表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プラモ召喚ガチャでありえない機体を引いた僕、塔攻略で気づけば無双していた件  作者: すずき 虎々
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/24

16話 雲海スパリゾート

数ある作品の中から見つけてくださり、ありがとうございます。

楽しんでもらえるように書いてきますので、どうぞ気軽に楽しんでいってください。

 試練の塔27階ボス部屋


「アイラ、アイツの速さは尋常じゃない!私が囮になるから、速さに慣れて!」


「了解!」


 四本の腕が持つ大太刀が鈍く光り、地面を削る不快な音がフロア内に反響する……。

 すると、次の瞬間、一瞬視界が歪んだように感じた直後、前に出たシャナを素通りしたかのように、アイラの目の前に突如として移動したクアドラの四本の腕が、それぞれクロスした状態から勢いよく解き放たれ、アイラを斬りつける。


「え?」


 アイラは何が起こったのかもわからないまま、受けの姿勢を取ることすら出来ずに、ただただ呆けていた。


「アイラっ!」


 僕がアイラの危機を察知して、思わず叫んだその瞬間、僕が纏う新機体のクザンの背面に装備されていた、羽のように見える放熱板の様な物が、勝手にアイラの前に展開し、ビームの幕を作ってアイラをクアドラの攻撃から守った。


「え?」


 そこにいる全員、何が起きたのかを理解することも出来ずに、その光景を眺めていることしかできなかった。


 放熱板らしき装備は、アイラを守った後は、そのままコの字の形に変形し、クアドラめがけて、位置をランダムに変えつつビーム攻撃を繰り返す。


 クアドラは大太刀をクロスさせて攻撃を防ぎつつ、たまらずといった体で後退する。


 放熱板らしき物は、まるで意思を持っているかのような動きで、クアドラを翻弄し、仕事を終えると再び僕の背後のラックに戻ってきた。

 その刹那、僕は自分の中で、稲妻が走ったかのような閃きを覚えた。


「今の動き、あの魔物は速いんじゃないと思う。一度引こう、アイツの秘密がわかったかもしれない。」


「「了解!」」


 シャナがクアドラの足元にバズーカの一撃をお見舞いすると、地面が削れて煙幕の代わりになった。

 そのままシャナもアイラも安全な距離を取ることができたので、僕たちはそのまま一度ボス部屋から出ることに成功した。


 僕は肩で息をしている二人に、自分が気づいたことを伝えた。


「シャナが前に立って、ヘイトを受けようとしてくれたのにも関わらず、そのシャナを素通りしてアイラに迫った。コレがそのまま答えだと思うんだ。どういうことかというと……。」


 僕は声を落とし、二人に向けて作戦を伝えた……。




 試練の塔27階ボス部屋


「それじゃあ二人とも、作戦通りに行くよ!」


「「了解!」」


 アイラとシャナの二人が勢いよく飛び出し、一瞬で距離を詰める。

 そして、クアドラの眼前に届いた瞬間、二人は左右に分かれて、それぞれクアドラの下段を攻める。

 同時に射出した僕のプラモ、クザンの遠隔ビーム兵器がクアドラの頭上から絶え間なくビーム射撃を繰り返す。

 クアドラは四本の腕でそれぞれの攻撃を器用に受けてはいるが、その速度は特別に速いと言えるようなものではない。

 そして、仮に速いのだとしたら、シャナを素通りするのは不自然だ。

 反応出来ない程の速度があるなら、そのままシャナを通り過ぎる瞬間に斬り伏せているはず。

 つまり、シャナがいる地点を超高速で通り抜けたのではなく、シャナのいる地点は通ってない、これが正解だと思う。

 所謂縮地魔法というやつで、空間を切り取って移動する、かなりの高等魔法だ。


 僕は構えたビームライフルに、高出力のエネルギーが溜まっていくのを感じた。

 構えた右腕に少なくない熱を感じつつ、クアドラの頭部めがけて狙いを定める。


「これで終わりだ!」


 僕がそう言うのと、クアドラがビームに撃ち抜かれて霧散するのは、ほとんど同時だったと思う。


 ひっかけ問題のようなクアドラの特性を看破し、勢いに乗った僕たちは、そのまま29階層までをクリアし、30階層のラウンジにたどり着くことが出来た。


 僕たち3人のコンビネーションは抜群で、前衛二人に後衛一人というバランスも良い方向に機能して、クアドラの様なトリッキーな魔物ならいざしらず、普通に火力が高いだけとか、スピードが速いだけとか、固いだけみたいな感じの魔物なら、難なくクリアすることが出来た。


