表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この復讐は魔法が解けるまで。  作者: ウキイヨ。
第2章 森の国
11/13

黒い影

リクべべの鋭い爪が、ランギクの植物を剥ぎ取り

植物の集合体となったランギクを、リクべべの剛腕により。

押し倒されてしまった。


辺りを舞う花びらと植物のツタ。

まるで何百年とその地に立っていた樹木を

大きな斧が切り落とす様に。

ランギクが倒れた衝撃により入り口の壁が破壊され

その音により辺りの動物達が騒がしくなる。


「・・・やはりその程度か。魔法界の生き残りが、聞いて呆れる。」

倒れ込むランギクの右腕を踏み潰し

高らかに笑うリクべべと悲鳴を上げるランギク。


静かな森にその悲鳴は、響き渡った。


「愚かなモノよ・・・。()()()()。貴様の選択が今、まさに吾輩によって阻止されておるわい」


大声を上げ、リクべべに立ち向かおうとするセツナを

リクべべが右腕で吹き飛ばし、木に激突するセツナ。


「――ガハッ。」


「無力。魔法を使うまでもないわ。折角与えられた禁忌さえも、使えぬ貴様らなどに価値は、ない。」

再びリクべべが、ランギクの身体を踏み潰し、悲鳴を上げる。


「止めろォォォオオ!!」

セツナの声も届かず、リクべべは、ランギクを踏み続ける。

「安心しろ。こやつの次は、貴様だ。・・・ようやくこの時が来たのだ。」

リクベベは不気味に笑みを浮かべランギクに向かい言い放つ。

「老いぼれ、地獄でよく見ておけ!!吾輩が、魔法界を変えてやるよ!!!」


ゴゴゴ・・・。

と草陰から、何十匹の動物達が、リクべべ目掛け飛び出してきた。


イノシシは、リクべべに突っ込み。

狼や豹は、リクべべの身体に噛みつき。

他の動物達もリクべべに、攻撃を与える。


「お・・・前たち・・・。」

全てランギクが、元の姿に戻し森に帰した動物達だった。


「えぇい!鬱陶しい!!」

リクべべの身体を炎が覆い、動物達を薙ぎ払った。

「止め・・・ろ。」


「無力・・・。実に無力だ。」

リクべべは、怒りはじめた。


さっさと決着をつけようとリクべべは、再びランギクを見下ろし

虫を見るような目で、終わりにしようか。と微笑んだ。


しかしリクべべは、一瞬空気が変わった事を、肌で感じ取った。


動物達や、ランギクの倒れていく姿を見ていたセツナに、

異変が起きたのだ。


セツナは、再び(うずく)っていた。

この館に辿り着く前に起きた眩暈と頭痛以上の痛み。


倒れ逝く仲間達の姿と、身に覚えのない記憶が、フラッシュバックして

その場景が、重なった瞬間。


セツナから黒いオーラが、漏れ始めた。


その一部始終を、こっそり木の上から眺めていた者たちがいた。

そして確信と共に一人は、微笑んだ。


不気味な黒いオーラに、身に覚えの在るリクべべは、

初めて覚えた恐怖を思い出した。


魔法界を去り、復讐を誓ったあの日

自分を襲った。

黒魔道士の魔力その物。


「貴様・・・。なんだその魔力は・・・。」

リクべべは、その姿を見て想った。


まるでランギクの能力の様に、黒いオーラがセツナの右腕を覆い

その姿を本物の化物と感じたのは。


リクべべは、全ての力を振り絞り

身体を炎で覆い、炎の化身となり辺りを燃やし始め

セツナに向かって行った。


あの日もそうだ。

黒魔道士と遭遇し、全ての力を振り絞って挑んだ。


しかし決着は、一瞬だった。

ランギクの咄嗟に出したツタがリクベベの動きを止め

再び動物達がリクベベに噛みつき

痛みを感じた瞬間に黒い影が、リクベベの体を突き抜けた。


想い出した。あの感覚を。あの一瞬を。

この一瞬と共に。

気が付けば身体は、動かず身体から血を流していた。


ふと振り返った所には、黒いオーラを放ったセツナの姿。


音さえもなく、静かに、自分の命が奪われた事に、気づいた時には、遅かった。


リクべべは、そっと目を閉じ。

燃え盛る木々の音に、耳を向け

静かに、倒れていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