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第60話 完全に黒です! エロ悪魔です!

「参ったか、このくそ亀! うははははは、この俺様の素晴らしき英知と華麗なる機転による大勝利! はーーーーはっはっはっは!」


 輝きを失い完全に息絶えているギルガメウスの頭を足蹴にして、勝利宣言を行う俺。


「何が英知と機転よ。さっきまでギルガメウスのお腹の中から出られなくて、『暗いよー、狭いよー、怖いよー、溶かされちゃうよー』って泣きわめいてたくせに」 


「分かってないなロッテ。英雄は過去を振り返らないのさ」


「過去じゃなくて、今も胃液でヌルンヌルンですけどね……。あ、汚らしいので近寄らないで下さい。クルリの可愛さが汚されますので」


 クルリが鼻をつまんで、シッシと手を振る。


「魔王を倒した勇者様に対して、その扱いは酷くない? お前ら俺のヌルンヌルンを思い切り塗りたくってやろうか!」

「止めてください、酸っぱいです! 服洗え! 風呂入れ!」


 人を真夏の限界オタクみたいに言うな!


「わ、私は……ご主人様がヌルンヌルンでも、大好き。受け止める……よ?」

「いや、ヴリトラは絶対もらいゲロするだろうから近寄るな」


「……ぐすん」


「そんな事よりツクモ! あんた、さっきの台詞……あれ、どういう意味よ?」


「さっきの台詞?」


「だーかーらー。力を貸してくれとか、あの化け物と戦う勇気を……とか。わ、私のこと抱きしめて……これで戦える。とか……あぁぁぁぁぁ」


 なんかロッテが思い出して悶えている。


「やっぱり、あれって……わ、わたしのことが好き……みたいな? ほぼプロポーズと言っても過言じゃないみたいな?」

「あ? 何言ってんだ?」

「な、なにって?」

「力を貸せってのは、お前の毒の力を貸せってことだよ。そんで、お前の毒のお陰でギルガメウスを倒す可能性が生まれた。勝ち目が見えれば戦う勇気も湧くってもんだろ?」


 俺の言葉にポカンと目を見開くロッテ。


「毒の力。勝ち目……じゃあ、私のこと抱きしめたのは……」

「いや、だからお前の毒の力が欲しかっただけだが? 身体密着させないと十分な毒を吸収できなさそうだったからな。他に何か意味あるのかよ?」


「…………」


「おい、どうかしたのか?」

「ぅ…………ぅあああああああああああわぁぁぁぁぁぁん!!!」

「ちょ、ロッテ、ヤメロ! 毒巻くな、毒巻く散らすなぁぁぁ! 命令だヤメロ! って、コイツ全然聞こえてねぇぇぇぇ!!!」



        ◇


 ロッテが毒をまき散らし、泣き疲れて落ち着いた頃。

 ギルガメウスの身体が光の粒子になって消え――その中から聖剣アークが現れる。

 ゴーダが手にしていた時より、明らかに輝きが増している。

 ギルガメウスの支配下から脱したお陰に違いない。


 ちなみにゴーダは辛うじて生きているようだった。

 全裸で犬神家みたいになってピクピクしているが……。


 ふわふわと空中を漂う聖剣アーク。

 すると、ゆっくりとした速度で俺の前へとやって来る。

 

「お、おおおおおおおお! これって、そういうことだよな! 俺が次の勇者に選ばれたって事だよな!」


 そりゃそうだよ! 聖剣を長年利用していたギルガメウスを倒したのは俺なんだから。俺以外に誰が選ばれるというのか?


「では、いただきます」


 聖剣アークへと手を伸ばし、その柄を握る。


「よっしゃー。聖剣げっとぉぉ! これで俺にも異種族の特有恩恵無効化が手に入る! この力さえあれば、ロッテの毒も効かない。あのけしからん駄肉を揉み放題じゃぁぁぁぁぁ!!!」


 キタコレ。THE俺の時代。

 勇者、俺――爆誕!


