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プラモ召喚ガチャでありえない機体を引いた僕、塔攻略で気づけば無双していた件  作者: すずき 虎々
第一章

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10話 謎のピンク現る

数ある作品の中から、私の作品を見つけてくださり、ありがとうございます。

読んでいただける方に楽しんでもらえるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。

 試練の塔21階


 フロアに足を踏み入れた瞬間、呼吸することを忘れる程の緊張感が走った。

 何かがいることは理解できても、全く気配を感じることが出来ない。

 にもかかわらず、確実に“何か”が近づいていることを察していた。


「この、感じ……。」


 僕とアイラは、現実の死が、迫りくる“何か”によって、目の前に突き付けられていると感じる程に、これまでの魔物とは一線を隔す圧倒的な差。


 その“何か”は、壁を蹴り、天井を走り、柱を使って軌道を変えながら、空間を縦横無尽に、音もなく走り回っていた。

 しかし、二人とも、その“軌道”を目で追うことが出来ずにいた。

 その原因は、空中で方向が変わるという、物理法則を無視した動き。


「空中で、曲がった?」


 黒く艶の無い体表に、千手観音のように無数に生えている手足、関節の数も多く、それぞれがフレキシブルに可動しているように見える。

 顔のようなものは見当たらないが、各腕の先端に鎌状の爪があり、その根元には、糸を吐き出す器官があるようだった。


「糸だ!あの空中で突然軌道が変わるのは、糸を使っているんだ。」


「成程ね、でも、あの速さを追いきるのは難しそうね。」


「一旦引こう、対策を考える必要がありそうだよ。」


「そうね、そうしましょう。」


「あ!危ないっ!!!」


 距離があると思っていた魔物だったが、一瞬で距離を詰め、アイラに斬りかかって来たのが見えたので、僕は咄嗟にアイラを突き飛ばした。


 すると、魔物の爪が、僕の背面右肩口から袈裟斬りに振りぬかれる。


 周囲に僕の潜血が飛び散……、らない?


 僕は一瞬背中を斬られたと思って、身体を強張らせたが、まったくと言って良い程に痛みがない。


「あれ?」


「ん??」


「アイラ、あの魔物、速いけど、行けるかも……。」


「トト、ちょっと背中見せて。」


「うん、これでいい?」


 僕はそう言うと、アイラに背を向けた。


「えぇとね、肩口辺りの青い所に、ほんの少し傷が入っているくらいかしらね。」


「最初に感じた威圧感は、いったいなんだったんだろうね。」


「多分それは、下のメイドの言葉を真に受けたというのもあるでしょうし、私たちがもし生身で来ていたのであれば、おそらく今の一瞬で死んでいたんだと思うわ。つまり、そういうことよ。」


「成程ね、いや、そうだよね。僕も斬られた瞬間はやられた感が凄かったから、きっと生身だったなら、肩から斜めに真っ二つだったんだと思うよ。」


「プラモってすごいわね……。」


「そうだね、これがマスタークラスっていうのもあるだろうけど、それにしても強すぎるよ……。」


「問題はあの速さだけど、速いとはいえ、攻撃されたところで、私たちにダメージが通らないなら、追わなくても良いんじゃない?」


「そうだね、攻撃してくるのを待ち構えるのが良いかもね。二人で盾を構えて、かかって来たところを剣で斬る作戦で行こうか。」


「そうしましょう。ジワジワと追い詰めて言って、フロアの隅に追いやりましょう。そうすれば捕まえ易いんじゃないかしら。」


 僕たちは、徐々に距離を詰め、何度か失敗はしたものの、最終的には魔物を捕らえ、追い詰められて飛び掛かってきたところを、カウンターで串刺しにすることが出来た。


「倒すことは出来たけど、なんかちょっと、戦い方が不格好というか、もう少しスマートに倒したかったね。」


「まぁ、今後回数を重ねることで、慣れて行けるんじゃないかしら。」


「そうだね、焦る必要もないしね。」


 僕たちは、魔物を倒した安心感から、ドロップした宝箱の前で、雑談をしていると、背後から、僕たちを怒鳴りつけるような声が聞こえた。


「ちょっと、あなたたち、さっさとその宝箱を拾いなさいよ。いつまでたってもリポップしないじゃない!」


 僕たち二人は驚いて振り返ると、いかにも女の子が好みそうな、ピンク色のプラモを纏った、声や口調から察するに、おそらく女の子であろう人が立っていた。


「あ、ごめんなさい。」


 僕は言われるがままに宝箱を拾い上げ、マジックバッグにしまい込んだ。


「何よ、拍子抜けしちゃうわね、言われっぱなしなわけ?」


「いや、君の言う通りだなと思ったから……。」


「冒険者なんかやっていて、ましてやプラモ纏っているくらいなんだから、少しくらい言い返すくらいの気概はないの?もういいわ、さっさとそこをどいてちょうだい。」


 ピンクプラモの女の子が、僕を押しのけて先に進もうとした。

 すると、今度はアイラが、女の子の棘の付いた肩当てが付いている左肩を掴んで、後ろに引きながら言った。


「ちょっと、さっきから聞いていれば、いったい何なのかしら?」


「そっちこそ、その手は何のつもりなの?」


 僕はアイラを抱きかかえる様に制して女の子から引きはがした。


「アイラやめなよ、すいません、どうぞ進んでください。」


「ふんっ!」


「ちょっと、トト、離しなさいよ。ていうか、どさくさに紛れて何処を触っているのよ!」


「あ、ごめん。って言っても、プラモ纏ってるし……。」


「こんな時までイチャつくなんて、なかなかの神経してるのね。まぁいいわ、トトとアイラね、名前は覚えたわ。この先で会うことがあれば、覚悟することね。」


「なんですって!?」


「アイラ、やめなって。」


「離しなさいよ、トト!」


「ふんっ!」


 ピンクプラモの人は、そのまま先へと進んでしまった。


 僕たちは、一度仕切りなおそうということにして、拠点へと戻ることにした。


「それにしても腹立たしいわねあの女。なんなのあのへんなプラモ、色はピンクだし、棘だの角だのついてるし、変な板みたいなの、右肩に固定されていたけど、あれでどうやって攻撃を防ぐのよ、ただの重りじゃない。いきなり突っかかってきて、少し頭がおかしいんじゃないのかしら。」


