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第10話 こんな拷問耐えられない。もういっそ殺してくれ

「じゃあ、間接的じゃなくて……俺がお前の身体に触ったりしたら……」

「――確実に死にますね。えへ」


「えへ。じゃねえよ!」


 つーか、ちょっと待て。

 俺がアスタロッテに触わったら死ぬってこと? 

 それどころか、こいつが触れたものに触ることすら危険ってこと?


 ――ってことはだ……。


「NOぉぉぉぉ! じゃあ、俺はお前の手料理を食べるどころか、膝枕で耳かきして貰ったり、そのけしからん胸を揉みしだいたりすることもできないってのかぁぁぁぁ!!!」


 最大期待値から地獄に突き落とされた俺は、全身全霊で叫ぶ。

 俺の脳内で、隣の部屋のベッドが奈落へと崩れ去っていく。


「どこにショック受けてんのよ!」


「ショックに決まってるだろ! 鳥人間コンテストで一年間準備してきたのに飛び立った直後に翼が折れて垂直落下する人くらいショックだわ!!!」


「何言ってるのか分からないわよ!」

「うるせー、この役立たず!」

「や、役立たず!?」


 悪魔のクセに人並みにショックを受けた顔を浮かべるアスタロッテ。


「うるせぇ! 俺は健康な男子として当然のリアクションを取ってるだけだっての!」


「どこが当然なのよ!」


「こんなにけしからん身体した悪魔奴隷が手に入ったんだぞ! あんなことやこんなこと、想像するだろ! ああ、そうさ、俺はお前でエロい想像していた!!!」


「ちょ、ちょぉぉ、ご主人様、何急に恥ずかしい告白はじめてるの!?」


「それなのに……それなのに……」


 この、服からあふれんばかりの胸を……俺が命令すればこの悪魔は絶対に逆らうことができないのに……。


 それなのにお預けなんて……。


「こんな拷問耐えられない。もういっそ殺してくれ」

「泣くほどっ!?」


 ……いや待てよ。俺の命はあと七十四個あるはずだよな…………じゃあイケるか。


「とりあえず我慢せずに一回揉んでおこう」


 むんずと両手で凶悪おっぱいを掴んでみる。


「ふ、ふぉぉぉぉ、す、すごい。吸い付くような、指が埋もれるような凶悪さ!」


「ってぇぇぇぇ、何当たり前のように揉んでるのぉぉ! 話聞いてた? 死ぬんですよ? 私に触ったら毒で死んじゃうんですよ?」


「うるせぇぇぇ、こんなもん見せつけられて、童貞男子高校生が我慢できるわけねぇだろ! 揉むだろ! まず一回は揉むだろ! 死んだって構いやしねぇぇぇ!!!」


「ちょ、だめ。ご主人様、そこは、もう、いやぁぁぁぁぁ」

 

 徐々に遠くなる意識の中、俺は確かに天国に辿り着いた。


「これが大人の階段。新世界か……」


 ――こうして俺、山田ツクモは、異世界にて二十六回目の死を迎えたのだった。



    ◇


 しばらくして、おれ復活。


「ご主人様は、そんなに私の胸を触りたかったの?」

「当然! 死んでも良いくらいにはな……」

「ほ、ほお……」


 そんな俺の返答に、大悪魔様は呆れているような、でもどこか嬉しそうな、複雑な表情を浮かべる。


「なんかちょっと嬉しそうにしてね?」


「そ、そんなわけないでしょ!」


「痛ってぇ! テーブルの下で足蹴んな! っていうか、痛いだけじゃなくてピリッとしたぞ! え、死ぬの? 俺また毒で死ぬの!?」


「服の上から一瞬だし、これくらいじゃ死なないわよ」


「そ、そうか……それなら良かった…………って良くねぇよ!」


 絶対服従って意味分かってる? 今こいつ俺のこと蹴ったんだけど!? 

 一旦、書面で契約内容見せてくんない?


