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プラモ召喚ガチャでありえない機体を引いた僕、塔攻略で気づけば無双していた件  作者: すずき 虎々
第一章

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1話 奇跡の召喚

数ある作品の中から、私の作品を見つけてくださり、ありがとうございます。

読んでいただける方に楽しんでもらえるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。

この作品は、私が以前書いた連載作品である《ものの5分シリーズ》の約2000年後のお話となっています。

これから始まるお話の、舞台をより理解したいと思っていただけたら、そちらの方も読んでいただければ、より作品に対する理解が深まると思いますが、読まなくても大丈夫なようにも書いて行くつもりです。

更新ペースに関しては、原則的に週に2回、火曜日と木曜日の午後9時ちょうどを予定しておりますが、最初の三話については、月・水・金の三回で投稿しようと思っております。(何も告知が無ければ週に2回と思ってください。)

 この世界には、人の力では越えられないと言われている試練の塔がある。

 そこには、生身で足を踏み入れたが最後、一瞬で命を狩り取られてしまう、恐ろしい魔物がはびこっているのだ。

 嘗てこの地に舞い降りた神は、人々に試練を与えた。

 それこそが、この試練の塔の踏破なのだ。

 その昔、一人の勇者と5人の聖女がこの塔に挑み、踏破したという伝承が伝えられているが、それはおそらくこの塔を題材にした作り話や、物語の類だろう。


 しかし、この世界に神が降り立ってから二千余年、人類はただ漠然と時を貪ってきたわけではない。

 我々人類にも、この試練の塔を踏破する為に培ってきた技術がある。

 それは、この世界とは異なる場所、異世界からの贈り物。

 おそらく、その世界の最高峰の技術を駆使して作られたであろう、精巧な人型オブジェ。

 しかし、それは、無条件で人類に力を貸し与えてくれるわけではない。

 その難解なパズルのような立体物を組み立てることが出来た時のみ、我々人類の強力な力となるのだ。


 ──そして今、一人の少年が、その力を解き放つ――



「秘めたる力を開放し、我が身を護る盾となり、敵を穿つ矛となれ。アセンドストライク!」


 少年が高く掲げた右手には、白を基調としたトリコロールカラーのプラモが握られていて、少年の唱えた呪文によって、そのプラモを中心に眩い光が放たれる。


 やがて、眩しかった光が収束すると、未だ輝きが収まり切らないパーツが次々と身体に吸い込まれ、白い鎧となって少年を覆う。

 すると、そこには白いプラモを纏った少年が、S字立ちの姿勢で颯爽と立っていた……。



「いよいよね、トト。」


「うん、このチケットの為に、どれだけの時間をかけて依頼を達成してきたことか。何が出てこようと、必ず最高のEQゴーレムに仕上げて見せる!」


「頑張って!」


 僕は、テーブルの上に置いたチケットを覆い隠すように手をかざし、ありったけの祈りを込めて呪文を唱えた。


「時空を越え、我が意志に応えよ。造形は器、器は魂。古の契約に従い、その命を刻み、この地に顕現せよ。プラモ召喚!」


 テーブルの上に置いたチケットを中心に発したまばゆい光が、二人の視界を奪う。

 そして、その光が収束すると、チケットが置いてあった場所には、大き目の四角い箱があった。


「え?ただの箱?もしかして失敗した???」


「何言ってるんだよアイラ、失敗なんてとんでもない、成功、いや、大成功だよ!これは、マスタークラスのプラモだよ!!!」


「それって、凄いの?」


「当り前じゃないか、チケットで出てくるのは、大体がエントリークラスか、良くてハイクラスのプラモ、あとは大体がプラモを作る為の道具類がほとんどだけど、マスタークラスはそれよりもずっと凄いんだ、ただ、部品の数も相当多くて、中にはどうやっても組み付上げるのが不可能な難しい物もあるけど、その分完成させることが出来れば、強力なゴーレムになるんだ。まさか、自分でマスタークラスを召喚出来る日が来るなんて、夢のようだよ!」


「召喚したプラモを売ってるお店、よく見に行ってたけど、いつも高くて買えないって溜息ついてたものね。」


「あぁ、でも、こうして自分で召喚した物がマスタークラスだと、今まで道具にお金をかけてきた甲斐があったというものだよ。エントリークラスなんかは、部品を手でもぎ取ってもなんとかなるものもあるけど、ハイクラス以上はやっぱり道具が重要になってくるんだ。ゲートの跡を綺麗に切り取らないと、部品同士がうまくかみ合わなかったり、組みあがっても稼働を妨げることもあるからね。」


「そうなんだ。でも、トトが集めた道具っていうのも、異世界から召喚されたものなら、高かったんじゃないの?」


「いや、これらはそうでもないよ。チケットでの召喚目的は、あくまでゴーレムだからね。こういったニッパーやナイフ、ヤスリ、塗料、接着剤、パテ類なんかも出るけど、これらは召喚を失敗した時の副産物的な扱いだから、ゴーレムに比べたら相当安い値段で売っているんだよ。ただね、実は、最近になって、同じニッパーでも、刃が両面についているものと、片面についているものがあることがわかってね、しかも、それらも皆同じ性能というわけでもなく、切れ味が良かったり悪かったりするらしいんだ。僕はこの、水色の柄の、両刃と片刃のニッパーを選んだんだけど、はたしてその性能がどれほどのものか、今から組み立てるのが楽しみだよ。」


