表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君死にたまふことなかれ~戦場を駆けた令嬢は断罪を希望する~  作者: 音無砂月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/53

48.暗雲

「女王即位から三年、いよいよきな臭くなって来たな」

民の不満は高まる一方。それに一切配慮されることなく上がり続ける税金。

「ルーの話だと女王が執務を行ったことはないそうです。それは男の仕事であり、女の仕事ではないと。ご自分を貴族令嬢か貴族夫人と勘違いされているようですね」

代わりに執務を行っているのはヤンエイ公爵。貪欲で野心家な男に実権を握らせているのは自滅行為だ。けれど忠告をしようにも忠告した人間は全員、追放になった。

王宮にはもうまともな人間は残っていない。

「それと、クレタで革命が起きましたよね」

「ああ、去年の暮れだったかな。王国貴族が国庫を私物化し、国には餓死者が転がった。不満は暴動へと変わり、ついには人民が武器を取り王家を滅ぼしたそうだな」

内乱直後のためクレタはまだ落ち着いてはいないが、王家の世襲性を廃止し、民たちの中から選挙で次期王を選ぶ民主制に移行し始めていると聞いたな。

「俺の方で調べてみたんですが、それに感化されている奴らがいるみたいです」

国民の不満は高まりつつあるが、まだ暴動を起こすほどではない。それに身分制である以上、彼らの中に王侯貴族に対して畏れを抱くものだ。だからこそ、あれほど国が荒れたクレタでもすぐに暴動へはいたらなかった。

「追放された貴族連中か」

「はい。このままではクレタの二の舞。追放された怒りや不満もあるでしょう。民たちを煽り、更には他国にも情報を流しているようです」

女王に好き勝手されるぐらいなら他国に王権を引き渡し、属国という形でも国として残す腹づもりか。私怨が入っているとはいえ、彼らも国を思って動いているのだろう。ただ、その国がパイデス国民をどう扱うかは現段階で不透明だが。

「他国に縋るしかないとは何とも情けない話ね」

戦争が終わり、漸く訪れた平穏を今度は守ろうとした者同士の殺し合いで失おうとしている。何とも皮肉な話だ。

「さらに悪い報せです」

「いい報せだったことなんて女王即位からほとんどないでしょう」

これ以上何があるのだろう。

「ヤンエイ公爵が大量の武器を売り捌いています」

公爵は武器の密輸や売買をして財を成した一族。エルダとの戦争では飛ぶように売れたでしょうね。エルダにもこっそり武器を売っていたという噂があった。証拠がなかったために前王陛下も罪を償わせることができなかったし、彼は多くの武器を扱う。そのため関係は良好なままでいたかったというのもあるだろう。

「エルダとの戦争準備を始めているとか」

「女王はこのことを」

「知る由もありません。ですが、ここ最近エルダが魔鉱石を独り占めしていることを陛下は王宮内で嘆いているそうです。物価の上昇や税金の額が上がっているのもそれに起因すると声高に嘆いていると」

民の不満をエルダに向けるつもりか。

そう吹聴した者がいるはずだ。彼女一人では何もできない。

物価の上昇や税金に関する不満を耳にし、「どうして?」とヤンエイ公爵に質問する。公爵はエルダのせいだと言う。そうすれば元からエルダに良い印象を持っていなかった女王はエルダを悪者にし、剰えエルダとの戦争は正義のためなどと抜かすだろう。

その正義で払われる犠牲は彼女にとってただの数字でしかなく、エルダを悪者にするための道具でしかないのだ。

私は手元に来た招待状に目を向ける。

女王からのお茶会の招待状だ。

「行かれるんですか?」

「ああ」

「では準備をしておきますね」

「ああ、頼む」

タイトル:元暗殺者、転生して貴族の令嬢になりました

イラストレータ:みれあ様

出版社:主婦と生活社

発売日:2022/08/05


★サイン本予約開始中(数量限定)


【あらすじ】

全然なりすませてない転生令嬢の コメディ×サスペンス×ときどきラブ! ? 任務に失敗した暗殺者が転生したのは、公爵令嬢のセレナ。 「私は元暗殺者。なりすますなんて簡単だ」 そう思っていたセレナだが、 頭がお花畑な母親や、彼女を蹴落とそうと周りを欺く義妹などとの 感覚のズレにいら立ち、生きづらさを感じていた。 マウントだらけのお茶会に、ドロドロな学園生活…… 周囲からの嫌がらせを冷めた目で痛烈にかわしながらも、 その冷徹さゆえに疎まれ孤立していくセレナ。 そしてある日、義妹が第二王子と婚約することを知り、 ついに家出を決意する。 しかしそこに、第一王子のエヴァンが現れてーー!? 愛を知らない冷血な元暗殺者は、 怯むことなく貴族社会を突き進む!


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


ウェブ小説サイト「小説家になろう! 」で 異世界恋愛ランキング、週間総合1位を獲得した人気作に 200%以上の書き下ろしを加えて書籍化! コミカライズも決定! !

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