 特に、僕の新しいプラモであるクザンの秘められた性能にも、いちいち驚かされるけど、シャナ用にと塗りなおしたナナハチの性能が、格段に上昇したことには特に驚かされた。


 シャナが以前使っていたピンクのゼロロクのイメージで塗装し、所々に、ゼロロクに描かれていたマークなんかを書き加えてみたら、僕が使っていたころよりも、断然速さが増していた。


 シャナもシャナで、以前のプラモの時の悩みだった火力面も、新しい機体では大幅な性能アップを図ることが出来たので、満足しているようだった。


 30階層のラウンジは、20階層の時よりも更に10階分高くなっているが、雲の上であることは変わりが無いので、20階層に到達したときの様な達成感は感じることが出来ないのかと思っていたけど、どうやらそれは大きな間違いだったようだ……。


 天井のない巨大プールからは、雲海がどこまでも広がって見え、まるで空に浮かぶ遊園地のようだった。


 この塔の構造がいったいどうなっているのか、極めて疑問ではあるけど、そんな事を考えたって、今の僕たちにはわかりっこないので考えないことにしたけど、それにしても、試練の塔と呼ばれ、生きるか死ぬかの戦闘をかいくぐって訪れた30階層に、この世界中のどこにもないような、温水プールの遊園地があるなんて……。


 シャナは最初は少しモジモジしていたけど、結局は大はしゃぎで遊んでいるし、アイラは言わずもがなです。

 僕もまぁ、楽しいのは楽しいので、遊んで入るけど、ここで体力を使ったら、先に進むときに少々問題になるのではないかとも思っていたり……。


 とりあえず、塔の攻略を急いでいるわけではないので、今日はもう、ここで遊んだら帰宅することにして、みんなで温水プールの遊園地を楽しむことにした。


 窓の外に広がる雲海が、朱に染まってきたころ、僕たちもまぁまぁヘトヘトになるまで遊び倒したので、そろそろ帰ろうということになり、転移魔法陣で1階層に降り、そのままムーシルトまで移動して来た。


 拠点に帰ると、セレーナさんが出迎えてくれた。


「みんなお帰りなさい。」


「お姉ちゃんただいま。」


「「セレーナさんただいま戻りました。」」


 セレーナさんは、シャナのお姉さんで、重篤な病で臥せっていたけど、僕たちが塔でドロップした濃縮エリクサーを飲んだら、嘘みたいに回復して、入院していた病院を退院することが出来たのだ。

 でも、セレーナさんの入院費用や治療費の為、以前住んでいた家は売ってしまって、アパートを借りるつもりだと言うので、それならと、拠点の余っている部屋を仮住まいにしてもらうことにしたのだ。

 ていうか、なんならこの拠点の1階部分なんて、まったく使う予定もないのに、キッチンだのお風呂だのを完備しているので、そのまま住み続けてくれてもかまわないと思っていたけど、シャナもセレーナさんも、すぐに住むところを探すと言ってきかないので、それならばということで仮住まいとしてもらっていた。


「あら?皆汗をかいて来るものだと思って、お風呂の準備をしていたけど、なんだかさっぱりしているわね。」


「あぁ、今日到達した30階層のラウンジがね、なんと、温水プールの遊園地で、みんなプールで遊んできたから、帰りにシャワーも浴びたし。」


「あらぁ、それは良かったわね。それで少し遅かったのね、夕食出来てるけど、もう食べる?」


「そうしようかな、トトたちも食べていくでしょ?」


「あぁ、ありがとうございます。でも、僕たちもお母さんが晩御飯の準備をしてくれているとおもうので、帰って家で食べることにします。」


「あら、そう、残念だけど、仕方がないわね。」


「それじゃあ、僕は2階に荷物を置いたら、すぐ帰りますね。アイラはどうするの?」


「私はこのまま帰るわ。」


「そっか、じゃあまた明日!」


「うん、またね。」


「二人ともお疲れ様。シャナ、手を洗ってきなさい。」


「は~い。」


 シャナの返事のトーンが、以前に比べるとちょっとだけ弾んで聞こえるのは、気のせいじゃないような気がした。


最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

楽しんでもらえていたら嬉しいです。

次回は1月27日(火曜日)に更新予定です。

もし面白いと思っていただけたら、評価やコメントをいただけると励みになります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