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気がついたら、真っ暗闇だった。
水の中にいる感覚。
『ここ、どこだろう…』
歌が聞こえる。
日本語ではないらしく、言葉はわからない。
ただ、優しい歌だと思った。
『…えっと、生まれ変わった………のかな?』
突飛な発想、ではあるのだけど…。
なんとなく、そうかなって思った。
『お母さん…お父さん…お兄ちゃん…ごめん、ごめんね…』
泣くに泣けない。
まだ新しいお母さんのお腹の中の未発達な身体、だからだろう。
『ごめんね、先に死んでごめんね…』
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
『悲しませて、ごめんなさいっ…』
それでも。
生まれ変わったなら、こちらの世界に慣れないといけない。
『ごめんね、でも…私、こっちでも幸せになれるように頑張るから』
だから、ごめんなさい。
せめて、こちらでも幸せになるからね。
『…まあ幸いなのは、お腹にいる時から意識があるってことは身体を奪われた可哀想な女の子はいないってことかな』
『異世界転生モノってそこら辺が心配だったから、最初から私が私なら安心だよね』
そもそもここが異世界なのかもわからないけど。
日本語圏じゃないだけで同じ世界なら、同じ時代なら。
『前の家族に会いに行っても、いいかな』
なんて。