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商品開発再始動!

 

「すまぬなウィズ。待ち伏せするような形になってしまって」


 ねぐらに戻ると、救世主様の言う通りルミナ様が私を待って洞穴の中央に鎮座していた。


「……昔、お主が母上たちに何を提案していたかを聞いた。そのことについてじゃ」

「……」


 続く言葉はわかっている。

 ルミナ様の小さな体は小さく震えていた。

 一族の未来が、自分の発言にかかっている。その小さな体にすべて乗っかっている。

 ルミナ様個人として謝りたい心と、王としての責任と、自分の協力を得られるかどうかの重責と、いろんな思いや重責が混ざり合って、ルミナ様の心を内から攻め続けている。


「……今更なのは思い知った。童が王として未熟なのは分かっている。それでも、お主の震源があったにも関わらず、一族を存続の危機に晒した王として、今一度お主に伝えなければならぬことがある」


 眼差しはまっすぐ私を見つめてくる。が、言葉は不安で所々震えたり滲んだりしていた。

 胸を内から刺されたような罪悪感が襲ったのはこの時だった。


 愚かだと思わないかい。救世主様に諭されてようやく考えを改めるなんて。


 正論だと思って放った言葉がカウンターのように響いてくる。

 ああ、本当に愚かだよ。


 愚かで本当に醜いったらありゃしない。


「今まで、すまなか——」

「——謝るのは私だ。ルミナ様」


 下がる頭を強引に止め、私はまっすぐなルミナ様の瞳から逃げるように、床に頭を伏せた。


 ああ。本当に愚かだとも。

 救世主様に諭されて、ようやく考えを改めるなんて。


「一族の危機だというのに、つまらない意地を張った。皆を困惑させた」

「いや、しかし、それは……」

「皆が一丸とならないといけない時だとはわかっていた。わかっていて迷惑をかけた。……救世主様に言われたよ。反省会なんてしてる暇はないんだぞって」

「ヨスガが……?」

「だからルミナ様」


 目を丸くして僕を見つめるルミナ様の手を取り、僕は目の前で片膝をついて、大きくその場で頭を下げた。


「今までの非礼、ここに詫びさせて欲しい。そして僕の知識を神樹精(ドリアード)再興のために、役立ててもらえないだろうか」

「……もちろんじゃとも!」


 僕が告げると、ルミナ様は子どものように無邪気に笑って、勢いよく僕の体に抱き着いた。

 子どものように、って、ついこの間までは子どもだったんだ。大人の僕たちが支えてあげなければ。


 で、現状。そんな不安なルミナ様の心のよりどころになっているのは、結果としてはあの異世界人なわけで。


「——面白くないね」

「ウィズ?」

「こっちの話さ」


 ああ面白くない。実に面白くない。説教をされたことも、僕よりもルミナ様に頼りにされていることも、今になってムカついて来たぞ?


「今までの汚名、超スピードで返上させてもらうとしよう」


 救世主様だか、知らないが、ルミナ様の前で僕よりかっこいいことするのは許さない。


 僕は今までの遅れを挽回すべく、ルミナ様の手を引きながら商品開発に勤しむ皆の元に合流すべく、少し速足で歩きだした。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・


「やっと重い腰を上げたか、ひねくれ研究者」


 外の木陰で待機していると、ルミナの手を引きながらウィズが現れた。ルミナの明るい顔を見るに、味方に引き込むことに成功したようだ。


「救世主様。遅ればせながら僕も参加させてもらおうじゃないか」

「遅れてきて何を偉そうに。あと救世主様じゃねえ。便だ」

「オーケー、ヨスガ君。早速僕は何から取り掛かればいいんだい?」

「コンビニで商売をするにあたって、真っ先に強化したい商品群がある。お前に頼みたいのは、そのレベルアップだ」

「なるほど」


 コンビニで一番売れている商品群は何かと聞かれ、おむすびとか、弁当とか揚げ物とか、目立つ位置に置かれている食べ物を答える奴が多いが、大抵の場合は間違いだ。

 どのコンビニでも安定して売れ、レベルアップに成功すれば、集客の導線になり得る商品群。それは——


「飲料だね」

「話が早い」


 ウィズの答えに、俺は不敵な笑みで返した。


 そう。正解は飲料だ。飲料のレベルアップの為、こいつにはとあるものを、何が何でも開発してもらわなければならなかった。



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