表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/51

人間か?神様か?

「酷いのは、人間か神か、どっちだろうな?」


「わかりません」


「そうだな!私もわからない。ただ、魂の数は決められていて、秩序を乱されるのを神は嫌がるだけだ」


「わかっています」


「誰かが幸せになるなら、誰かは不幸でいなければならない。それが、この世界のルールだろ?」


「はい、そうです」


ルシア様は、杏奈の隣にしゃがんだ。


「桜木杏奈の赤ちゃんが死んでくれなければ、三井百合子の赤ちゃんが死んでいた。わかるだろ?」


「はい」


「医者は、神になった気がする。しかし、こちらのルールは知らない。それは、所詮人間だからだ」


「はい」


「こちらのルールを守っていただけないから、こちらからルールを守らせるしかないのだ」


「魂の数は、決まってるから……」


「そうだ!人間、動物を含め魂の数は決まっている。世の中に存在できる数も決まっている。だから、お腹の中に宿っても死んでいただくしかないのだ。それをわかられずに、赤ちゃんを授かっていただくと、こちらが来るしかないのだ」


ルシア様は、泣いていた。


「人間は、残酷だと嘆き、赤ちゃんを失い絶望される、しかし、こちらにはルールがあるのをきちんとわかって欲しい。あの、神と呼ばれる医者のようにうまくされたら困るのだ。年寄りも命が生き長らえる今…。もって、還ってきやすいのは、子供の魂なのだ」


ルシア様の言葉に、強く頷いた。


大人は、ややこしい。


年を重ねれば、特にややこしさが増すのだ。


「命は、長ければいいわけではない。きちんと世代交代をしてくれなければ、こんな風になる」


「誰かが命をもらう為なら、誰かが死ななければならない。生と死は、表裏一体でなければならない。死神学校に入った時にならいました」


私の言葉に、ルシア様は立ち上がった。


「リゼ、その通りだ。なのに、人はそれを忘れて生ばかりを産み出そうとする」


「その回収作業が…」


「天変地異だったりするのだよ!リゼ」


ルシア様は、ずっと泣いている。


「まだ、今から行くのですね?」


「今から、行く!虐待された2歳児を迎えに…」


「気づいてないだけで、世界は繋がっているのですよね?」


「そうだよ!リゼ。虐待されて、亡くなってくれる子供がいるから…。あの人は、子を宿せるのだ」


たまたま、通り過ぎる妊婦さんが見えたらしくルシア様は、双眼鏡を差し出した。


「本当ですね」


「生きれる事を当たり前だと思わないで欲しい。それは、表裏一体。誰かの死のお陰にある命なのだ」


「俺が、死んだ日もどこかの誰かに赤ちゃんが?」


「授かっただろうね」


ルシア様は、そう言って双眼鏡をしまった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