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ワールドリンク  作者: さばみそ
最終章
89/95

第一話-提案-

「私たちと一緒に行こう?」

そう問いかけるケイト。少女は自然と視線を父親の方へ向ける。

「貴女がどうしたいか、だよ?」

軽く叱られて、少女は戸惑うばかり。

「まだ自分では決められないかな? なら、俺が勝手に決めるよ。一緒に来てくれ。打算的なことを言えば、君の力は貴重で強大だ。これから星を救うためにも必要な存在なんだ。助けてくれないかな? その後のことは、またその時に考えればいい」

少女は声をあげて泣いた。父親以外の人間と会話すること自体初めてだろう。他人は優しかった。父親から聞かされていた世界とは真逆であり、少女にとってはむしろ父親こそが…

ケイトは少女をしっかりと抱きしめた。

「もう大丈夫だから」

と声をかけながら。


「さあ、帰ろう!」

ケイトが少女と皆に向かって元気よく言った。皆も負けじと元気に返す。だが、これで終わりではない。最後の大仕事が待っているのだ。


「そう言えば、さっき俺らの邪魔をしたが、何か意図があるのか?」

カジャが話しかけてきた。さっき、俺が男の喉を潰した時だ。他の皆もヤツに攻撃を仕掛けていた。が、俺が結界で守ったのだ。わざわざ生かした意味を聞いてきたのだ。

「ちょっとした悪巧みさ。彼女には悪いが、彼女のためにその命を有効利用させてもらう」

「なるほどな。食えないヤツだ。それじゃ、あの少女のことはお前たちに任せるとするか」



ウィンダリア城にて

「で、その少女は?」

「はい。その男が身の回りの世話をさせるために、何処からか連れ去ってきた女の子です。残念ながらショックで記憶が曖昧で、それ以上の素性は不明です。救世主がその素質の高さを見抜いたこともあり、保護してきました」

ガルド王が男を見る。男は暴れるばかりで喋ることは出来ない。そもそも、ここに来る前から暴れっぱなしで、俺の言葉に反応したものかもわからない。

「で、その格好は?」


ここに来る前、ルベリアに寄り道し、少女の髪を切り着替えさせていた。あの服装と髪型では、外界との接触もなく洗脳されているかもしれない危険分子、と判断されかねないと思ったからだ。実際その通りだったのだし。

おかっぱ頭は流行りのショートヘアになり、ケイトの御下がりのメイド服を着ている。

「なんでメイド服!?」

「なんか好きだった時期があって、司教様に買ってもらったの。結局あんまり着なかったけど、逆に良かったね」


「その服装は?」

「男の趣味では?」

「いや、お前らのだろ!」

と回りから突っ込みの視線が痛い。断じて俺のではない。俺はメイド服よりも… いや、そうではない。

「信用しろと?」

「救世主ら八賢者、そして王2名の証言です。この男が首謀者で実行犯です」

全員ニヤニヤと笑っている。察しろ、認めろ、さっさとしろ、といった圧力すら感じる。

「はぁ… まぁ、問題はないだろ。それじゃ、規定通りに、その少女は城で預かる。後で手続きな」

ケイトと少女は抱き合って喜んだ。

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