余談の余談 2
教会に着いた。
お外への道は貴族学園への通学で見慣れ始めていたが、教会は初めて。
特にこの教会は中央教会って言ってすごく大切な教会らしい。
それだけあってすごくキラキラしてて大きな教会だ。
「すごーい!」
「気に入りましたか?」
「はい!」
「ではルシア様。もしここで生活できるとしたら…家族の元を離れるのもいいと思いませんか」
「え…」
…ぶっちゃけ頷きたい。
でも、私は希少な光魔術の使い手で家族に奉仕しなくちゃいけないから…。
「えっと…そんなことしたら怒られちゃいます」
「誰に?」
「家族に…」
「ふむ」
先生に手を握られる。
当然のことにドキッとする私を、先生は教会の中へ誘う。
教会の中は、外観よりさらに豪華だった。
「綺麗!」
「素敵でしょう?さあ、聖王猊下がお待ちです。どうぞ奥へ。一緒に行きましょうね」
「奥?」
教会の奥に通される。
そこは司祭様たちしか立ち入り禁止らしいが、先生を見ると司祭様たちが頭を下げていた。
先生ってもしかして偉い人?
「さあ、入って」
先生に促されて一番奥の部屋へ入る。
そこには温和そうなお爺ちゃんがいた。
この人が聖王猊下?
教会で一番偉い人なんだよね?
どうしよう。
「初めまして、ルシア様。さあ、こちらのソファーへお掛けください」
「は、はい!」
ソファーに腰掛ける。
先生は私の隣に座る。
「ウルクス殿、迅速な通報感謝します」
「ええ。さて、ルシア様。貴女にはいくつかショックな話をしなければならないのです。心を落ち着けて聞いてくださいね」
「え?え?」
「聖王猊下、ルシア様は魔術で飛ばした手紙の通り自分の境遇を当たり前のものと思っています。分かりやすく伝えてあげてください」
「ううむ…悲しいですが、仕方ありませんな」
そして聖王猊下は語り出した。
ショックなことばかりで、咀嚼するのに時間を必要としたが…こういうことらしい。
まず、私は両親から光魔術を「不当に搾取」されていた。
そして、両親のしていたことはそれだけではなく私への「心理的な虐待」もあったそうだ。
両親はそれを理由にこれから聖騎士たちに捕まって裁きを受け、弟妹たちは孤児院に行くらしい。
「そんな…」
「そして君は、今日からこの中央教会で聖女候補として幸せな生活を送ります」
「で、でも私だけ幸せになって家族が悲しいことになるなんて…」
「それだけのことを貴女の家族はしたのですよ、他ならぬ貴女にね」
「それは…」
そう、なのか。
そうなのか。
私は家族に愛されてなかったのか。
私の愛は一方通行だったのか。
私の家族への奉仕は無駄だったのか。
「…先生、悲しいよぉ………」
「ええ、そうですね」
「私、愛されてなかったの?」
「ええ、そうですよ」
「………うぇーん!!!」
先生に抱きついて泣く。
先生は優しく私を抱きしめてくれた。
背中をそっと撫でてくれる。
「大丈夫、これからは聖王猊下も私もそばにいますよ」
「うぇーん!!!」
「よしよし、今はたくさん泣きなさい。私が全部受け止めてあげますよ」
「うぇーん!!!」
私は泣いて泣いて、泣き疲れて落ち着くまで泣いた。




