょ?トトも見えてるんでしょ?」
「うん、でも、普通の人間には妖精は見えないみたいなんだけど、僕の身の周りの人は見える人が多いかな……。アイラも見えるし。」
「ちょっと、お姉ちゃん、ちょっとこっち来て!ここ、見てみて、妖精だって。」
「シャナったら、何を言ってるの?お姉ちゃんをからかって。」
「え?お姉ちゃんには見えないの?」
「「そうそう、これが正しい人間のリアクションよ‼」」
「ということで、紹介するね。チッチとクックは、塔の宝箱から出てきた妖精で、チッチが火属性の妖精で、クックが風属性の妖精なんだ。シャナが仲間になってからは、もしかしたらシャナには妖精が見えないかもしれないと思って、二人にはこの拠点の2階に作った二人用の部屋にいてもらったけど、退屈過ぎて騒いじゃったのかもしれない。」
「そうなんだ……。べ、別に夜中に物音がするとか、怖かったわけじゃないのよ!いや、でもまぁ、妖精がいたのなら納得ね。でも実際に見るのは初めてだから、ちょっと感動してるかもしれないわ。」
「ところでシャナ、今日はこれから何か予定はある?」
「いえ、特にないわ。」
「そっか、それは良かった。」
「何かあるの?」
「実はね、以前から持っていたんだけど、色々と忙しくてずっと放置することになっちゃっていたチケットがあるんだよね。アイラとそれを召喚しようって話になっていて、そろそろ来ると思うんだけど、良かったらシャナも一緒にどうかなって思ったの。」
「なにそれ、めっちゃ面白そうじゃない!」
「しかもね、チケットは最下級のものだけど、なんと10枚あるんだよね。」
「ちょっと待って、もしかして、それいっぺんに1枚行くつもり?」
「うん……。」
「ということは……。」
そこで玄関の扉が勢いよく開き、アイラが拠点に入ってきた。
「二人ともおはよう!あら、チッチとクックもいたのね。あ、セレーナさんおはよう!」
「アイラちゃんおはよう、今日も元気いっぱいね。」
「えぇ、そうね、私は今日も元気だわ!って、ん?」
「「「「ん???」」」」
「チッチとクックは、隠れてなくてもよかったのかしら?」
「「その必要はないようよ‼」」
「あぁ、そのことなんだけど、どうやらセレーナさんには見えないらしいけど、アイラには見えてるみたい。」
「そうだったのね。じゃあ、回りくどいことにならなくて良かったってことね?」
「そうだね。あと、シャナも今日予定がないらしいから、これから2階のプラモ部屋で皆で召喚をしようって話してたよ。」
「あら、それは良かったわね。シャナの今のプラモはかなり強いから、それ以上はなかなか望めないかもしれないけど、私はちょっと飛び道具不足を感じていたから、今日の召喚で何か良い物が出たらと思って、楽しみにしていたのよ。」
「普通に考えたら、そうかもしれないけど、さっきトトに聞いた話だと、10枚を一気に召喚するみたいだし、そうなるとアレの可能性もあるんじゃないの?」
「アレの可能性?」
「うん、シャナは知っているようだけど、アイラは知らないみたいだから、説明するね。実はね、チケットは1枚で使うと、1個のプラモか、何かしらのツールが必ず1つは出るんだけど、複数枚を同時に召喚すると、上位のチケットでしか手に入らないような、凄いアイテムを手に入れられる可能性のある、融合召喚になる場合があるんだよ。」
「融合召喚?」
アイラが首をかしげて困惑していると、シャナが言葉を続ける。
「そう。普通はチケット1枚につき1個だけど、複数枚を同時に使うと、稀にだけどね……チケット同士が融合して、上位チケットでも滅多に出ないような、とんでもないアイテムが出ることがあるのよ。」
シャナが胸を張って説明する。
「へぇ……そんなことが……。」
アイラは目を丸くする。
「まぁ、あくまで“可能性”の話だけどね。私も実際に見たことはないわ。」
