余談の余談 1
私はルシア。
この世界で最も稀少で強力な光魔術の使い手。
だから平民でありながら、貴族学園に入学できたのだけど。
そこで完膚なきまでに失恋した。
しかしその後現れた家庭教師の先生に惚れっぽい私はまた恋に落ちた。
「ということでルシア様」
「は、はい先生!」
「まずはお勉強の前にどれほどの実力を持つかテスト…」
テストから!
と思ったが…先生はそこで言葉を止めて私の部屋を見回した。
「…と、行きたかったんですけどねぇ」
「?…先生??」
「ルシアお嬢様。いくつか質問があります」
「…えっと、私何か失礼を?」
「いいえ、君に咎はないので…どうか正直にお答えくださいね」
聞かれたことは私の光魔術についてと、家族についてのこと。
「君は光魔術を使って人を癒していますね」
「はい」
「それは毎日ですか?一日何時間くらい?」
「ほぼ毎日ですけど、お客様がいなかったらおやすみになります。一日中働く日もあれば、休み時間が長い日もあります」
「…!」
ブラック過ぎる…と呟く先生。
ブラックってなんだろう。
「では、お客様からお金は貰いますか?」
「はい、お客様が両親に払ってます」
「君自身に、ではなく?」
「はい」
「君に分前…お小遣いは?」
首を横に振る。
先生は盛大にため息をついた。
「君の家は平民とは思えないほど大変立派ですね。ご両親やご兄弟の着ている服も立派だ。けれど貴女の部屋は質素。貴女の服も質素。これはどういうことでしょうね」
「それは仕方のないことです!だって私は希少な光魔術の使い手だから、家族に奉仕するのが当たり前なんですから!」
「………そうですか」
さて、どこから手をつけたものかと先生は悩んでいる。
何を悩むことがあるんだろう。
「…ルシア様、とりあえず最初の授業として社会見学に行きましょうか」
「社会見学?」
「教会に行ってみませんか?」
にこっと優しく笑う先生。
両親に家から出るなときつく言いつけられていて、今まで外に出たことはほとんどなかった。
貴族学園に通うことになった時はさすがに許してくれたけど、教会に行っていいのかな?
迷っていると先生は殊更優しく言った。
「私は元々教会から光魔術の使い手を育てよと派遣された家庭教師です。そのくらいの権限はありますよ」
「!…じゃあ行ってみたいです!」
「ええ、では参りましょうか」
先生の手を取って、家を出る。
家を出る時に先生がなにやら家族と話していたが、家族は特に怒った様子はなかった。
外に出て良いんだと嬉しくなる。
ということで、いざ教会へ!




