王様嫌いの原因調査
「味方にするとはいっても、どうしたものかのう……」
俺がウィズに目をかけてから1か月ほどが経過している。その間に何度も協力を持ち掛けるものの、暖簾に腕押し。成果は得られていないのが現状だ。
「そもそも王様嫌いってなんだよ。お前何か恨み買うようなことでもしたんじゃないのか?」
「……」
ルミナが低くうなりながら考え込むも、「……わからん」と思い息を吐いた。
原因に心当たりはないようだ。
「ほかの神樹精たちとの交流はほとんどなかったが、童とは仲がいいと思っていたのじゃ」
「? どういうことだ?」
「童が小さいころから、研究用の薬草や木の実を取りに、ほとんど森にこもっているような奴での。幼い頃はウィズに頼んで森の外を一緒に歩いて回るような仲じゃった」
「仲いいじゃん」
「……もしかしたら、童から一方的に絡んでいたから、内心疎ましかったのかもしれんのう。暇さえあれば探検に連れて行ってとせがんだものじゃから……」
「まあ、その辺の事情は当人にしかわからんが、主な要因は別にあるんじゃないか」
「どういうことじゃ?」
まあ、確かに一人でいるのは好きだし、自分の時間を大切にしたい奴にとっては、強引に絡んできてその時間を奪うやつは、うざいかもしれん。
でも、
「お前が嫌いなら、お前のこと嫌いっていうんじゃねえの。遠回しに批判するか?」
「むむ……」
あの時のやり取りは何か違和感を覚えた。王としての頼み、とかその辺のワードに少し反応した印象があったが。
「ほかに原因があるなら朗報だ。それを解決すれば手を貸してくれるようになるかもしれん」
「原因か……童の方でも粗相がなかったか振り返ってみるが」
「俺も本人や他の奴にそれとなく聞いてみる。商品開発は並行して行ってくれ」
なんにせよ、知らないことには始まらない。
本人にはまた改めて聞くとして、まずは周りの神樹精たちから情報を集めてみるとするか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
俺は早速、販売用の飲料や食料をつくっている神樹精たちの元へ行き、ウィズについての情報を集め始めた。
「ウィズ? 昔からあんな感じですよ。協調性のかけらもなく、一人で変な研究に勤しんでばかり。周りのことも手伝いもしないで……」
「こんな時くらい、協力くらいしてほしいものよねえ」
ウィズについて尋ねると、出てくるのはこんな感想ばかり。あのそっけない態度も昔からのことだぞうだ。
そのくせ、あのへんな研究は昔からずっと行ってきたらしく、研究がある程度形になると、その時ばかりは実験台を求めて周囲の神樹精たちに絡んでいたらしい。
呆れるほどマイペースなやつだというのはわかった。ため息とともに漏れてくる愚痴に、俺も思わずうんうんと頷いた。
「しばらく姿を見せなかったと思ったら、また一人でねぐらに籠るものだから……」
「しばらく姿を見せなかった? どういうことだ?」
「人間たちに襲われるまで、私たちとは違う場所で過ごしていたみたいですよ。私たちの下でまた暮らすようになったのは、結構最近のことなんです」
「なんでわざわざ住処を分けていたんだ?」
「さあ……? それは本人に聞いてみないことには……」
あいつの性格上、ふらふら一人で出歩くことは珍しくはなさそうだが、拠点を離れて一人別なところで過ごすとなると、何か訳はありそうだ。
「ルミナと仲は悪いのか?」
「? いえ? むしろルミナ様が積極的に話しかけに言っていたようには見えましたが」
「それを嫌がっていた様子は?」
「うーん……私たちも遠目からしか見てないので……。特にそんな様子はなかったとは思いますが」
話を聞く限りだと、ルミナのことを特別嫌っているわけではないのか? ルミナの言う「仲はいいとは思っていた」はあながち的外れではないかもしれん。
だとすれば引っかかるのは『王様』という部分か。
「ヨスガ。少しいいか」
調査を進めていたところ、ルミナが現れ、俺を呼び寄せてきた。
「ドミニク王が尋ねてきておる、童とお主に伝えたいことがあるらしい」