「ツクモさん……? クルリの勘違いだったら別にいいんですけど。もしかして、もしかするとですが……あれほどゴーダを倒そうと真剣になっていたのって、それにギルガメウス相手に頑張ってくれたのも……」

「当然、聖剣を手に入れて、ロッテの毒を克服して、あのおっぱいを揉むためだが?」


 そしてあわよくばその先まで……ちょっと恥ずかしいからここじゃ言えないけど……。


「この人、童貞捨てるために命賭けて戦ったって、真顔で言ってますよ!」


「はっきり言うなよ恥ずかしいだろぉ!」 


「ちょ、ツクモ、何言ってんのよ! わ、私の……その、身体をもてあそぶために戦ったとか……えへへ、ホント……ば、バッカじゃないのぉ???」


「アウトォォォ! この悪魔、自分の身体目当てで戦ったって言われて、ちょっと喜んでますよ! 完全に黒です! エロ悪魔です!」


「そ、そんなことないから! 私、真面目な大悪魔だから!」


 真面目な大悪魔って何だよ。

 すると、俺の手の中にあった聖剣アークの輝きがが弱まり──俺の手を離れ飛んでいってしまう。


「ちょぉぉ、俺の聖剣! 俺のおっぱい剣!!!」

「ツクモさんがエッチ目的で勇者になろうとしたことが分かって、聖剣アークに呆れられたんですね」


 OH.マイゴッド!


「ま、まってぇぇぇ! ちゃんと勇者やるから! 世界救うから! だからせめて一日……いや休憩三時間だけで良いから俺に勇者の力をぉぉぉぉ!」

「ご主人様、おっぱいだったら、わ、わたしが……いくらでも触らせて、あげるよ?」

「いや、それは……嬉しいけど、またの機会に……」


 ヴリトラは一回手を出したら、また正妻は自分とか言い出しそうだからな。

 

「ぐすん」

「あ……聖剣が私の元へ」


 そう呟いたのはパロミ。

 感動に身を震わせながら、パロミは聖剣に手を伸ばす。


「聖剣アークさん、本当にパロミでいいのか? そいつ、ゴリラにいいように命令されて興奮してたドM姫だぞ!」

「興奮なんてしてません! あーー聖剣がぁぁぁぁ!!! ツクモ様が余計なことを言うから、聖剣が信じちゃったじゃないですか!!!」

「……嘘を信じたんじゃなくて、お前の本性を見抜いただけじゃねえの?」

「ちーがーいーまーすーー!!!」


 そんな言い争いをしている内に、今度は聖剣が俺の元に帰ってくる。


「おおお、やっぱり俺だよな! なんて言ったってギルガメウスを倒しなのは俺なんだから!」


「そんな女性を性欲のはけ口としか思っていない男より、真に世界の平和を願っている私こそ聖剣の所持者にふさわしいです!」


「お前、姫様だから下手したてに出てりゃいい気になりやがって、俺はお前に騙されたこと忘れてないからな! 根に持ってるからな! 絶対、泣かしてやるからな!」


「な、何てハレンチな。王族である私を……イイ声で鳴かせてやるなんて……」


「いい声で鳴けなんて言ってねえよ! やっぱりお前興奮してるじゃねえか!」


 低レベルな口喧嘩をしている俺とパロミデスを前に、聖剣アークはどちらを選んだものか悩んでいるのか、俺とパロミの間を何度も往復する。

 その動きは、ほとんど『ゴチになっちゃいます』のドローンである。


「さあ! 聖剣アークよ、俺の元へ!」

「聖剣よ、私の手に!」

「さあ!」「さあ!」「さあ!」「さあぁぁぁぁぁ!!!」


 そうして、さんざん悩んだ挙句、聖剣アークはどちらを選ぶことなく、ぐったり疲れた様子で空の彼方へ飛んで行ってしまったのだった。


「俺のおっぱい触り放題がぁぁぁぁぁ!」


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