彗星の涙
私は星々をめぐる彗星。
いろいろな星を旅した。
自然あふれる星、争いが絶えない星、そして、死に絶えた星。
時に私は、ひと欠片の涙を流した。
ある時はうれしくて、ある時は悲しくて。
涙は流れ星となり、地表に届く前に燃え尽きた。
★★★
もうすぐ私の寿命が近づいていた。
地球という星にたどり着いた。
疫病で苦しみ死んでいく様に涙した。
見下ろす地球の大気に、私の涙が流れ星となって消えた。
今まで見て来たどの星よりもきれいな流れ星。
私はこの星で、生涯を終えることにした。
大気へ溶け込んでいく体から、オーロラと共にきらめく流星群。
「ああ、きれいな流れ星だ。」
★★★
私は新たな彗星に生まれ変わっていた。
「地球、もう一度行ってみたいな。」