「アイラ言い過ぎだよ。それに、僕たちも試練の塔の内部で、ちょっと気を抜きすぎていたとは思うから、良い教訓だと思えば良いじゃない。」


「まったくもう、トトはお人よしが過ぎるわよ。」


「まぁまぁ、それより、宝箱を開けようよ。」


「そうね、今回は何か良い物が入っているかしら。」


「まぁ、金塊50㎏より凄い物なんて、そう簡単に手に入る物でもないだろうけどね。」


 僕はマジックバッグに入っている宝箱を、7つ全て床に出した。


「今日は7つだったのね。」


「うん、13階と15階、18階は出なかったからね。でも、18階は確か、あぁ、コレだ。この鍵の付いた本だ、どうやって開けるんだろう?そのうち鍵も出るのかな?」


「力ずくで開かないのかしら。」


「なんかね、無理やり開けようとすると、鍵の辺りに魔法陣が浮かんでくるから、多分結界が仕込まれているんだと思うよ。」


「結界付きじゃ厳しいわね、下手をすると燃えちゃうでしょうし。それに古い本がそれ程重要な物とも思えないわ、2階の倉庫にしまっておけばいいんじゃない?そのうち鍵が出るかもしれないしね。」


「そうだね、それじゃあ宝箱の方いってみようか。小さいのからにする?」


「そうね、トトにまかせるわ。」


「わかった、それじゃあ、早速コイツから開けてみるね。」


 僕は、床に並んだ一番小さい宝箱を開いた。

 宝箱の中には、濃いブルーグリーンの液体の入った、綺麗な装飾が施してある瓶が10本縦に並んで入っていた。


「これって、もしかしてエリクサー?」


「私が見たことのあるエリクサーの記憶とは少し違うわね、色が濃すぎるわ。」


「マジックバッグに入れてみよう。」


 僕は宝箱の中から瓶を一本取り出し、マジックバッグにしまうと、インベントリリストに“濃縮エリクサー”と表示された。

 使用方法は、通常の万能回復薬として使う場合は10倍希釈で、そのままで使うと死んでから大分時間が経った遺体でも復活すると書いていた。


「たぶんコレ、まぁまぁヤバイ薬だと思う。」


「いったい何だったの?」


「えぇとね、濃縮エリクサーだって。普通のエリクサーとして使うなら、10倍希釈で、そのまま使うと、死んだ人も生き返るらしいよ。」


「これ、何階で出たのかしら。」


「たしか、16~7階くらいだった気がするんだけど……。」


「これが、そのくらいの階層で出たと知れ渡れば、おそらく大変なことになるでしょうね。」


「そうだね、内緒にしておこうか。」


「それが良いと思うわ。」


「じゃあ、次はコレを開けてみようかな。」


 僕はさっきの宝箱より少し大きい宝箱を開けた。

 すると、中には小振りな木製の樽が入っていた。

 僕は、その樽を取り出して、マジックバッグにしまってみると、インベントリリストには、“祝福の酒”とあり、効果は全てのステータスを大幅上昇させるとあり、味も極めて格別なため、中毒性が高い。と書かれていた。


「祝福の酒だって、中毒性が高いらしいから、お父さんたちにはあげられないね。味は格別って書いてあるけど、そんなに美味しくて中毒性も高くて、ステータスアップ効果もあるらしいから、高く売れるかもね。」


「そうね、私たちには不要でしょうし、後でハンダーソンに見てもらいましょう。さぁ、次に行きましょう。」


「わかった。」


 僕は、勢いよく次の宝箱を開けたけど、一瞬キラキラと輝いた気がしただけで、中身は空だった。


「あれ、空だね。」


「ハズレを引いたわね。」


「そうなのかな。じゃあ次行くよ。」


 そう言って、次の宝箱を開けてみたけど、こっちもやっぱり一瞬キラキラ輝いただけで、中身は空だった。


「また空だ。」


「今日はずいぶんと調子が悪いわね。きっとあの、ピンクの女のせいよ。」


「まぁまぁ、そういわないで。」


「あら、ずいぶんとあの女の肩を持つじゃない。」


「そんなことはないよ。ただ、見知らぬ人の悪口を言っていても仕方ないかなと思ってね。」


「イタっ」


「ん?アイラどうかした?」


「私は何も言ってないわよ、ていうか、私の声じゃないし、トトの声でもなくない?」


「え?じゃあ誰?」


「もうチッチったら、馬鹿なんだから。声を出したら見つかっちゃうじゃない!」


「そういうクックこそ、大きな声出して!」


「「えぇっ!?」」



最後まで読んでいただきありがとうございます。

感謝の言葉しかありません。

よければ次のお話も読んでいただけるとありがたいです。(次回更新は1月6日火曜日を予定しております。)

どうぞよろしくお願いいたします。

このお話が面白いと思っていただけたなら、評価やコメントなどいただけるとありがたいです。

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