飲料を作る理由
「よくわかったの。童は最初、サンドイッチか何かかと思ったぞ」
答えを一発で当てたウィズに、ルミナが関心の眼差しを向ける。
その様子に気を良くしたのか、少しだけ饒舌になってウィズが語り始めた。
「食料は1か月は食べなくても耐えられるけど、水は4~5日が限界だからね。食料よりも飲料の方に需要が傾くのは当然さ」
「それに、飲料は他の商品との併売が起きやすいんだよ。サンドイッチや弁当買うにしたって、飲み物なければ一緒に買うだろ」
「確かにね」
「先にレベルアップしておけば、いろんな新商品を開発したときに客単価が上がりやすい。後々の為にも、飲料の強化はマストだ」
すべてのコンビニに当てはまるかどうかはわからないが、大体のコンビニの売れ筋は飲料であるのは違いない。
それは店の構造が物語っており、たいていのコンビニは飲料の棚が、入口から一番離れたところにある。それはそれだけ売り場を入口から離しても、お客様が買い求めてくれる証拠であり、
加え、飲料を買いに行けば、自然と店を大きく回る順路をたどるから、飲料以外のコーナーにも自然と目が向き、商品を見てもらう導線ができているってわけ。
真っ先に目立つ商品群ではないが、それぐらい飲料ってのは、コンビニを陰から支えている、見えない大黒柱のような役割を果たしている。
「皆のおかげで飲料の数も充実してきておるのじゃ。普通の飲料水にお茶が数種類、加えて採れたての果実で作ったジュースが10種類近く。さらにレベルアップとなると、いったい何を作ればよいのじゃ?」
確かに、店を出したばかりのころは、一度煮沸した飲料水に、果実や木の実の果汁で作ったジュースが少し並ぶだけの貧相なラインナップだった。
そこから神樹精たちの努力で、森の薬草や山菜を煮出して作った薬膳茶や、果実をうまくブレンドして、味に深みを持たせたミックスジュースなど、ラインナップは確実に広がりつつある。自然素材のものだけで商品の拡張を広げても、それなりの売り場になるだろう。
だからこそ、飲料でドカンと目立つ商品を開発することで、店への興味、そしてそれを開発した神樹精に対する関心や興味につなげたい。
そんな重要な役割を担える、今回の作戦の要となる商品は——
「炭酸だ」
「たん、さん……?」
聞いたことがないワードにルミナが首をかしげるも、一方でウィズは俺の考えを見透かしていたかのように、余裕のある表情だ。
「ルミナ様。多分だけど、シュワシュワと泡立つ不思議な水のことだよ」
「おお! あの不思議な水か!」
そうだろう? とウィズが俺に視線を投げてきたので、俺も笑って頷いた。炭酸という名前は知らないみたいだが、俺が作りたいものが何かは想像がついているらしい。
「今回のミッションは炭酸飲料の開発だ。他の神樹精はサイダーやコーラに×をつけていたが、お前は△をつけていた。作れる見込みはあるんだろ?」
「もちろんだとも」
自信ありげにウィズが答えると、ルミナも「なんと!」と驚きの表情だ。
「よーし、そこまで自信があるなら、みんなの前で作り方を説明してもらおうじゃないか」




