ゼフュロス、苦労人になる
おひさ。
「一旦落ち着かんか馬鹿者が」
強く、芯のある声がかけられ、ボクは止まった。
声の方をゆっくりと向くと、拓海がこちらを見ずにただ一言、言っただけだった。
「ゼフュロスも一旦退いたらどうなのだ、夜神が気に食わんのは大いに理解できるがこれ以上の目に余る行動はいくら生徒会に恩を売っている貴様と言ってもそれ以上は問題になるだろう?」
「......クソが」
ゼフュロスは不服そうに夜神の上から退いた、ボクも剣を仕舞うことにした。
拓海の言う通り、これ以上進めばボクは学園の生徒で有り続けることが難しそうだ。
拓海はこちらをちらりと見ると、ため息をついて話を続けた。
「さっきも言ったが、俺も夜神は気に食わん、ここは魔術学園だ、特別試験にて優劣を確定すればいい、それだけの話だ、そうですよね?先生」
拓海がずっと見ていたのは先生の方だった、僕達も一斉に先生に注視する。
「その通りだ、何かいざこざがあれば序列をかけて勝負をして自身の方が優れた魔術師であることを示す、それがこの魔術学園だ」
「その序列交代の機会を与えるのが特別試験ってわけだよ兄貴、因みに飛彩とか姉貴みたいな特例がなかったら強制参加だよ、切磋琢磨してより強い魔術師を育てるってのが学園の存在意義だからね!......で、合ってるよね?せんせー?」
...最後のがなければめちゃくちゃにかっこよかっただろうに。
「ああ、合っているぞ」
先生も苦笑いしている。
相手がムカつくのならば試験にて自身が相手よりも強いことを示せ、ということだ。
「...なら示そうじゃないか、ボクが夜神のゴミクズよりも優れているってね」
「それでいい、その闘争心と憎悪がお前をさらなる高みへと導く」
闘争心と、憎悪か.....ならボクはきっと、いや絶対にここで一番強くなれる。
なぜならそのためにここに来たのだから。
「.....そろそろチーム決めしてもいいか?」
「そうしてください、先生」
玲音が呆れたようにそう言った。
「ゴホン...じゃあ皆くじを引いてくれ」
絶対に夜神とだけは同じチームになりたくない、ただそれだけを祈って引いたくじは赤色だった。
それに対して夜神が引いたくじの色は...青だった。
内心、ガッツポーズが止まらなかった。
赤チーム
シュバルツ:拓海:瑠璃:玲音
青チーム
夜神:大弥:ゼフュロス:龍我
「な!ん!で!俺が夜神と同じチームなんだよ!?しかも姫と戦えって言ってんのか!?クソじゃねえか!」
ゼフュロスが怒鳴り散らしていた。
「まあまあ、いいじゃない隼人くん、私は久しぶりに隼人くんと戦ってみたいな?」
瑠璃が宥めようとしているが、ゼフュロスの激昂は止まりそうにない。
「でもよ...俺、姫とは戦いたくねーよ...」
「なんだ戦意喪失したか従者よ」
「お前は黙ってろ夜神、カーテン開けてやろうか?」
「やめてくださいお願いしますどうか許してくださいゼフュロス様」
ゼフュロスは殺気を宿した瞳で夜神を睨むと夜神は冷や汗をダラダラと流して土下座した、こいつにプライドはないのだろうか。
「もうやだ......姫助けて......」
「大変だけど応援してるよ、隼人くん、頑張ろう?」
青チームの苦労人は間違いなくゼフュロスだろう、その点こちらの赤チームは統制が取れていいと言えるだろう。
ゼフュロスは瑠璃に抱きしめてもらってる。
婚約者、というのはいいものだね。
「では、試験は2週間後の午後8時とする、それまで策を練るなりフィールドを確認するなり試験に向けて動くといい、では今日はこれにて解散とする」
さて、先生が解散を宣言した今この瞬間、勝負は始まる。
周りをどう動かすか、相手をどう動かすか、それをまず考えなければならない。
そのためにもまずは全員の術式を再確認する必要があるだろう。
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