「そんな事よりご主人様。死んでも生き返るって言っても、その能力――何かの反動とか、回数制限とかあるんじゃないの?」


 アスタロッテのいぶかしげな視線が俺をロックオンする。


「いくら死んでも何のリスクもないなら、あんなに悩む必要ないし、サルのように私に襲い掛かっただろうし……」

「サルのようには余計だろ!」


 くっ、意外に頭が回るなコイツ。


 確かにアスタロッテの言う通りだ。

 胸を揉むか悩んでいる時点で、俺の復活にはリスクがあると教えているようなものだからな。


「それについてはノーコメント」

「あと、ちょいちょい気になるんですけど……」


 大悪魔様が顔を赤くして、何か酷く言いづらそうにモジモジと体をくねらせる。


「えっと、ご主人様から見て……私ってそんなに可愛い?」


 いきなり何を言い出すんじゃ、こいつは?


「何だよ、急に痛い女みたいなこと言いだして」


「うっさいわね。あんたが、散々エロいとか、おっぱい揉みたいとか、っていうか死ぬの分かった上で襲い掛かってきたりするから……だから少し、ほんのすこーーーーしだけ気になっただけよ!」


「なんだよ、そりゃ。でもまぁ、今まで生きてきてお前ほど綺麗な女に会ったことなんてないぞ」


 触ったら死ぬとか論外だけどな。


「うぅ……」


 って何悶えてんだコイツ。


「そうか……私、可愛いのかぁ……。死んでも構わないくらい辛抱堪らなかったと……」


 悶えながら何かぼそぼそ言ってる。

 さすが友達いない悪魔。独り言に躊躇ちゅうちょがない。


 俺も人のこと言えたもんじゃないけどな。


「……あのね、ご主人様。これって魔王軍のトップシークレットなんだけど、北の果てに賢者の塔っていうのがあってね……そこには好きな種族に生まれ変わることができる転生石っていう遺物があるらしくって」


「ほぉ、そりゃ凄いお宝だな」


「で、でしょ! だ、だからね、転生石を使えば私を人間に変えることもできるし、そうしたら呪毒の力だって消えて、私の身体に触っても死ななくなるっていうか……」


「それは却下」

「なんでぇ!?」


 何を言い出すかと思ったらくだらない。


「だって、お前が人間になったら誰が俺を守るんだよ」


「誰が……守る?」


「あ、それ以前に、人間に転生したら俺との人異の契約も無かったことになっちまうんじゃねえの? ははーん、なるほどな。それが狙いか……」


「狙いって、何を言って……」


「その手には乗らねえぞ。それにしても人間になってでも、俺から逃げようとするとは……まったく油断ならねえ悪魔だぜ」


 だが、俺をたばかるには考えが甘かったようだな。


 俺が自分の推理力に酔いしれていると、アスタロッテが顔を真っ赤にしながらふるふると肩を震わせていた。


「何だよ。作戦がバレて悔しいからって泣くことないだろ……」


「く、この……乙女の勇気を振り絞って、最重要機密を教えてあげたっていうのに……」


「え、なんだって? よく聞こえないぞ」


「うっさい、この唐変木とうへんぼく! ご主人様の馬鹿ぁぁぁぁぁ!」



────────────────


 無事、第一のヒロインのアスタロッテちゃんが少しデレました。

 地雷系と言いつつ変則的な属性ですみません。


 他にもヒロインは居るのですが、出て来るのに少し話数がかかりそうです。

 あと、やっぱり変則的な地雷系だったりしますが……引き続き応援して頂けたら嬉しいです。

 

 ここまででも、少しでも面白いと思って頂けたなら、☆☆☆とかフォローで応援して頂けたら嬉しいです。


 ☆☆☆を入れるページって分かりづらいのですが、小説トップページの『レビュー』を選ぶと飛べます。


 もっと多くの方に作品を読んで貰いたいので、是非よろしくお願いします!


 

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