シャナが肩をすくめる。
「でも、10枚同時ってなると……可能性はあるかもね。」
「今日は風が良い流れだと言っているし、何か起きそうなきはするわね。チッチ。」
クックが得意げに意味深なことを言う。
「まぁ、確かに、若干の熱気を感じないでもないわね。クック。」
「ちょ、ちょっとみんな!煽らないでよ!」
トトが苦笑しながら手を振る。
「でも、せっかくなら見てみたいわね。融合召喚ってやつ」
アイラがワクワクした表情で言う。
「じゃあ、決まりね。みんなで見届けましょう」
セレーナが微笑みながら、僕たちに注意を促す。
「楽しそうで良いんだけれど、危ないことはしないようにね。」
僕たちは、全員声を揃えてそれに答えた。
「「「「「はーい!」」」」」
「あぁ、それと、お姉ちゃんちょっと出かけるから。トレイシーさんとメイリーンさんにお買い物に誘われたのよ。」
「わかったわ。」
「それじゃあ2階に行こうか。もう準備はしてあるからさ。」
僕は階段に向かって歩き出した。
「うわぁ……なんか緊張してきた……!」
シャナが胸を押さえる。
「大丈夫よ。家が吹き飛ぶようなことは……多分ないわよ。ねぇクック。」
チッチが軽く笑う。
「“多分”で不安を煽るなんて、腕を上げたわね、チッチ。」
クックが小声で突っ込む。
「ちょっと!不安になること言わないでよ!」
僕たちは、全員でプラモ制作用の部屋へと移動し、部屋の中央にあるローテーブルの周りのソファに座り、そのローテーブルの中心に置かれた10枚の召喚チケットに注目していた。
「えぇとね、やり方としてはいくつかあるとは思うんだけど、今回は、この10枚のチケットを、いっぺんに召喚したいと思うんだよね。それが一番融合召喚が発生する確率が高くなるんじゃないかと思うんだ。」
「確かにそうね、2枚づつを5回とかだと、普通に2個づつの召喚を繰り返しそうだものね。」
「ダメでも消えてなくなるわけじゃないだろうし、何かしらのアイテムにはなるのだろうから、それで良いんじゃないかしら。」
「正直あなた達がなんの話をしているのか、さっぱりわからないけど、これだけは間違いないわ、今日の風はいつもとは違う、特別なことが起こることを示唆しているようだわ。ねぇチッチ。」
「爆発よ、こういうのは爆発に限るわ!面白ければ、その他の事柄は大体がどうでも良いのよ。ねぇクック。」
「まぁ、これまでの長い召喚の歴史のなかで、召喚の結果爆発が発生したという事例はないから、残念だけど、チッチの希望は叶わないかな。それじゃあ、そろそろ召喚を始めたいと思うけど、良いかな?」
「楽しみね。」
「何が出るのかしら。」
「「ワクワクするわね!」」
皆が口々に期待のこもった言葉を漏らす。
僕は、テーブルの上に並べた10枚のチケットを重ね合わせて置き直し、手をかざしながら、召喚の為の呪文を唱えた。
「時空を越え、我が意志に応えよ。造形は器、器は魂。古の契約に従い、その命を刻み、この地に顕現せよ。プラモ召喚!」
プラモ部屋が眩い光でホワイトアウトする。
心なしか、以前の召喚の際よりも、光のふくらみ方が大きいきがした。
やがて、光が収束し、部屋が普段のコントラストを取り戻す。
すると、テーブルの上に置いたはずのチケットは全て消えていて、その代わりに以前引き当てたマスタークラスの箱の、優に数倍はあるベージュ単色の巨大な箱がテーブルの上に鎮座していた……。
「こ、こんなに大きい箱なんて、もしかして、もしかしたら……。」
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次回は1月30日(金曜日)に更新予定です。
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