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弟が二歳になる頃、先生は言った。
「次は弟君に哲学書を読み聞かせてはいかがでしょう」
「乗った!」
弟のためならそのくらいはしてもいい。
ということで、弟が三歳になるまで哲学書を読み聞かせた。
私は結果的に、哲学にも明るくなった。
というかこの悪役令嬢ボディすごい。
知識がスルスル頭に入る。
今更だけど本当にすごい。
ぼくがにさいになると、ねえさまはこんどは『てつがく』をよんでくれるようになりました。
ぼくはてつがくを『りかい』はしないけど、『おぼえ』ました。
そしていつのまにか、おぼえたれきししょうせつとてつがくを『りかい』できるようになりました。
ぼくはちょっとおおきくなったけど、ねえさまはあいかわらずぼくをかわいいかわいいとほめてくれます。
だからぼくはきっと、おおきくなってもかわいいのです。
ねえさまがいうからそうなのです。
やはりお嬢様と弟君は天才だ。
スルスルと知識を吸収していく。
お嬢様は完成された美しい姫君となった。
あとは弟君の方だな。