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子爵少年ルシウスLEGEND  作者: 真義あさひ
呪師の末裔
12/24

担任が変わりました

 この件は当然大問題になったが、オネストを非難したいじめ側や適切な対応を取らなかった担任、そして彼らの虚言を真に受けた他クラスの生徒たちまで『残飯交換』は飛び火した。


 とはいえ、術は悪意ある暴力と等価のものを返すだけなので、すぐ反省して本人に謝罪した者は自然と術から解放された。


 担任の女教師は残念ながら事情聴取の後、当日付けで懲戒解雇されることが決まった。

 いくら何でもこの事態を引き起こすまで〝気づかなかった〟は、国内最高峰の王立学園の最優秀クラスの担任どころか、一教師としても不適切で相応しくない。


 代わりの人員手配が間に合わず、新たな担任は一年の今年度のみ学園長のエルフィンが就任することになった。




 問題は反抗した者たち、オネストの親戚子息四人だ。

 『残飯交換』がまだ続いている。

 最初は学園の食堂内で取る食事だけに異変が発生していたのだが、オネストへの態度に変わりがなく、それどころか悪化させたことで、教室内で食べる間食や、自宅で取る食事にまで術が及び始めた。


 それなのに謝罪も、態度を改めることすらしていない。

 長い期間、オネストを自分たちより〝下〟だと見下していたから、そのオネストから反撃されて痛い目を見ていることが許容できないのだ。


「エルフィン先生~。彼らへのお咎めはナシなのー?」

「……あの子たち、一応オネスト君の親戚だから、親族内のことに口出し無用って言われて今回だけは引かざるを得なかったのよ」

「やだ先生、権力に屈したってやつ!?」


 A組の生徒たちは非難轟々だ。責められるエルフィンも辛い。


「まさか。彼ら全員、学園の監視対象になったわ。次に教師や職員たちの目の前でオネスト君への悪質な言動が確認されたら停学よ」

「それでも甘い気がするなあ」


 新担任とクラスメイトたちが自分のことを話していても、オネストは聞いているのかいないのか、ほとんど反応を見せていない。

 そんな彼をちらっと見て、ルシウスは肩を竦めた。


「別にいいんじゃない? 同じクオリティのものが本人に因果応報的に返ってるだけなんでしょ?」

「その辺は徹底しててすごいよな。周りにいる人間すべてに無差別ってんなら問題だけどな」

「………………」


 なお術者オネストへは厳重注意のみで済んでいる。

 ここアケロニア王国は魔法魔術大国であるし、術の波及する範囲から見ても正当防衛と認められたためだった。


 学園長のエルフィンはあの事情聴取の後、一度オネストを引き留めて「このような術を使う前にせめて自分に相談してほしかった」と伝えた。

 ところが返ってきたのはこんな言葉だ。


『担任の先生が助けてくれなかったのに、学園長先生なら助けてくれるってイメージが持てませんでした』


 と言って逆に頭を下げて謝られてしまったのだ。


(これじゃあ怒るなんて出来やしない。教師に対して期待しないって思わせてしまったのは……申し訳ない限りだわ)


 せめて自分が担任となる一年間の間に少しでも信頼を取り戻せたら良いのだが。




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