「ねぇねぇトト、早く開けて見せてよ。」


「OK、それじゃあ開けるよ……。」


 僕は箱に手をかけ、ゆっくりと蓋を開けると、そこには、幾重にも重なったランナーがぎっしりと詰まっていた。

 だが、その一つ一つの部品が、淡い光を帯びているようで、その輝き自体が生き物であるかのような躍動感で煌めいていて、プラモを初めて見るアイラはもちろん、何度も見てきた僕でさえ、息を呑んでしまうほどだった。


「これが、マスタークラス……。」


 箱には、中のプラモが完成した後の姿が描かれていて、箱の中には不思議な透明の袋に入ったランナーが、ぎっしりと詰め込まれている。

 僕は、袋を一つ一つ慎重に、丁寧に開けていく。

 この透明の袋は、凄い性質を持っていて、なんと、水や空気を通さない。

 しかし、残念なことに、水を通さない透明な袋と言う、画期的な素材であるにもかかわらず、ところどころに穴が開いているので、水を持ち運ぼうと思っても、穴から零れて、僅かな量しか運べない……。

 いや、袋の話はいいだろう、プラモとはまったく関係ないし、正直な話、どうでも良い……。

 しかし、このプラモという物の素材がまた不思議で、固いのに柔らかく、しかも、その柔らかさも部分部分によって違いがある。

 木材とも、金属系とも違い、独特の強度で、組み立てるのに適した強度となっていて、しかも、これはおそらく、関節部の素材は意図的に軟質でかつ粘性の高い素材になっているんだと思う。

 そして、謎の言語で埋め尽くされた説明書。

 この説明書も凄い技術で作られていて、まず、紙の質の高さが尋常ではない。

 一枚一枚が、それだけで価値を生み出しそうな程の艶を携えたもので、書かれている部品の絵も、実物と寸分たがわぬ精度で描かれており、絵師の技術も相当なものだと云える。

 あと、書いている内容は理解できないが、書かれている文字の正確さも凄まじいものがあり、相当なレベルの魔法使いが、膨大な魔力量を費やしても、ここまでの精度は出せないのではないだろうか。

 ちなみに、一部のビルダーの間では、このプラモに書かれている文字と、試練の塔に書かれている文字が、同様の言語の可能性があるとして、プラモは、神が我々人類にもたらした神器の可能性を示唆する者さえいるくらいだ。


 あと、僕は今まであらゆるプラモ関連の書物を読み漁り、また、プラモ屋で売られている本物を穴が開くほどに見てきた結果、この世界の数字の概念と同じ記号を使っていると思われ、しかも、その数字の書き方の違いだけは、何となく理解することが出来るようになっていた。

 つまり、解読したのである。

 その解読の結果と照らし合わせると、このプラモは何らかのシリーズ、若しくはEQゴーレムのバージョンが、78-2の3.0だというふうに推測できる。

 箱には他にもいくつか数字が記載されているが、このゴーレムとの関連性が高いとは思えないものばかりで、先程の78-2と3.0は箱のいたるところに記載されていて、78-2などは、プラモの部品のなかに、台紙から剥がして、そのまま貼り付けることの出来る紙のような物があるが、そこにも記載されているので間違いないだろう。


「あ、ところでアイラ。君はいつまでそこにいるつもりなの?」


「え?それはもちろん、トトがこのプラモを完成させるまでに決まってるじゃない。」


「非常に申し訳ないんだけど、このプラモが完成するには、数日はかかると思うよ、下手したら、来週になるかも……。」


「もう、早く言ってよ!じゃあね、出来たら教えてね!!!」


「うん、ゴメンね。じゃあまた。」


 これで、集中できる……。


 僕は、テーブルの上に全てのランナーを並べ、自分がわかりやすいようにランナータグにナンバリングをしていく。

 そして、揃えた工具のなかから、ニッパーを取り出して、説明書の最初のページを睨みつけ、ランナーから少しゲート跡を残して部品を切り出した。

 いきなり部品ギリギリのところを切り出して、破損してしまうのを恐れたからだ。

 ランナーゲートの方と、パーツの方を、交互によく見比べてみると、切り口がややギザギザしているように感じた。

 パーツの方の切り口は、この後にもう一度、もう一つの方の片刃ニッパーで切り、切り口を確認してみると、どこにゲート跡があったのかわからない程、綺麗に、ツルツルに切れていた。


「ニッパーの入れ物の紙に書いてあったやり方で切ってみたけど、やっぱり書いてあった絵と同じような、綺麗な切り口になった。」


 この後僕は、時間が経つのも忘れて、プラモの製作に没頭することになったのだった……。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

感謝の言葉しかありません。

よければ次のお話も読んでいただけるとありがたいです。

どうぞよろしくお願いいたします。

このお話が面白いと思っていただけたなら、評価やコメントなどいただけるとありがたいです。

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