第二話-判明-
それぞれ近い者同士で討論が始まる。
「先ず、植物の生えてない場所は除外ね」
「光の届かない場所も、ですわね」
「僕の影、繋がっていないと無理。一度繋がっても、光とかで分断されると無理」
「光もない、風も届かない空間… 洞窟の中とか?」
「俺んとこでは小さいな。他にデカい洞窟って知ってるか?」
ソーマとディールが話す。
「そのような場所は聞いたことがないのぅ…」
「私も世界中を旅したが… 『悪魔の腹』と呼ばれる大迷宮なら… いや、島が入る空間があっても入る手段が無いか…」
「あ、そこ、僕も行ってみたかったんだ」
ヴォードとゲイン氏の冒険話しにニゲルが加わる。
「話しが反れそうだな。他に可能性の高い場所はあるか?」
「じゃあ例えば… 水中なんてどうですか?」
ガルド王の言葉にケイトが返す。
「水は見てないわね。ロードくんの管理だと思ってたし」
他の二人も頷く。
「たしかに海は広くて大きいけど、そんなのが沈んでたら気付くよ。でも、海以外は僕もわからないよ?」
その言葉にハッとする。
(おいおい、まさか… いや、冗談だろ?)
ひとつ、心当たりが思い浮かぶ。脳に保存していた大図書館のデータから、とある地図を引き出す。
(いつからだ? あれは、いつからそうだった?)
「八賢者封印の後、ウィンダリアで大規模な地震があった。その時に一部の土地の隆起があったらしい。大陸中央のルベール湖の中に」
一同、驚きを隠せない。中層の者でなくとも、中層最大の大陸で観光名所でもある巨大湖は知っている。そんな目と鼻の先に敵の拠点があるとは…
「ほんとにそうならば、敵は遥か昔から存在していたことになる。そして、八賢者の力が尽きる時、星に寿命が訪れるその時を待っていたことになる」
「ワレラト オナジヨウニ イキノビテイル?」
「もしくは、その呪詛を子々孫々受け継いでいるとか?」
「なんか… 怖い通り越して気持ち悪いね…」
敵の異様とも思える姿が見えてきた。その異様さに怯む者もいるが、しかし、潜伏先がわかれば対策が可能だ。やっと先手を打てる。
「今まで上手に隠れて来たのに、戦争は即終了され、その上、居場所がバレたんだ。さぞかし悔しがっているだろうな」
「居場所バレは、まだ知らないだろうけどね。でも、たしかにブチギレてそうだ」
俺とソーマは意地悪く笑った。




